『食堂かたつむり』小川糸(ポプラ社)
1月
15日
主人公の<倫子>は25歳、ある日バイト先のトルコ料理店からマンションに帰宅すると、インド人の恋人に貯めていた現金と家財道具一式を持ち逃げされ、ショックから声が出せなくなってしまい、母一人が住む東北の山中にある実家に身を寄せます。
無一文の<倫子>は、スナックを経営する母<ルリコ>から利子付の借金をして、土地の素材を使って一日一組限定の『食堂かたつむり』を開きますが、お店で料理を食べると願い事がかなうという評判が広がります。
順調なお店のスタートをきった<倫子>ですが、ある日母が癌で余命いくばくもないと教えられ、子供のころから嫌いだった「おかん」との残り少ない生活が始まるのですが・・・。
祖母から教わった料理に対する愛情と、「おかん」が飼っていた雌豚の「エルメス」を通して命の大切さと家畜を大事に食べるという行為が密に描かれ、親子の愛情の再生物語としてほろっとさせられました。