2月
2日,
2022年
「ボス・マネジメント」のすすめ
今日のテーマは「ボス・マネジメント」
ボスって、会社の上司?
はい!「あなたの上司をマネジメントする」ことについて、私の苦い経験も交えながら触れたいと思います。
マネジメントと言うと、ちょっとピンと来ないので、「上司との関係を構築する・管理する」と表現した方が分かりやすいかと思います。
今日の章立て
1.「ボス・マネジメント」の重要性
2.具体的な方法
3.「ボス・マネ」のビフォー&アフター
1.「ボス・マネジメント」の重要性
(1)そもそも、なぜ・何のためにボスは存在するのか?
こんなことを問う機会は少ないと思います。私も組織を離れてみて、改めて気付く素朴な疑問ではあります。しかし当たり前ですが、組織には必要だから存在しているのです。
上司の存在という点で、私が長く外資系企業に勤務して段々見えてきたのは、外資系企業の日本法人の社長には、実はたくさんのボスが存在する、ということ。つまり組織上でより上位レベルから、何かをマネジメントするために上司が存在する、という事実です。
米国企業であれば米国本社の会長・CEOには、その人の直属の上司は存在しないかも知れません。very topだからです。しかし、それ以外の社内の役職者には上司が歴然といるものです。そして、社長とか事業部長という職位に応じた存在意義があり、その職位のミッション・役割があるのは当たり前のこと。
私も30年以上に渡って色々な上司と協業してきましたが、本当に様々な上司がいました。人柄・能力・経験・スキル、そして管理手法などの観点で十人十色。
もちろん、その方個人としての感情や想いも人それぞれです。従って、その職位で求められるミッションに起因する行動様式と、その上司の感情や想いは切り離して考えた方が良い、というのが私の実感値です。
つまり「この人はこういう振る舞いをするが、それはこの人自身の考え方に必ずしも基づくものでは無いかも知れない。組織がそういう考え方や行動様式をその上司に要求している場合もある。」
このような捉えた方をした方が、その上司を支える部下としては納得する、気が休まることも多いかも知れません。
(2)感情と行動の整合
感情の動きと行動スタイルとが100%、整合が取れていることが望ましいですが、会社組織ではなかなか難しいのが現実です。従ってボスという存在の機能的な側面も勘案した方が良いことも多いです。
つまり、あなた自身の目標・目的やミッションを果たすために、上司を効果的に活用する、という発想です。上司の感情面や想いに寄り添い過ぎるのは、あなた自身を押し殺すことになってしまう可能性もあります。しかし一方、上司の感情や想いと余りに懸け離れた行動をあなたが取ると、同じ職場を共にする人間同士としては、仕事が進めずらくなってしまいます。このバランスが大切ということになります。
2.具体的な方法
(1)バランスの問題
上司を「機能的」な側面と「感情的」な側面のバランスを取りながら、上手く協業するためにはどうしたら良いでしょうか?
ここで上司と「協業する」と表現していることに意味があります。「上司を支える」という表現がありますが、個人的には上下関係の匂いが強い印象を受けます。私はむしろボスや上司は「役割」だと捉えています。そして一方、部下の方も、上司が率いる部課やチームをの目的を達成するためにある職務を担当する「役割」を担う者。
この両者がお互いに果たすべき職務を粛々と実行することで、ある目的が達成される。ラグビーで言うと、「バックス」や「フォワード」のメンバーと、「スタンドオフ」のように、ポジションが異なるという関係性です。
(2)具体的な方法
上司との関係づくりを進める方法としては、以下のステップに沿うことが望ましいと思います。
その1.上司を理解する
その2.自分を理解する
その3.お互いの関係性を構築し管理する
こう列挙すると、突飛でもマジックでもなく「なーんだ!」と平板な印象を持たれるかと思います。そうなんです、そんな難しいことでは無く、実は上司との関係づくりだけに限った方法というよりは、他人と協業する際に採用したい基本的は方法です。
敢えて「上司との関係づくり」という観点で、上記①②③に若干の説明を付け加えるとすると、以下のポイントが挙げられます。
①上司が見ているものは、部下であるあなたとは異なる
上司がその上位から期待されている目標値やミッションから推察するに、置かれた環境やプレッシャーの度合が異なることは容易に想像が付きます。ここは部下であるあなたが、その状況を積極的に理解し、共感することが求められる部分です。
例えば部下であるあなたは、依頼された業績分析レポートを書き終え、上司に提出すれば、それで自分の業務は完了です。しかし一方、そのレポートを受け取った上司には、恐らくその後工程に業務が待っているはずです。このことに部下が思いを馳せているかどうか、が重要です。
②自分の「何を」理解するのか?
