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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『今朝の春』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)

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『今朝の春』<みをつくし料理帖...
女料理人<澪>を主人公とする<みをつくし料理帖>シリーズも、 『想い雲』 に次いで第四巻目になりました。

どのシリーズも4話の話で構成されており、四季の移ろいと共に<澪>の旬の料理が楽しめます。

店の常連客の戯作者<清右衛門>が、吉原遊郭の<あさひ太夫>の題材にした戯作を書くということで、隠密に翁屋に出向きますが、<あさひ太夫(野江)>と幼馴染の<澪>は、店内で行われる版元の「坂村堂」との会話が気が気でありません。

両替商伊勢屋の娘<美緒>の大奥への奉公の噺、<おりょう>の大工の亭主<伊佐三>の浮気話、料亭「登龍桜」との料理対決、身分違いの武士<小松原>への淡い恋心等、本書も神無月から節分までの季節を通し、<澪>の料理人としての成長が見事に描かれていました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『京都紫野菓匠の殺人』柏木圭一郎(小学館文庫)

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『京都紫野菓匠の殺人』柏木圭一...
前作の 『京都「龍馬逍遥」憂愁の殺人』 に次ぐ、<名探偵・星井裕の事件簿>シリーズとして本書が第9作目です。

今回写真家の<星井裕>は、雑誌『ラ・ポンテ』の和菓子特集で、京都の老舗和菓子屋「若狭屋源月」を訪問、先代の<島尾源衛門>が亡くなったばかりで息子の<源太>が跡を継ぎ、その嫁<加代>が「和スイーツコンテスト」に優勝、新しいビルを建て変換を計りつつありました。

そんな矢先、<源衛門>と兄弟弟子の「五条梅林堂」の主人<柳裕之>が境内で首つり状態の不審な死を遂げ、その後<加代>までが新築ビルの3階から転落死で亡くなります。

京都の和菓子の老舗を舞台に、元妻の京都府警の刑事<安西美雪>とのコンビで、今回もグルメな話題が楽しめ、<星井裕>の名推理が冴えておりました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『トラや』南木佳士(文春文庫)

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『トラや』南木佳士(文春文庫)
1990年、著者38歳の時に発病した「パニック障害」で総合病院の病棟責任者の職を解かれ、その後「うつ病」と診断された内科医の自伝的小説が『トラや』です。
主人公は「わたし」や「僕」といった主語を使うことなく、切々とした文章で心の動きを表現するという文体が印象的でした。

病院の近くの社宅に住んでいた時に、野良猫が5匹の子猫と共に庭に訪問、その後母猫は消え、残された2匹を<トラ>と<シロ>として、息子たちが小学校3年生と1年生のときに飼いはじめ、<シロ>は途中でいなくなってしまいます。

「うつ病」のため診察業務は午前中だけ、昼からは自ら精神科の受診を続けていく生活のなかで、主人公はいつまで病院勤務ができるかわからず、社宅を出て一戸建を建設、<トラ>のために猫の玄関まで作りつけました。

父親や親せきが亡くなるなか、著者自身も「老い」というものを肌で感じながら、<トラ>と共の15年間の生活が、愛情をこめて見事に描かれていました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『三面記事』角田光代(文春文庫)

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『三面記事』角田光代(文春文庫...
冒頭には、<この小説は実際の事件を発想の発端にしているが、フィクションであり事実とは異なる>と書かれています。

本書には6編の短篇が収められていますが、タイトル通り身近な事件や出来事が掲載されている新聞の三面記事をもとに、著者は自分の事件として大胆な想像力でそれぞれのストーリーを独自の目線で組み立てています。

同僚の教師を殺して自宅に埋めていた男は、区画整理のため26年ぶりに警察に自首する話し、メールで交際相手の妻へ嫌がらせを依頼する依頼人、自分の息子と同じ16歳の高校生に溺れる38歳の主婦、妹に嫉妬して最後は刺殺してしまう姉、年老いたアルツハイマーの母を絞殺してしまう息子の苦悩等、日常的に起こり得る人間社会の縮図が、詰め込まれた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『逸脱』堂場瞬一(角川書店)

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『逸脱』堂場瞬一(角川書店)
10年前の未解決の事件に使われた同じナイフで、殺す手段は絞殺・刺殺・銃殺と違えども、最終的に首に刺す形の3人目の死体が公園で発見されます。

捜査一課の<沢村慶司>は、事件の所轄の中出署の生活安全課の<長沢初美>と組みながら、事件の捜査を進めていきますが、自分の意見を持たない風見鶏的な<西浦>管理官と反りが合わず、一人で事件の捜査を続けていく過程で、元刑事の<鬼塚周平>が犯人ではないかと目星を付けます。
彼は、ずば抜けた能力で刑事の仕事をこなしていましたが、自分の捜査方針と違うことで上司とやり合い、7ヶ月前に警察を首になっていました。

<沢村>は<鬼塚>の思考過程を情報統計官<橋詰真之>の力を借り、最終的に警察の上司を狙うのではと予測、前本部長や署長の狙撃を阻止しますが、反対に<沢村>自身が狙われえる羽目に陥ってしまいます。

自分の判断ミスで過去の事件で少女を死なせてしまった経験を持つ<沢村>ですが、この事件を契機に「最高の刑事になる」ことを目標に猪突猛進に突き進んでゆく姿は、危なくもありまた骨太な警察小説に仕上がっています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『強行犯三係』浜田文人(ハルキ文庫)

