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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#読書」の検索結果1770件

『建築のちから』内籐廣(王国社)

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『建築のちから』内籐廣(王国社...
普段、自分の仕事関係に関する書籍は読まなくなりました。
建築家独特の言い回しの文脈にも飽きていますし、理想と現実との違いを、再確認するにはいいのかもしれませんが、自分のプロフェッションとしての方向性は見定めているつもりです。
久しぶりに、「建築」関係の書籍を手にいたしました。
筆者は、市井の建築事務所から東京大学土木学科(今は社会基盤学と呼ばれているようです)で、教鞭をとられています。
建築士としての経験を、土木という分野でどう生かされているのかなと、興味を持ちました。

建築は設計者の自己完結性が強く出てくるものですが、周辺環境との調和を考えない方が多いように見受けられます。
立地する敷地や歴史性といった大きな規模での発想が、大事なことだと警告されているのは的を得ていると思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『想い雲』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)

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『想い雲』<みをつくし料理帖>...
前作 『花散らしの雨』 に続き、<みをつくし料理帖>シリーズの第三巻目が本書です。

二月の初午の日に新しいお店で営業を再開した「つる家」も、はや夏の土用の入りが近づき、暑気払いの献立に頭を悩ませています。

戯作者<清右衛門>が版元<坂村堂>を連れて「つる家」を訪れ、<坂村堂>は料理のうまさに自ら雇い入れている料理人に手ほどきをしてほしいと連れてきた男は、<澪>が奉公していた「天満一兆庵」の江戸支店を任されていた若旦那<佐兵衛>の奉公人<富三>で、彼を問い詰めた<芳>は思いがけない息子<佐兵衛>の行状を知らされ、臥せってしまいます。

上方と江戸との料理の素材の違いが面白く、また「包丁」の扱い方などの基本的な料理人の心構えとしての描写は、いつもながら見事です。
上方から運ばれた「鱧」を江戸職人は調理できず、運よく吉原遊郭の翁屋に仕出しに出向くことができた<澪>は、幼馴染の<野江(あさひ太夫)>と夢のような出会いを経験します。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『消えた人達 爽太捕物帳』北原亞以子(文春文庫)

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『消えた人達 爽太捕物帳』北原...
文化3年3月4日(1806年4月22日)の江戸の大火で焼き出された紅白問屋の一人息子<爽太郎>は9歳は、家も親も失いみなしごになってしまいます。

生き延びるために、<爽太郎>はみなしご仲間の<徳松>や<竹次郎>達と手を組み、置き引きやかっぱらいをしていましたが、やがて鰻屋の「十三川」に奉公、一人娘の<おふく>の入り婿となり、また南町奉行の定町周り同心<朝田主馬>の計らいで、岡っ引きとなり、<徳松>と<竹次郎>は手下として働いていました。

そんなある日、同じみなしご仲間の<弥惣吉>から、女房の<おせん>が姿を消したとの相談を受け、探すことになります。
同じ時期、穀物問屋の「武蔵屋」の入り婿<栄之助>も、川越の本店から江戸の支店に出向いた際に姿を消してしまいます。

大火で焼き出されたみなしご仲間のその後の15年間の人世を軸に、男と女の悲哀を描いた情感あふれる物語でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ソロモンの犬』道尾秀介(文春文庫)

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『ソロモンの犬』道尾秀介(文春...
仲のいい大学生仲間の<秋内静(せい)>は秘かに<羽住智佳>に思いを寄せ、<智佳>の高校時代の友人<巻坂ひろ子>と付き合っている<友江京也>と4人で、学生生活を楽しんでいましたが、ある日目の前でみんなが通う大学の微生物学の助教授<椎崎鏡子>の10歳の息子<陽介>の交通事故死を目撃してしまいます。

<静>は、事故の起こる前に<陽介>の飼い犬<オービー>が変な行動をとるのを見ており、急に車道に走り出してリードに引っ張られて<陽介>は事故にあってしまいます。

何が原因なのかが気になる<静>は、同じ大学の動物生態学者の<間宮未知夫>の自宅を訪問、犬の行動についての講義を受けるなか、母親の<鏡子>が首吊り自殺で亡くなってしまいます。

<陽介>や<鏡子>の事件を縦軸に、<静>が恋心を寄せる<智佳>との純真な恋心を横軸として、また犬の行動が大きな伏線となるミステリーが楽しめた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『神様のカルテ』夏川草介(小学館)

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『神様のカルテ』夏川草介(小学...
大和郡山市の「山本病院」が、患者さんに不用な手術を行い死亡させた事件がありました。どこまでが「医師の裁量」なのかを考えさせられる事件だと思います。
お医者さんとは、今の高度医療社会の中ではどのよう立場であるべきなのか、考えないといけないですね。

作者の<夏川草介>氏は、信州大学医学部を卒業後長野県の地域医療の病院に勤めておられる現役のお医者さんです。

自らの体験を基に、軽い語り口調で現在の医療問題をさりげなく指摘されている小説です。

・・・死にゆく人に可能な限りの医療行為をすべて行う、ということが何を意味するのか、人はもう少し真剣に考えなければならぬ。「全てやってくれ」と泣きながら叫ぶことが美徳などという考え方は、いい加減捨てねばならぬ。
助かる可能性があるならば、家族の意志など関係なく最初から医者は全力で治療する。問題となるのは、助からぬ人、つまりは寝たきりの高齢者や癌末期患者に行う医療である。

意識が無く、点滴だけでも生き延びることが出来る時代です。
でもそれが、その人にとって幸せな人生なのか、作者は問われています。

結論の出ない問題だけに、各自で考えなけれないけない時代である事だけは、確かです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『家族の言い訳』森浩美(双葉文庫)