今さら自分を理解する、と言っても...。その通りですね!上司との協業という観点で自分の「何を」理解したら良いのか? それは自分の仕事に対する考え方や向き合い方を理解する、ということです。
具体的には、業務に関する手続き・やり方などの「行動面」、及び、それを支える心構えや好みなどの「心や感情面」についてです。計画的に緻密に業務をこなしたいのか、集中して短期的に成果物を完成させるのか?など、仕事の進め方のくせのようなものを自分なりに把握・理解するということです。
③関係構築の第一歩は「ワークスタイル」の整合から
上記で触れたように、自分の好みの業務の進め方があるということは、取りも直さずあなたの上司にも同様なものがある、ということです。つまり関係性の構築の第一歩は、上司の「ワークスタイル」を理解し、それに自分を合わせて行くことだと思います。残念ながら相手は変えられませんし、上司なら猶更です。ここは協業する部下として、上司を理解して一歩、譲る姿勢が大切です。
3.「ボス・マネ」のビフォー&アフター
上記の具体的方法のその1からその3が出来たら、どういう効果が得られそうでしょうか? 自分が上司として協業する部下を想像してみると、部下として上司との関係構築がイメージが沸くように思います。恐らく下記のような変化が期待できるのではないでしょうか?
(1)お互いの得意・不得意が分かるようになるので、無用のコンフリクトが回避できる。
(2)情報の流れがスムーズになる
(3)相互信頼の土台が出来る
これらが達成されると、上司との関係性はどのように変化するでしょうか?
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
2月
1日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day18)「貢献に焦点を合わせると人間関係が良くなる」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第3章「貢献を重視する」
【よい人間関係をもつ秘訣】
(1)自らの仕事や人との関係において、貢献に焦点を合わせることにより、初めてよい人間関係が持てるのである。
こうして、人間関係は生産的なものとなる。まさに生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。
(2)我々は、貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発及び人材育成という、成果を上げるうえで必要な人間関係に関わる基本条件を満たすことが出来る。
(3)第一に、長い間、マネジメントの中心課題であったコミュニケーションが可能となる。
これまで研究されてきたのは、経営管理者から従業員へ、上司から部下へ、という下方へのコミュニケーションだった。
(4)これは上司が部下に何かを言おうと努力するほど、かえって部下が聞き間違える危険が大きくなる。
部下は、上司が言うことではなく、自分が聞きたいと期待していることを聞き取る。
(5)仕事において貢献する者は、部下たちが貢献すべきことを要求する。
「組織、及び上司である私は、あなたに対してどのような貢献の責任を持つべきか」「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力をもっともよく活用できる道は何か」を聞く。
(6)その結果、まず部下が「自分はどのような貢献を期待されるべきか」を考えるようになる。
そこで初めて上司の側に、部下の考える貢献について、その有効性を判断する権限と責任が生じる。
(7)第二に、貢献に焦点を合わせることによって、横へのコミュニケーション、即ちチームワークが可能となる。
「私の生み出すものが成果に結びつくためには、誰がそれを利用してくれなければならないか」との問いが、命令系統の上でも下でもない人たちの大切さを浮き彫りにする。
(8)知識組織においては、成果を上げる仕事は、多種多様な知識や技能を持つ人たちで構成されるチームによって行われる。
彼らは、フォーマルな組織構造に従ってではなく、状況の論理や仕事の要求に従って、自発的に協力して働く。
(9)第三に、自己啓発と人材育成はその成果の大部分が、貢献に焦点を合わせるかどうかにかかっている。
「組織の業績に対する自らのもっとも重要な貢献は何か」と自問することは、事実上「いかなる自己啓発が必要か」「いかなる強みを仕事に適用すべきか」を考えることである。
(10)貢献に焦点を合わせるならば、部下、同僚、上司を問わず、他の人の自己啓発を触発することにもなる。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
