本書には表題作の『おちゃっぴい』を含め、江戸の下町を舞台とした6篇の物語が納められています。
「おちゃっぴい」とはおてんば娘を指す言い方で、札差業の「駿河屋」の16歳の娘<お吉>のことで、父から薦めらえた21歳の手代<惣助>との縁談に逆らって家を飛び出したものの、偶然出会った絵師の<菊川英泉>の諭しに実家に帰ります。
「甚助店」に住む浪人<花井久四郎・みゆき>夫婦と、長屋の住人との心温まる日常生活、薬種問屋「丁子屋」の倅<菊次郎>が憧れる5歳年上の女筆指南<お龍>とのいきさつなど、なぜか憎めない登場人物たちの喜怒哀楽が、見事に描かれている一冊でした。
本書でも、『天女湯おれん』 (諸田玲子)に登場する「銭湯」の2階の男たちの団欒の場が、江戸庶民の交流の場として一役かっていました。
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