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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『エンド・ゲーム:常野物語』恩田陸(集英社文庫)

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『エンド・ゲーム:常野物語』恩...
『光の帝国』 ・ 『蒲公英草紙』 に続く<常野(とこの)物語>シリーズ第3弾が本書で、短篇10話が納められた『光の帝国』のなかの『オセロ・ゲーム』の続編にあたります。

<拝島時子>は、ゼミ旅行から帰ってくるなり、母<暎子>が突然睡眠状態に陥ったと母の部下の<河合詩織>から連絡を受け、病院に出向きますが、『あれ』によって『裏返された』と考えます。

<時子>は<常野一族>として、一族間の結婚はできないという不文律を破った父と母を持ち、父は10数年前に『あれ』に『裏返された』のか、行方が分かりません。
母を看取る間、<時子>は『裏返された』人を呼び戻す『洗濯屋』と呼ばれる<常野一族>の<火浦>という男と出会い、母を再度こちら側に連れ戻すべく行動を起こしていきます。

子供の頃の原体験を背景に、二転三転する筋書きの構成で最後まで読者を惑わし、迷路のごとく複雑な展開が広がり、最後は思わぬ結末に導かれるという「恩田ワールド」にはめられた心地良さで、読み終えることができました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ピザマンの事件簿』L.T.フォークス(ヴィレッジブックス)

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『ピザマンの事件簿』L.T.フ...
主人公<テリー・サルツ>は26歳、腕のいい大工でしたが、酒と薬の影響でバーで暴れ刑務所生活を送る羽目になり、仕事も失くし妻<メリールー>とも離婚(中)という状態です。

出所した<テリー>を快く迎えてくれたのは、屋根職人の<ダニー>で、彼の住むオハイオに転がり込み、町で見かけたピザハウス『カーロ』に配達係として酒も薬もやめて仕事に励み、新しい仲間や大工仕事が舞い込み順調な再スタートを切りだします。

ある日配達係の<ウイットネス>が、店の裏側でナイフで殺される事件が起こり、<テリー>は過去の行状から一時は地元の警察官<アラン>に疑われますが、反対に<テリー>は、<ダニー>や『カーロ』のベテラン配達係<ダンプ>やマネージャーの<グラフ>を巻き込み、自ら犯人を捜しだそうと乗り出します。

誰もが顔見知りに近い小さな町での事件を通して、<テリー>が自己再生してゆく物語でもあり、男同志の友情や夫婦間の愛情が絡み合うミステリーに仕上がっています。
銀行勤めの別居中の妻<メルーリー>も、なぜか<テリー>の住む町に転勤、シリーズとして3冊が既刊されているようで今後の展開が楽しみです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『修善寺温泉殺人情景』風見修三(講談社文庫)

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『修善寺温泉殺人情景』風見修三...
副題に<駅弁味めぐり事件ファイル>とありますが、シリーズとして 『奥入瀬渓谷殺人情景』 に次ぐ2冊目に当たります。

主人公は前作と同様、地域の活性化のイベント企画を請け負うプランナー<矢島耕平>で、今回は修善寺温泉として一年を通じて観光客を誘致したいという仕事で出向きます。

出向く電車の中で、5人の人気漫画家集団<CHERRY☆RIZE>と遭遇、サインをねだったところから縁ができるのですが、メインの漫画家「天海理彩>はおらず、姉の<恵美>だけが慰安旅行に来ていました。

「かんぽの宿」に宿泊した翌日、なぜか東京にいるはずの<理彩>が梅林で殺されているのが発見され、前作同様に<矢島>は探偵役として事件の究明に走ります。

旅情ミステリーとして、今回も修善寺まわりの情景やグルメ情報を背景に、姉妹の生い立ちを主軸に物語が展開しています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『八朔の雪』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)

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『八朔の雪』<みをつくし料理帖...
主人公は18歳の<澪>で大坂生まれですが、10年前の享和2(1802)年7月1日に起こった淀川の氾濫で両親を亡くし、料理屋「天満一兆庵」の女将<芳>に拾われ奉公していました。