30日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day16)「組織がなすべき三つの『成果』とは?」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第3章「貢献を重視する」
【三つの領域における貢献】
(1)なすべき貢献には、いくつか種類がある。あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成の三つである。
(2)これら三つの領域すべてにおいて成果を上げなければ、組織は腐り、やがて死ぬ。(中略)もちろん、この三つの領域の重要度は組織によって、さらには、一人一人の人間によって大きく異なる。
(3)第一の「直接の成果」については、はっきり誰にでも分かる。企業においては売上や利益などの経営上の業績である。病院においては患者の治癒率である。
(4)直接的な成果と言っても、誰にも明白なものばかりとは限らない。だが、直接的な成果が何であるべきかが混乱している状態では、成果は期待しえない。
(5)組織には人体におけるビタミンやミネラルと同じように、第二の領域として「価値への取り組み」が必要である。組織は常に明確な目的を持たなければならない。
価値への取り組みは技術面でのリーダーシップを獲得することである場合もあるし(中略)、もっと安く、もっと品質の良い財やサービスを見つけ出すことである場合もある。
(6)第三に、組織は死という生身の人間の限界を乗り越える手段である。従って自らを存続させえない組織は失敗である。明日のマネジメントに当たるべき人間を今日用意しなければならない。
(7)人間社内において、唯一確実なものは変化である。自らを変革できない組織は、明日の変化に生き残ることは出来ない。
(8)貢献に焦点を合わせるということは、人材を育成するということである。人は、課された要求水準に適応する。貢献に照準を当てる人は、ともに働くすべての人間の視点と水準を高める。
(9)貢献に焦点を合わせるということは、責任をもって成果をあげるということである。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
29日,
2022年
久しぶりに名画、山田洋次監督の「息子」を鑑賞
コロナ下ではありますが、今日は久しぶりに映画を観てきました。
それも、山田洋次監督の
「息子」
主演は三國連太郎。
1991年に制作された、とのことなので30年以上前の作品。
第15回日本アカデミー賞最優秀作品賞、
そして
最優秀主演男優賞(三國連太郎)
最優秀助演男優賞(永瀬正敏)。
それになって言ったって
最優秀助演女優賞の
和久井映見
が可愛い上に、名演技。
たまたま地元の文化センターでの特別上映会。
ストーリーは、なかなか切ない感じ。
ぜひ皆さんにも観て頂きたいです。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
27日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day14)「成果を出すためには『習慣化』が必要」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第2章「なぜ成果があがらないのか」
【それは習得できる能力である】
(1)もし成果をあげる能力が修得できるものであるならば、問題は次のようなものとなる。
「その能力は何から成り立つか」
「具体的に何を修得すべきか」
「修得の方法はいかなるものか」
「その能力は知識か。知識として体系的に修得できるか」
(2)私はこれらの問題を長年考えてきた。コンサルタントとして多くの組織と仕事をしてきたが、成果を上げることは私自身にとっても二つの意味で重要だった。
(3)第一に、知識の権威としてのコンサルタントは、自らが成果を上げなければならない。
(4)第二に、客のもっている成果を上げる能力が、結局のところは、コンサルタントが貢献し成果をあげられるか、単なるコストセンター、あるいはせいぜい道化師の役割しか果たせないかを決定する。
(5)成果を上げる人間のタイプなどというものは存在しない。成果を上げる人たちは、気性や能力、仕事や仕事の方法、性格や知識や関心において千差万別だった。共通点は、なすべきことを成し遂げる能力を持っていたことだけだった。
(6)成果を上げる人に共通しているのは、自らの能力や存在を成果に結びつける上で必要とされる習慣的な力である。
(7)成果を上げることは一つの習慣である。習慣的な能力の集積である。そして習慣になるまで、いやになるほど反復しなければならない。
(8)私は小さいころ、ピアノの先生にこう言われた。「残念ながら、君はモーツァルトをシュナーベルにように弾けるようにはならない。でも音階は違う。音階はシュナーベルのように弾かなければならない。」
