記事検索

神戸:ファルコンの散歩メモ

https://jp.bloguru.com/falcon
  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1757件

『退職刑事』永瀬隼介(文春文庫)

スレッド
『退職刑事』永瀬隼介(文春文庫...
表題作を含む5話の短篇が納められていますが、どれも主人公は退官した刑事を取り巻く物語ばかりです。

地道に一つの事件を解き明かしてゆくいわゆる警察小説ではなく、ひとりの人間としての行動やその友人・家族を絡ませ、心にナイフを突き刺すような痛みを感じさせる内容でした。

様々な理由を抱え、職を辞した刑事たちに訪れた人生最後の事件や生態を、見事に描写する文体は、どれも一気に読ませる構成で、鮮やかな結末にため息しか出ませんでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『食堂かたつむり』小川糸(ポプラ社)

スレッド
『食堂かたつむり』小川糸(ポプ...
来月2月6日、<富永まい>監督の映画『食堂かたつむり』が公開されますが、その原作本で2008年1月に(ポプラ社)から単行本が、映画化に際し今月に文庫本が出ました。

主人公の<倫子>は25歳、ある日バイト先のトルコ料理店からマンションに帰宅すると、インド人の恋人に貯めていた現金と家財道具一式を持ち逃げされ、ショックから声が出せなくなってしまい、母一人が住む東北の山中にある実家に身を寄せます。

無一文の<倫子>は、スナックを経営する母<ルリコ>から利子付の借金をして、土地の素材を使って一日一組限定の『食堂かたつむり』を開きますが、お店で料理を食べると願い事がかなうという評判が広がります。

順調なお店のスタートをきった<倫子>ですが、ある日母が癌で余命いくばくもないと教えられ、子供のころから嫌いだった「おかん」との残り少ない生活が始まるのですが・・・。

祖母から教わった料理に対する愛情と、「おかん」が飼っていた雌豚の「エルメス」を通して命の大切さと家畜を大事に食べるという行為が密に描かれ、親子の愛情の再生物語としてほろっとさせられました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

閉店セール@古書店【MANYO】サンプラザ

スレッド
閉店セール@古書店【MANYO...
三宮センター街にありました、後藤書店が2年前に閉店して以来、大きな古書店として重宝していました【MANYO】が閉店します。

三宮駅からほど近いサンプラザ3階という便利な場所にあり、よく利用していました。
このビルの2階には、かって4軒ほどの古書店が並んで営業しており、ブラブラと古書を見て歩くのに、好都合でした。
その4軒も、今は1軒だけが営業を続けています。

書籍離れが言われて久しいですが、文化のバロメーターとして、多くの古書店が並んでいた元町商店街を懐かしく思い出します。

残念ですが、黄色いメンバーズカードも使えなくなります。
閉店セールで1冊30円の文庫本をたくさん買い込みましたので、良しとしましょうか。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『からだのままに』南木佳士(文春文庫)

スレッド
『からだのままに』南木佳士(文...
30代でパニック障害を起こし鬱病に悩み、50代を超えてようやく著者自身が落ち着いて自分の人生の全体を眺めながら書いたエッセイ集が本書です。

医師として作家としての四半世紀を振り返り、新たに自分自身の「からだ」と向き合う日常が、研ぎ澄まされた感性で綴られています。

ペンネームの「南木」は、祖母のように地に足の着いた暮らしを営む人たちの生き様を描く作家になりたかったから、出身地である群馬県嬬恋村の浅間山麓一帯を指す言葉の「南木山」が由来であることを知りました。

母を3歳で亡くし、祖母に育てられた著者ですが、「質素で平凡で、他人の悪愚痴を言わずに営んでいた静かな暮らしの中にわたしを置いてくれたことである」の文章は、なぜか自分自身の子供の頃の想い出と重なり、切ない気持ちで読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『償い』矢口敦子(幻冬舎文庫)

スレッド
『償い』矢口敦子(幻冬舎文庫)
今年最後の読書は、矢口敦子さんの『償い』でした。

36歳の医師が、個人的な家庭問題でホームレスになり、流れ着いた郊外の街で連続殺人事件に遭遇するというあらすじです。

ミステリーですので、細かい内容は省きます。
作者の意図として「人の肉体を殺したら罰せられるけれども、人の心を殺しても罰せられないんだとしたら、あまりにも不公平です」という文章が出てきます。
「他者の心を傷つけた者は、どうやって裁かれるべきなのだろう」という問いかけは考えさせられました。精神も体の一部なんだという視点が、著者にはあるようです。

読みながらこの文章が気になり、何気ない言葉でも、相手によっては心が傷つくのだという怖さを、再認識させていただきました。
心許せる相手だからといっても、言葉の気遣いはいつも大事なことなんだと、自戒を込めて読み切りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『罪・万華鏡』佐々木丸美(創元推理文庫)

スレッド
『罪・万華鏡』佐々木丸美(創元...
1975(昭和50)年、「二千万テレビ懸賞小説」佳作入選作品『雪の断章』でデビューした著者は、2005(平成17)年12月25日に56歳で亡くなられています。

1984(昭和59)年以降からは作品を発表されておらず、発表された全18作品は長いあいだ絶版状態でしたが、2006年から次々と復刊され、本書は『罪灯』(2009年11月)と共に初の文庫化作品で、刊行が著者の命日の12月25日付です。

本書には短篇4篇が連作として納められており、精神科医の<吹原>医師の助手である女性の<私>の視点から、患者の様子が語られていきます。
自己顕示欲、虚栄心、嫉妬心等が渦巻く20代前半の女性の心理状態を、<吹原>は地道な対話と身辺調査で彼女たちの日常に潜む無意識の精神状態を分析していきます。

犯罪者に対して法の下に裁く前に、まずは人間としての精神状況を探ろうとする<吹原>の真摯な態度に、共感を覚える一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『烏金』西條奈加(光文社時代小説文庫)

スレッド
『烏金』西條奈加(光文社時代小...
あくどい金利で金貸しを営んでいる三軒町の<お吟>の家に、うまく潜り込んで金貸し業を手伝う<浅吉>ですが、<お吟>の貯め込んだ金を横取りしようと考えていますが、真意はわからないまま物語は展開していきます。

タイトルにある「烏金」とは、朝方烏が鳴くのに合わせて金を貸し、夕方烏が鳴くと共に利子を付けて返却することを意味しています。

金貸しの立場におりながら、なぜか<浅吉>は金利計算や商売のイロハを知らない借受人に対して手助けをして、なんとか借金地獄から抜けださせようと奮闘、また身寄りのない子供たちにも生活の基盤を築くように導いていきます。

<浅吉>には、なついている<勘三郎>という烏がおり、タイトルと同様に重要な脇役として登場、気の利いた立ち回りを担っています。
江戸時代の金貸し業の内容や両替レートなども詳しくかかれ、<浅吉>と<お吟>の関連も意外な結末としてまとめられ、小気味よい文章が楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『時そば』~料理人季蔵捕物控~和田はつ子(ハルキ文庫)

スレッド
『時そば』~料理人季蔵捕物控~...
旗本の家臣であった<季蔵>は、許婚の<瑠璃>に横恋慕した主家の長男の策略にはまり武士の身分を捨て、一膳飯屋『塩梅屋』の主人になっています。

廻船問屋長崎屋の<長崎五平>は、<松岡亭玉輔>と呼ばれる元噺家でしたが、これから毎月「噺の会」を行うので、その題目に合わせて客に出す料理を作ってほしいと頼まれます。

本書は古典落語として有名な『目黒のさんんま』・『まんじゅう怖い』・『蛸芝居』・『時そば』の4話をタイトルトして、それぞれ江戸時代の料理の解説がなされ、グルメ書としてもおおいに楽しめますが、町娘<お恵>の結婚話を巡る、祈祷師<黄泉山日之助>と<西村屋>のあくどい陰謀をあばく捕り物語が並行して語られていきます。

市井に生きる町人の日々の食生活を中心に、義理と人情が味わえる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『夜を急ぐ者よ』佐々木譲(ポプラ文庫)

スレッド
『夜を急ぐ者よ』佐々木譲(ポプ...
26歳の<原口泰三>は、若い頃に犯した過激テロ行為で裁判所の判決が出る前に出向いた演劇場で偶然、アメリカ留学前の23歳の<岩崎順子>と出会い、一週間日本での想い出作りに行動を共にします。
留学に旅立つ時間は、裁判所の判決が言い渡される後で、無罪なら間に合いましたが、6年の判決が言い渡され、すぐに収監されてしまい空港まで見送りに出向くことはできませんでした。

刑期を終え、社会復帰をした<原口>は就職をはたしますが、すぐに公安が様子見にと顔を出し、次々と職場を首になっていきます。困り果てた彼は、刑務所時代の知人である金融業の社長<中村>を頼り、ボディーガード的な仕事でしのいでいましたが、ある日社長と随行した取引でトラブルが起こり、逃げる立場に追われてしまいます。

逃げ延びてきた沖縄でも追跡者らしき人物と遭遇、台風の影響で身動きが取れず、偶然泊まったホテルにて10年ぶりに<東恩納順子>と名を変えた彼女と再会することになります。

海外逃亡を図る<泰三>の力になろうとする<順子>ですが、運命のいたずらは悲しい結末へと導かれ、またしても二人の交わした約束は叶うことができませんでした
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

『虚ろな感覚』北川歩実(創元推理文庫)

スレッド
『虚ろな感覚』北川歩実(創元推...
本書には、7篇のサスペンス(ミステリー)が納められていますが、どれも巧妙な語り口の中で、最後に「うっ」とさせられる機微にとんだ内容でした。

著者の長篇の場合、どんでん返しがこれでもかと出てきますが、短篇だとそうもいかずに、読み手として「アア~」というところで納まりますので、安心して読めます。

副題に「コミュニケーション感覚」・「現実感覚」・「肉体感覚」等、七つの「・・・感覚」が付いていますが、どの短篇も著者の感性がコンパクトな形にまとめられ、粒ぞろいの短篇集の一冊だと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

ワオ!と言っているユーザー

  • ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
    ログイン
  • まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
    新規ユーザー登録へ
ハッピー
悲しい
びっくり