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『強行犯三係』浜田文人(ハルキ...
世田谷区経堂の国交省に勤める<柏木悦郎>の15歳の息子<淳>が、木刀で撲殺されるを、『夕刊さくら』の新聞記者<四方春男>の15歳の息子<聖人>が発見、現場から逃げるところを目撃され容疑者になってしまいます。

<聖人>は<淳>が通う中学校の同級生<水島友里恵>と付き合い始め、これに嫉妬した<淳>から、暴行・恐喝を受けていました。

元公安部に勤めていてトラブルで警視庁強行犯第三課に配属された<鹿島伸介>は、部下の<児島要>と事件を担当することになりますが、殺人事件は、彼らの親たちが地上デジタル化に伴う省庁とテレビ局との癒着が浮き上がり、事件は思わぬ方向に流れていきます。

あいかわらずアウトロー的な<鹿島伸介>の独断と偏見の捜査ですが、またその行動が、縦社会の警察組織に対して痛快で、たまらない面白さが楽しめる一冊でした。
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『死相鳥とキッチンガーデン』岩井志麻子(光文社文庫)

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『死相鳥とキッチンガーデン』岩...
子供の頃から「始祖鳥」をなぜか嫌っている主人公<ナオミ>は33歳です。
一度結婚していますがすぐに離婚、風俗業やキャバクラの水商売で生計を立て、ここ最近は貯えていた貯金で世捨て人の生活をしています。

<ナオミ>は霊感が強いのか幽霊が付きまとい、「始祖鳥」ならぬ「死相鳥」に恐怖を覚え、「キッチンガーデン」は幸せの家庭の象徴と考えています。

ある日入店したタイ料理のお店に飾られていた半身が人間の形をした「ガルーダ」という鳥に興味を持ち、バンコクに旅立ちます。

<ナオミ>の目線で人生が語られ、「東京・バンコク・タイ・故郷」と壮絶な経験を通しての投げやり的な生き方が、妙に納得できる内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『愛書家の死』ジョン・ダニング(ハヤカワ文庫)

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『愛書家の死』ジョン・ダニング...
元デンヴァー警察署の刑事であり、今はイースト・コールファックス通の古書店経営者である<クリフォード(クリフ)・ジェーンウェイ>を主人公に据え、古書にまつわる事件を解明していくミステリーシリーズです。

シリーズ第一作目の『死の蔵書』は「ネロ・ウルフ賞」を受賞、本書は第5作目に当たります。

今回<クリフ>は、デンバーの資産家の馬主<ガイガー>が亡くなり、遺産相続のために20年前に死んだ妻<キャンディス>が生涯をかけて収集した蔵書の査定に出向きますが、彼女の死後に何者かによって盗まれた蔵書の行方を調べてほしいとの依頼で調査をはじめます。

古書にまつわる話題を主軸に、自ら厩務員の経歴を持つ著者だけに競馬界にも精通していますので、古書の世界と競馬の世界を行きつ戻りつしながら、行き当たりばったりの捜査が続く<クリフ>の調査にハラハラしながら、著者の複雑な伏線の世界に迷い込み、堪能する一冊でした。

恋人の弁護士<エリン・ダンジェロ>との関係もあやふやに終わりましたので、どうなるかは次作まで持ち越しです。
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『へっつい飯』~料理人季蔵捕物控~和田はつ子(ハルキ文庫)

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『へっつい飯』~料理人季蔵捕物...
<料理人季蔵捕り物帳>シリーズも、前作の 『おとぎ菓子』 に続き、本書で第8巻目になりました。

一膳飯屋塩梅屋の二代目主人として、四季折々の素材で料理を作り上げる描写は、江戸時代の世相を反映していて、読み応えがあります。

本書も4編の作品が連作でつながり、第6巻目の 『時そば』 では師走の落語会でしたが、本書では夏場の納涼会を舞台に元落語家の<長崎屋五平>が久しぶりに登場、「へっつい屋」や「三年桃」・「一眼国」などの噺に合う料理が展開されていきます。

いつも通り市井の事件が横軸に組み込まれ、今回は30年前に起こった押し込み強盗の盗品が現れ、当時下手人とされていた浪人は無実ではないかおもいながら死んでいった岡っ引き<善助>の娘<お美代>が、父のおもいを継ぐように娘岡っ引きとして活躍します。

細かい描写の江戸前料理の面白さと、人情味あふれる登場人物たちが生き生きとしている動きに引き込まれながら、最後まで一気に読める内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『η(イータ)なのに夢のよう』森博嗣(講談社文庫)

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『η(イータ)なのに夢のよう』...
<Gシリーズ>として第5作目の 『λ(ラムダ)に歯がない』 に続くのが本書ですが、正直このギリシア文字に始まるシリーズは、順番に読み継がないと全体構成の意味が分かりずらく、突然本書を読んだ読者は、戸惑う一冊だと思います。

冒頭、神社の境内にある高さ12メートルの松の木に首つり死体があるのを数学者の非常勤講師<深川恒之>が朝の散歩中に発見、神社の絵麻には<η(イータ)なのに夢がない>と書かれており、その後公園の池の中の島でも首つり死体が発見され、同様の言葉が残されていました。

平行して<西之園萌絵>の両親が、10年前の飛行機事故の墜落事故で亡くなった真相に辿りつつあるなか、<西之園>の友人<反町愛>の4階のマンションのバルコニーでまたもや首吊り死体が登場、ネット社会の裏社会の現象かと思わせながらも、最後は最初の発見者<深川>が、講師控室で首吊り自殺しているのが発見されます。

登場人物の会話が多く占める文体の中で、登場人物たちの会話でもって「死」に関する考察にページが割かれていますが、結局本書としては事件の原因は未解決のまま終わります。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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