(9)偉大なピアニストたちでさえ、練習に練習を重ねなかったならば、あのように弾けるようにはならなかった、ということである。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
26日,
2022年
自分のキャリアを、立ち止まって見直すということ(第二話)
「キャリアを見直す」
というタイトルで綴って行きます。
そして今日は、私が大学院へ通っていた時に気付いたことを、ストーリー仕立てにしてお伝え致します。
章立て
1.相談
2.学びの中で気付くこと
3.決断
1.相談
「砂村さん、でもよく決断されましたよね?」
少し酔ったのか、同期入学の佐藤さんはこう単刀直入に質問を投げてきた。大学院の週末授業が終わった直後の、打ち上げの宴席でのことである。
「確かに、佐藤さんにはそう見えるよね。でも30年以上も同じような仕事をしていると、そろそろ良いかな、と感じることも多くなっていたのも事実なんだ。」
2.学びの中で気付くこと
佐藤さんは続ける。
「私は今42歳。ちょうど砂村さんが仕事を求めて海外へ行こうとして時期に重なります。これまで日系企業で海外市場の開拓や海外子会社の管理、経営企画などを経験してきたんです。あっという間の20年でした。」
「なるほど!大学院の授業での佐藤さんの発言を聞いていると、優秀でこれまで様々な成果を上げてきただろうな、と思いましたね。私にもこんな部下がいたら、毎日の仕事も楽しく感じただろうに、と。これは失礼、ちょっと愚痴っぽくなってしまった。」
「いや、砂村さんにそう言われると照れますけど、はい。色々なことをやらせてもらいました。なので、そろそろ....いえ、私の話は良いんです。
そもそも砂村さんはどうしてそのお歳で、失礼な言い方でごめんなさい、大学院でMBAを取ろうと思ったのですか?既に中小企業診断士も持っていらっしゃるのだから、今更必要ないんじゃないんですか?」
かなり酒が回って来たのか、口調がぞんざいになってきた佐藤さんだが、質問は妙に的を得ている。
「確かにそうだよね!必要は無かったのかも。MBA学位には20代の頃から憧れていた。学卒で入社した外資系企業で私のアメリカ本社の友人は全員、MBAホールダーだった。
それから、この歳で入学した理由は、友達が欲しかったからかも?同じ学ぶ仲間を探していた。独立起業のためのアイディアを得たいと考えていたんだ。」
「なるほど、その理由を聞いて良く分かりました。MBAの授業は砂村さんの独立起業に役立っていますか?」
「とっても役立っているね!先生たちの言う理論が必ずしも実践できる訳ではないけど(笑)。自分のビジネスで「トライ・アンド・エラー」出来るメリットは大きいね。」
「そうですか!それは良かったです。他はどうですか?例えばキャリア構築という点で。」佐藤さんは畳みかけるように問いを投げてくる。
「実は、授業で若い皆さんの見解を聞きながら、感じることがある。
もし自分が佐藤さんと同じくらいの年齢で、この大学院でMBAクラスで学んでいたら、その後の人生はどうなっていたのだろうか?と。」
「え、どうなっていた、と思うのですか?」
「それまでの仕事や職種を狭い世界に閉じ込めていた、と感じて、キャリアの方向性を変えていたかも知れない。
外資系企業で仕事をしていると自分の専門分野や専門スキルを特定化することにどうしても焦点を当てることになってしまう。これはキャリア構築にはもちろん良いことだと一般的には考えられている。」
「はい、むしろ日系企業で働いていると、その点が手薄になっていると非難されます。だから最近『ジョブ型』と言われ出した、みんなビビっているんです。」
「そして専門スキルや専門分野での経験値が上がれば、より上のポジションをより高給で転職出来るようになる。しかし私の場合、逆にジェネラルマネジメントをもう少し実地で学ぶ機会があったら、社長業への転身ももっとスムーズに出来たかも知れない、と感じるんだ。」
「『社長業』ですか?」
3.決断
私は酔った勢いも手伝ってもらって、想いを伝える。
「今のMBAクラスに通学している人の殆どが、大企業のミドルマネジメント層だ。恐らく皆さんはその延長線上でキャリアを進めていくのだと思う。外資系企業に勤務している人はMBAホールダーとしてより高い職位へと転職していくことも多いような気がする。」
「まあ、そうでしょうね!それが分かりやすいです。」
「一方、折角MBAでケースから沢山学んだのだから、中小中堅企業へ転職して、その立て直しや戦略立案と実践で活躍して欲しい、と思うね。
そして、このキャリアチェンジは40代の前半が最後のチャンスだと思う、私が家族を連れて海外へ行ったタイミングだ。」
佐藤さんは私の話を穴が開くように聞き入っていた。
大学院を修了して少し経ったが、佐藤さんがその後どのようなキャリアを選択したかは聞いていない。今の会社で順調に昇進する道を選んだのか、MBAホールダーとして転職を果たしたのか? それとも......
