著者自身の自伝的な行動録の(今のところ唯一の)「エッセイ」ながら、三人称で綴られているので、読み手は「これは小説か」と間違えそうな構成でした。
<登美彦>は勤め先(註:国立国会図書館)の同僚<鍵屋>家の所持する荒れ放題の竹林をきれいにしようと思い立ち、大学の友人<明石>氏と二人で果敢に「竹」の伐採に挑戦し始めます。
全編「竹」に関する<登美彦>の妄想と、京都大学農学部時代の学生生活や作家生活の回想を織り込み、最後は荒れ果てた竹林の手入れを足掛かりとしてMBC(モリミ・バンブー・カンパニー)設立へ夢は膨らんでいきます。
タイトルの『美女と竹林』は、美女がいて竹林があるという意味ではなく、美女と竹林が灯火関係にあることを示しています。
憧れの女優<本庄まなみ>さんとのエピソードも面白く、深く考えることなく著者の人世の一コマが面白く読み切れる一冊でした。
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