味覚の良さを主人<嘉兵衛>に認められ、料理人として修業を始めた矢先火事に合い、江戸に支店を出している息子の<佐兵衛>の店に出向きますと、店はなく<佐兵衛>は行方知らずになっていました。

<佐兵衛>の行方を捜すと共に、<芳>とともに「天満一兆庵」再興という願い持ちながら<澪>は、主人<種市>の蕎麦屋「つる家」で蕎麦代わりの料理に精を出すのですが、上方と江戸との味覚の違いに戸惑う日々が続きます。

試行錯誤のに末満足すべき出汁を完成させた<澪>は、「とろとろ茶碗蒸し」が大人気となり『料理番付』に初登場で関脇となるのですが、大関の「登龍桜」が「つる家」の近くに新しい店を出し同じ茶碗蒸し料理で対抗、付け火で「つる家」は燃やされてしまいます。

「つる家」が亡くなり、一時は料理の世界から足を洗おうと考える<澪>でしたが、料理だけが自分を生かせる道だと決心した<澪>は、屋台からの再出発を果たすのでした。
長屋の隣の住人<おりょう>や医師の<永田源斉>、そして<小松原>と名乗る正体不明の浪人としての脇役も良く、今後の展開が楽しみなシリーズになりそうです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『遊戯』藤原伊織(講談社文庫)

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『遊戯』藤原伊織(講談社文庫)
本書には文庫本のタイトルとなっている連作短篇である『遊戯』と、『オルゴール』が収められています。
著者は食道癌のためにすでに2007年5月17日に59歳で亡くなられていますが、それぞれの短篇は『小説現代』の2005年1月号から2006年3月号に掲載されました。

『遊戯』は、ネットの対戦ゲームで知り合った派遣会社勤務の<本間透>31歳と、<朝川みのり>20歳を中心に据えて物語は進みます。
初対面で<本間>は、<みのり>に対して外交官の父が自分が子供の頃に虐待をしていて、遺品の中にあった拳銃を保持していることを打ち明けてしまいます。
<みのり>はアルバイトで登録していたモデル事務所のテレビCMがヒットして人気が出ますが、ある日撮影のときに自転車にのった不審な男の視線を感じてしまいます。
その自転車の男は、<本間>が歩道を歩いているときにぶつかりそうになり押し倒した男であり、ストーカーとして気になる存在ですが、作品は未完で終わり、どのような結末が待ち受けていたのかは知る由もありません。

『オルゴール』は、会社倒産寸前の社長<日比野修司>41歳が、33歳で事故死した妻<祥子>の遺品を整理していた時に見つけたオルゴールの裏側に、富豪であり前夫の<夏目重孝>51歳の「祥子へ、重孝より」の献辞を見つけ、金策の下心を持ちながらオルゴールを形見分けという形で<夏目>の自宅を訪れるところから物語は始まります。

どの短篇も研ぎ澄まされた緊張感のある登場人物たちの会話が気持ちよく、登場人物を深く切り込んでいく著者の文体が完結されています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『冷たい銃声』ロバート・B・パーカー(ハヤカワ文庫)

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『冷たい銃声』ロバート・B・パ...
私立探偵<スペンサー>シリーズも、前作の 『背信』 に次いで本書が第32作目です。

<スペンサー>の仕事の相棒として<ホーク>がいますが、なんと今回、タフで不死身と思われた<ホーク>が賭け屋<ギレスビー>を護衛中に背中を撃たれ、一命は取り留めましたが入院してしまいます。

事件の背後には、襲撃の実行犯であるウクライナ人5人組と、マーシュポートの市長でありながら街を牛耳っている<ブーツ>と、旧知のギャング<マーカス>のいざこざがあるようで、<ホーク>は真相を探り復讐計画を実行していきます。

本書は<スペンサー>というよりは<ホーク>を主人公に据えた異色作で、<スペンサー>の恋人<ス-ザン>と<ホーク>の恋人<セシール>の二人の女性の心の葛藤が、よく描かれていました。
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『「品格バカ」が多すぎる』島村洋子著