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
24日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day12)「成果を上げるためには『外の世界』を知覚すべし」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第2章「なぜ成果があがらないのか」
【組織の存在理由】
(1)外の世界への奉仕という組織にとっての唯一の存在理由からして、人が少ないほど、組織が小さいほど、組織の中の活動が少ないほど、組織はより完全に近づく。
(2)組織は存在することが目的ではない。(中略)組織は社会の機関である。外の環境に対する貢献が目的である。
(3)しかるに、組織は成長するほど、特に成功するほど、組織に働く者の関心、努力、能力は、組織の中のことで占領され、外の世界における本来の任務と成果が忘れられていく。
(4)この危険は、コンピュータと情報技術の発達によってさらに増大する。(中略)外の重要なことは、もはや手遅れという時期にならないと、定量的な形では入手できない。
(5)根本的な問題は、組織にとってもっとも重要な意味をもつ外の出来事が、多くの場合、定性的であり、定量化できないところにある。
(6)外の世界における真に重要なことは、趨勢ではない。変化である。
(7)組織に働く者は、必然的に組織の中に生き、仕事をする。従って、意識的に外の世界を知覚すべく努力しなければ、やがて内部の世界の圧力によって、外の世界が見えなくなる。
(8)ものごとをなすべき者は、成果をあげることを学ぶべく、特別の努力を払わないかぎり、成果を上げられないことを知らなければならない。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
22日,
2022年
ICF 「 PCC Markers」を読んで気付くこと
今年は受検するぞ!と決心した
「ICFコーチ資格」
ICFとは「International Coaching Federation」で、世界的なコーチングの機関です。
その機関が認定しているプロコーチ資格を、私は今年受検しようと準備を進めています。
私がチャレンジしようとしているのは、3段階ある資格のうち「Professional Certified Coach」(PCCと略す)。
このレベルのプロコーチは、コーチングというものをどう理解して、かつ、セッションで、どのようなことを体現し、どんなことをクライアントにもたらすのか?
それを規定しているのが「PCC Markers」と呼ばれるものです。
今日は、そのPCC Markersをざっくりご紹介しつつ、私が個人的に気付いたことや、特筆すべき点をいくつか、お伝え致します。
なお原文は英語で、その日本語訳はICFJ(国際コーチング連盟日本支部)に依るものです。
今日の章立て
1.PCC Markersの全体像
2.私が気付いた点・特筆すべき点
1.PCC Markersの全体像
PCC Markers全体の章立ては以下の通りです。
コンピテンシー1:倫理に基づいたコーチングを実践している
コンピテンシー2:コーチングマインドを体現している
コンピテンシー3:合意の確立と維持
コンピテンシー4:信頼と安全を育む
コンピテンシー5:今ここに在り続ける
コンピテンシー6:積極的傾聴
コンピテンシー7:気づきを引き起こす
コンピテンシー8:クライアントの成長を促進する
2.私が気付いた点・特筆すべき点
(1)コーチはクライアントと「パートナー関係」にあり、コーチングはクライアントが達成したいことを手助けする取り組みである。
(2)「クライアント・フォーカス」、すなわちクライアントの持つ才能、経験、取り組んでいることを認め、クライアント自身の存在を尊重している。
(3)クライアントのパートナーとして、コーチ自身の「在り方」が問われる。
(4)コーチはクライアントの使う言葉はもちろん、エネルギーの変化、非言語的な合図、その他の行動も含めて、傾聴・観察・探索する。
(5)質問によって、クライアントの気づきを引き出し、考え方・感情・価値観・欲求・信念などを探索できるように促す。
(6)コーチはクライアントとの関わりを通じて、クライアントの進歩・学び・成長を促している。
上記を、短いコーチング・セッションの中で、実現・達成できるような関わりが、どの程度出来ているか?
これが実技試験では問われていると理解しました。達成できるように意識してセッションに臨んで行きます!