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『家族の言い訳』森浩美(双葉文...
<森浩美>さんと聞いても、ピンと来ませんでした。
<SMAP>や<Kinki Kids>、<酒井法子>等の作詞を多く手掛けている作詞家さんだそうですが、いい短篇を書かれています。

歌詞では、凝縮された世界を表現しなければいけませんが、小説となると幅が広がるのか、心温まるお話が出来あがっています。

愛する人との分かれ、夫婦の関係、親子、人間が生きてゆく日常生活では様々な情景が生じていることだと思いますが、心の変化をうまくとらえておられます。

NHKのラジオドラマでも放送された内容ですので、わたしも読みながらホロッと涙ぐんでしまうことがたびたびありました。

人間関係に疲れたあなたに、ぜひ読んでいただきたい短篇集です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『スノーステーション』篠原高志(リンダブックス)

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『スノーステーション』篠原高志...
12月23日のイブイブから、12月24日のクリスマスイブまでの一日を、青森駅を舞台として、鉄道マンと乗客との人間模様が描かれた一冊でした。

主人公は26歳の<城野修一>で、車掌研修時代のある不祥事で駅員として青森駅に勤務していますが、改札口で9年ぶりに元カノの<横須賀敦子>と偶然顔を合わせるところから物語は始まります。

突然青森駅を襲った爆弾低気圧の大雪で各電車が止まり、選挙の応援演説に来る総理大臣が電車内閉じ込められ、一人で家出してきた5歳の<健太>、白血病の<千里>とその看護師である<北井彩>、推薦受験のために東京に向かう<修一>の後輩<遠藤>など、なんとかして24日中に東京に行かなければならない登場人物たちが、クリスマス寒波に巻き込まれ身動きが取れなくなってしまいます。

青森駅長代理の<山下麻衣子>は、<修一>を駅員として現場に戻した上司ですが、この巻き込まれた乗客たちを救うために<真の鉄道マンとはなにか>を<修一>の行動に教えられ、辞表覚悟である行動を決断します。

それぞれの人生が交錯するエンディングの構成は、猛吹雪の冷たい青森駅のイメージから、ほのぼのとした暖かい気持ちに切り替えさせるてくれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『がらくた』江國香織(新潮文庫)

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『がらくた』江國香織(新潮文庫...
美術史の翻訳家<原柊子>は45歳、マンションに一人住まいの母<津田桐子>の横の部屋を仕事場としています。

母娘でプーケットに旅行した時、離婚して母と住んでいる15歳の帰国女子である<美海>と建築家である父親の<根岸英彦>達と知り合い、<柊子>は<英彦>と一夜限りの関係を持ちます。

日本に帰国後、友人と呼べる仲間も少ない<美海>は<桐子>の家に訪問しを繰り返してゆくなか、<柊子>のテレビ局に勤める夫<原武男>と知り合い、デートを重ねるうちに自らホテルへと誘う関係になってしまいます。

妻以外の女性と多くの関係を持つ<武男>を非難することもなく、夫以外の男性と寝ることもある<柊子>ですが、夫の女性遍歴に目をつぶる夫婦関係は理解できない世界でもどかしさが残りましたが、本作品は「第14回島清恋愛文学賞」(2007年)を受賞していますので、わたしの読み方に問題があるのかもしれません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『蒼きサムライ』福田栄一(MF文庫)

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『蒼きサムライ』福田栄一(MF...
<井伊大老>が暗殺された江戸幕末を舞台に、15歳で元服を済ませた<水谷秀太郎>を主人公に据え、若き武士の心意気を描いた青春小説でした。

ある日<秀太郎>が通う「心厳流」の道場主<杉田格右衛門>が3人の暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負います。

<秀太郎>と道場の先輩達とで事件の解明に臨んだ結果、敵対する「高橋道場」が剣術指南役を狙った企みであることを突き止め、相手の道場に談判に出向いていきます。

また<秀太郎>は道場主の娘<凛>に淡い恋心を抱いていますが、自分は長男で家督を継がなければならず、彼女は婿取りで道場を継がなくてはならない立場を理解しているだけに、年頃の男としての悩みも付きません。

<秀太郎>の謹慎中、母<初枝>の「自分が正しいと思ったことは損得など考えずに貫かなくてはならないということです。それができないのならば、素直に両刀を外して武士などやめてしまうべきよね」の言葉は、本書のタイトルに見事に反映されています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『怪盗探偵 山猫』神永学(角川文庫)

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『怪盗探偵 山猫』神永学(角川...
鮮やかな手並みでビルに忍び込み、金庫から大金をせしめる窃盗犯の<山猫>を主人に据えたピカレスク小説です。

強盗事件で、出版社の社長<今井>が殺されますが、雑誌記者の<勝村>は、先輩でもある<今井>から生前に不審な電話を貰っていました。
殺人現場に取材に出向いた<勝村>は、そこで捜査に当たっている大学の先輩であり刑事の<霧島さくら>と5年ぶりに遭遇します。

現場には<山猫>の仕事の決まりでもあるメッセージが残されていましたが、本庁から捜査にきた<関本>警部補は<霧島>と組むことになるのですが、なぜか彼は<霧島>を冷たく無視、単独行動で捜査に当たります。

変な容疑を掛けられた<山猫>は、<勝村>を利用しながら<今井>が殺された真相に取り組み、麻薬組織と警察の癒着を暴き、さっそうと事件解決後に姿を消してしまいます。

切れ者の<山猫>を主人公として、本庁に抜擢された<霧島さくら>と<勝村>の二人の今後の関係を含め、シリーズ化されそうなエンディングでこれからの続編が楽しみです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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