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『「品格バカ」が多すぎる』島村...
坂東眞理子さんの『女性の品格』、藤原雅彦さんの『国家の品格』と、どちらの書籍もベストセラーの売れ行きで、巷では「品格」なる言葉が人気があるようです。

ゴールデンウイーク中、何冊かの書籍を読み終えましたが、一番楽しく読めましたのが『「品格バカ」が多すぎる』という島村洋子さんの本です。

<他人の品格をとやかく言うのは、はっきり言って下品です。努力して身につくものではないのだから、悪あがきはやめればいい>とのスタンスで、笑わせてくれました。

雰囲気は、遠藤周作こと狐狸庵先生の女性版といった書き方で、肩を張ることなく一気に読み切りました。

笑いを求めている方には、ぜひお勧めの一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『その街の今は』柴崎友香(新潮文庫)

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『その街の今は』柴崎友香(新潮...
主人公は28歳の<歌ちゃん>、半年前に10年勤めた繊維会社が倒産、いまは「シュガーキューブ」という喫茶店でアルバイトをしています。

31歳の<百田>は年下の彼と暮らしていますが、<歌ちゃん>や<智佐>ちゃんのために合コンを企画、つまらない男たちに当たり文句をいいながら立ち寄ったお店で、<歌ちゃん>はマチ金の取り立てのアルバイトをしている25歳の<良太郎>と知り合います。

<歌ちゃん>んの趣味は、大阪の古い街並みや建物の絵葉書や写真を眺めることで、「自分が歩いているここを、昔も誰かが歩いていた」ことを確認すべく、文中に大阪の地名や建物が随時出てきます。

自分の住んでいる街を愛し、28歳という微妙な年齢の心情が見事に描かれていて、さわやかな読後感を与えてくれる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ウェブ進化論』梅田望夫(筑摩書房:ちくま新書)

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『ウェブ進化論』梅田望夫(筑摩...
今日は一日のんびりと読書をしておりました。2年ほど前に発行された新書ですが、肩もこらずに読み切れました。

ブログのことが書かれた項目が目につきましたので、思わず購入してしまいました。
なるほどと、思いながら読ませていただきました。

ブログが社会現象になったのは、
1 「量が質に転化した」ということ。ブログの面白さ・意義とは、世の中には途方もない数の「これまで言葉を発信してこなかった」面白い人たちがいて、その人たちがカジュアルに言葉を発信する仕組みをもったこと。

2 「書いてもどうせ誰の目にも触れないだろう」から「書けばきっと誰かにメッセージがとどくはず」との意識の変化が動いていること等が、大きな要因として指摘されていました。

もっとおおきな要素として、他者との間で知的生産の創造的発展が期待できることが、一番の魅力ではないでしょうか。

ブログル仲間のコメントは、強い刺激があり、毎回の楽しみです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『海の底』有川浩(角川文庫)

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『海の底』有川浩(角川文庫)
奇想天外な舞台設定でありながら、現実感のある情報で構成されていますので、文庫本で500ページを超す大作ですが、とても面白く読み終えれました。

一般開放されていた横須賀基地の見学会「桜祭」の会場に、人身代のザリガニに似た巨大な甲殻類の大群が押し寄せ、見学者を餌として次々と襲いかかる惨事から物語は始まります。

艦内で起こした不祥事のために<夏木大和>三尉と<冬原春臣>三尉は、上陸許可が出ずに潜水艦『きりしお』に二人して残っていましたが、逃げ惑う子供たち13人を潜水艦内に避難させます。

陸上の警察機動隊による警備体制を強いる内閣危機管理センターの姿を風刺的に描き、艦内の歪んだ子供たちの行動を平行に描きながら、物語は6日間の幕を閉じていきます。

時代を反映してチャットの文章がうまく使われていますが、管理人の名前が<ファルコン>でしたので、少しばかりこそばい感じです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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