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
18日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day11)「知識労働者の貢献と成果を阻むもの」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第2章「なぜ成果があがらないのか」
【働く者をとりまく組織の現実】
1.組織に働く者の置かれている状況は、成果をあげることを要求されながら、成果をあげることが極めて困難になっている。
まさに、自らが成果をあげられるように意識して努力しないかぎり、周りをとりまく現実が彼らを無価値にする。
2.組織に働く者は、自分ではコントロールできない「四つの大きな現実」に取り囲まれている。
3.彼らにとっては、それらのものと共生するしか選択の余地はない。しかし、それら四つの現実のいづれもが、仕事の成果をあげ、業績をあげることを妨げようと圧力を加えてくる。
(1)時間はすべて他人に取られる。
①誰でも彼の時間を奪える。現実に、誰もが奪う。
(2)自ら現実の状況を変えるための行動を取らない限り、日常業務に追われ続ける。
①しかも日常の仕事は、本当の問題点どころか、何も教えてくれない。
②彼らに必要なのは、本当に重要なもの、つまり貢献と成果に向けて働くことを可能にしてくれるものを知るための基準である。
(3)組織で働いているという現実がある。
①他の者が彼の貢献を利用してくれる時にのみ、成果をあげることが出来る、という現実である。
②組織は一人一人の人間の強みを発揮させるための仕組みである。
③通常、成果をあげるうえで最も重要な人間は、直接の部下ではない。他の分野の人、組織図の上では横の関係にある人である。あるいは上司である。
(4)組織の内なる世界にいるという現実がある。
①誰もが自らの属する組織の内部を最も身近で直接的な現実として見る。一方、外の世界で何が起こっているかは、直接には知りえない。
②しかるに、組織の中に成果は存在しない。全ての成果は外の世界にある。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
16日,
2022年
コーチングクラスでの「学び直し」で気付くこと(2)
今年の漢字一字は
「原(源)」
文字通り原点に返る、源を再確認する。
ということで、以前通った銀座コーチングスクールのクラスを「再受講」しています。
私は講師として「教える立場」でコーチングに関わった経験はあります。ここで改めて
「コーチング」とは何か?
神髄に迫ろうと考えての学び直し、です。
昨日に引き続き今日も、再度気付いたことを列挙しておきます。
1.「事実」「解釈」「感情」をきちんと分ける
2.セッションテーマを設定する際は「きっかけ・背景」を掘り下げる
3.目標とのギャップを認識してもらうために、現状の進捗度を言語化してもらう
1.「事実」「解釈」「感情」をきちんと分ける
(1)自分で話をしたり、相手の話を聞いている際に、ついやりがちなのは「思い込み」。
それは「事実」なのか、自分なりの「解釈」なのか?また、解釈を飛び越えて「感情」なのか?よく見極める必要がある。
(2)特に今日のコーチングクラスで講師から、「感情」が「事実」や「解釈」を上塗りしてしまう、という指摘があった。
(3)これにはグッときた!これらを、特に「感情」をコントロールしないと、状況を正しく把握できない。そしてコントロールすべきは自分の感情だ!
2.セッションテーマを設定する際は「きっかけ・背景」を掘り下げる
(1)セッションを開始する際の「テーマ設定」。これは必須だが、その際にそのテーマを選ぶ「きっかけ・背景」を確認すること。
(2)これはコーチ側にとってセッションテーマを正しく理解する目的ではあるが、実は一方、クライアント側にとっても重要な意図がある。
(3)「きっかけ・背景」を語ってもらうことが「目標設定」に繋がるからである。
きっかけ・背景を深掘りする過程で、セッションの目標をどの辺りに置いたら良いのか?が明確になっていく。
(4)ここで言う「目標の明確化」とは、「どういう状態になっていたら、目標に達成したと言えるのか?」というクライアントの「判断基準」が明確になっていることも含まれている。
3.目標とのギャップを認識してもらうために、現状の進捗度を言語化してもらう
(1)これはいわゆる「目標が達成されている状態を100とすると、現状はいくつですか?」という問い掛け。別名「スケーリング」とも言う。
(2)この問いは自分は、余り使っていないと気が付いた。
(3)しかし、目標と現状のギャップを「数値化」することは、改めてクライアントに様々なことを明示することにつながる。
(4)例えば、このようなことが可視化出来る。
①これまで何が達成されているのか?
②目標達成まで、まだどれくらいの道のりがあるのか?
③行動をすることによって、いつまでに、どれくらいギャップが埋まるのか?
とてもパワフルな問いかけである。ぜひ活用したい。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお