3月
26日,
2022年
「リーダーシップ」というものを思う時(10)「リーダーの果たす役割とは?」
先日、あるプロコーチからコーチング・セッションを受けました。そのコーチの方とはプロコーチではあるものの、定期的にお互いにセッションを提供しあう仲間。
お互いプロ同士で、気心が知れているからこそ、かなり踏み込んだ深いテーマを扱ったり、普通はしないようなきわどい「フィードバック」も必要に応じて出来るお相手。
そんな彼と、「リーダーシップ」をテーマで話をしました。するとそのセッションの中ほどでコーチから、こんな問い掛けがありました。
「それで、よしおさんは『リーダーの果たす役割』って、何だと思いますか?」
来たー!って感じ。
そして私は、頭に直観的に浮かんだ、こんな答えを返しました。
「そうですね、2つあるように思います。
一つは『先見性』。チームや組織を引っ張っていくには、世の中がこれからどんな風になっていくのか、その方向性をいつも注視して、ある程度見通しておくことが必要のような気がします。」
「それからもう一つは『決めること』かな?
情報はいくらでも手に入る時代。そしてその得た情報自体が正しいのか、最新なのかの判断が難しい現代。でもとにかく決めないと前に進めない。
やってみないと分からないことが多いので、早く決断してチームや組織を動かして行くことが必要。もちろん「実行しないと決める」という決断も重要ですね!」
実はこの答えを私は、前もって考えていた訳ではない。セッション中にコーチからいきなり出された問い掛けで引き出されたのだ。
「リーダーの役割」には、上記2つ以外にも果たすべきものは山ほどある。
しかし私はリーダーの端くれとして、少なくとも
「先見性」
そして
「決めること」
は肝に銘じて、活動して行きたい。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
13日,
2022年
「上質な会話」が人を動かす(Day1)「『1on1ミーティング』の究極のゴールは?」
最近にビジネス界では「1on1ミーティング」導入が花盛り。元々は米国のシリコンバレーにあるIT企業で導入され、それが日本へ「輸入」されたものだ。
私は外資系数社で働いた経験があるが、実は「1on1ミーティング」という名の、上司部下間の会議が、制度化されていた記憶はない。
むしろ私が勤務していた会社では、上司と部下、もしくは同僚同士での「立ち話」が、かなり頻繁に行われていた記憶がある。
高さが1m20cmくらいだろうか、少し低めのパーティションにもたれながら、
「確かにそういう課題はあるよね!それで、お客さんは何て言っているの?」
「課長、例にプロジェクトでちょっとやっかいなことがあって滞っているですけど、どう進めらたらいいのでしょうか?」
「そういえば、調査を頼んでおいた例の案件、今どんな感じ?」
今思い出すと、上司・部下・同僚同士、かなり自由に会話が行われていたように感じる。
それも「こそこそ」「ひそひそ」ではなくオープンで、周りの人たちが聞こえるくらいの声でだ。
もちろん「ヒト」に纏わる話題やプライベートなことは、状況を勘案して会議室で話されていたはずだ。
「分かりました、課長。その方向で検討してみます。また進捗を連絡します!」
「いやー実は、まだ調査は進んでいないんです。今週末の時点で、取り敢えず分かったことだけですが、ご報告します。」
課長や部長、そして役員までが参加?する「立ち話」だが、上長たちがどんな言葉がけや問いかけ、また助言や指示などをしていたのだろうか?
私が20年間勤務していた米国系企業には、いくつか会社の会社運営に関するポリシーがあった。その中で印象に残っているpolicyの一つ(今となってはうろ覚えで英語的には???だが)は、
Employee oriented, Manager supported
つまり、
・社員が主体者、マネジャーは支援者
・環境を用意すれば、社員は自らの意思で行動を起こす
・マネジャーの仕事は「環境を創る」こと
従って、マネジャーは、細かい指示や命令をすることより、部下の意向ややりたいことを聞いた上で、それを実行するための支援をする、と考えられていたのだと思う。
「1on1ミーティング」の究極の到達点は、きちんと2週間に一度50分、上司部下が定例的に会議室で話をすることではなく、
上記のような短いながらも「上質な会話」が、オフィスの至るところで、組織の様々な階層間で、行われるようになることだと強く信じている。
「1on1ミーティング」自体は、その実践するための「前段階」の制度の一つと理解したい。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
2月
6日,
2022年
今日も一日、英語漬け!(English version)
This is Yoshio Sunamura, Professional Coach encouraging people who work in organizations or companies.
Today I attended the class in English on the second day about "Organizational Psychology" at NUCB business school.
NUCB business school is the one which I graduated from two years ago and I have obtained the maser degree as MBA at the school.
This school sometimes provides us with a special offer to allow us to attend the MBA class in English with very low fee. So, I decided to attend it.
The topic today was Organizational Psychology, especially on
- Gender Essentialism
- Motivation
What interested me most today was "motivation".
So, let me just share a youtube video by Daniel Pink about Motivation
https://www.youtube.com/watch?v=rrkrvAUbU9Y
Mr. Daniel Pink is the author of the book called "Drive"
(邦訳名「モチベーション3.0」)
Enjoy the following TED talk!
See you tomorrow!
Yoshio
Professional Coach
2月
2日,
2022年
「ボス・マネジメント」のすすめ
今日のテーマは「ボス・マネジメント」
ボスって、会社の上司?
はい!「あなたの上司をマネジメントする」ことについて、私の苦い経験も交えながら触れたいと思います。
マネジメントと言うと、ちょっとピンと来ないので、「上司との関係を構築する・管理する」と表現した方が分かりやすいかと思います。
今日の章立て
1.「ボス・マネジメント」の重要性
2.具体的な方法
3.「ボス・マネ」のビフォー&アフター
1.「ボス・マネジメント」の重要性
(1)そもそも、なぜ・何のためにボスは存在するのか?
こんなことを問う機会は少ないと思います。私も組織を離れてみて、改めて気付く素朴な疑問ではあります。しかし当たり前ですが、組織には必要だから存在しているのです。
上司の存在という点で、私が長く外資系企業に勤務して段々見えてきたのは、外資系企業の日本法人の社長には、実はたくさんのボスが存在する、ということ。つまり組織上でより上位レベルから、何かをマネジメントするために上司が存在する、という事実です。
米国企業であれば米国本社の会長・CEOには、その人の直属の上司は存在しないかも知れません。very topだからです。しかし、それ以外の社内の役職者には上司が歴然といるものです。そして、社長とか事業部長という職位に応じた存在意義があり、その職位のミッション・役割があるのは当たり前のこと。
私も30年以上に渡って色々な上司と協業してきましたが、本当に様々な上司がいました。人柄・能力・経験・スキル、そして管理手法などの観点で十人十色。
もちろん、その方個人としての感情や想いも人それぞれです。従って、その職位で求められるミッションに起因する行動様式と、その上司の感情や想いは切り離して考えた方が良い、というのが私の実感値です。
つまり「この人はこういう振る舞いをするが、それはこの人自身の考え方に必ずしも基づくものでは無いかも知れない。組織がそういう考え方や行動様式をその上司に要求している場合もある。」
このような捉えた方をした方が、その上司を支える部下としては納得する、気が休まることも多いかも知れません。
(2)感情と行動の整合
感情の動きと行動スタイルとが100%、整合が取れていることが望ましいですが、会社組織ではなかなか難しいのが現実です。従ってボスという存在の機能的な側面も勘案した方が良いことも多いです。
つまり、あなた自身の目標・目的やミッションを果たすために、上司を効果的に活用する、という発想です。上司の感情面や想いに寄り添い過ぎるのは、あなた自身を押し殺すことになってしまう可能性もあります。しかし一方、上司の感情や想いと余りに懸け離れた行動をあなたが取ると、同じ職場を共にする人間同士としては、仕事が進めずらくなってしまいます。このバランスが大切ということになります。
2.具体的な方法
(1)バランスの問題
上司を「機能的」な側面と「感情的」な側面のバランスを取りながら、上手く協業するためにはどうしたら良いでしょうか?
ここで上司と「協業する」と表現していることに意味があります。「上司を支える」という表現がありますが、個人的には上下関係の匂いが強い印象を受けます。私はむしろボスや上司は「役割」だと捉えています。そして一方、部下の方も、上司が率いる部課やチームをの目的を達成するためにある職務を担当する「役割」を担う者。
この両者がお互いに果たすべき職務を粛々と実行することで、ある目的が達成される。ラグビーで言うと、「バックス」や「フォワード」のメンバーと、「スタンドオフ」のように、ポジションが異なるという関係性です。
(2)具体的な方法
上司との関係づくりを進める方法としては、以下のステップに沿うことが望ましいと思います。
その1.上司を理解する
その2.自分を理解する
その3.お互いの関係性を構築し管理する
こう列挙すると、突飛でもマジックでもなく「なーんだ!」と平板な印象を持たれるかと思います。そうなんです、そんな難しいことでは無く、実は上司との関係づくりだけに限った方法というよりは、他人と協業する際に採用したい基本的は方法です。
敢えて「上司との関係づくり」という観点で、上記①②③に若干の説明を付け加えるとすると、以下のポイントが挙げられます。
①上司が見ているものは、部下であるあなたとは異なる
上司がその上位から期待されている目標値やミッションから推察するに、置かれた環境やプレッシャーの度合が異なることは容易に想像が付きます。ここは部下であるあなたが、その状況を積極的に理解し、共感することが求められる部分です。
例えば部下であるあなたは、依頼された業績分析レポートを書き終え、上司に提出すれば、それで自分の業務は完了です。しかし一方、そのレポートを受け取った上司には、恐らくその後工程に業務が待っているはずです。このことに部下が思いを馳せているかどうか、が重要です。
②自分の「何を」理解するのか?
今さら自分を理解する、と言っても...。その通りですね!上司との協業という観点で自分の「何を」理解したら良いのか? それは自分の仕事に対する考え方や向き合い方を理解する、ということです。
具体的には、業務に関する手続き・やり方などの「行動面」、及び、それを支える心構えや好みなどの「心や感情面」についてです。計画的に緻密に業務をこなしたいのか、集中して短期的に成果物を完成させるのか?など、仕事の進め方のくせのようなものを自分なりに把握・理解するということです。
③関係構築の第一歩は「ワークスタイル」の整合から
上記で触れたように、自分の好みの業務の進め方があるということは、取りも直さずあなたの上司にも同様なものがある、ということです。つまり関係性の構築の第一歩は、上司の「ワークスタイル」を理解し、それに自分を合わせて行くことだと思います。残念ながら相手は変えられませんし、上司なら猶更です。ここは協業する部下として、上司を理解して一歩、譲る姿勢が大切です。
3.「ボス・マネ」のビフォー&アフター
上記の具体的方法のその1からその3が出来たら、どういう効果が得られそうでしょうか? 自分が上司として協業する部下を想像してみると、部下として上司との関係構築がイメージが沸くように思います。恐らく下記のような変化が期待できるのではないでしょうか?
(1)お互いの得意・不得意が分かるようになるので、無用のコンフリクトが回避できる。
(2)情報の流れがスムーズになる
(3)相互信頼の土台が出来る
これらが達成されると、上司との関係性はどのように変化するでしょうか?
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
2月
1日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day18)「貢献に焦点を合わせると人間関係が良くなる」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第3章「貢献を重視する」
【よい人間関係をもつ秘訣】
(1)自らの仕事や人との関係において、貢献に焦点を合わせることにより、初めてよい人間関係が持てるのである。
こうして、人間関係は生産的なものとなる。まさに生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である。
(2)我々は、貢献に焦点を合わせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発及び人材育成という、成果を上げるうえで必要な人間関係に関わる基本条件を満たすことが出来る。
(3)第一に、長い間、マネジメントの中心課題であったコミュニケーションが可能となる。
これまで研究されてきたのは、経営管理者から従業員へ、上司から部下へ、という下方へのコミュニケーションだった。
(4)これは上司が部下に何かを言おうと努力するほど、かえって部下が聞き間違える危険が大きくなる。
部下は、上司が言うことではなく、自分が聞きたいと期待していることを聞き取る。
(5)仕事において貢献する者は、部下たちが貢献すべきことを要求する。
「組織、及び上司である私は、あなたに対してどのような貢献の責任を持つべきか」「あなたに期待すべきことは何か」「あなたの知識や能力をもっともよく活用できる道は何か」を聞く。
(6)その結果、まず部下が「自分はどのような貢献を期待されるべきか」を考えるようになる。
そこで初めて上司の側に、部下の考える貢献について、その有効性を判断する権限と責任が生じる。
(7)第二に、貢献に焦点を合わせることによって、横へのコミュニケーション、即ちチームワークが可能となる。
「私の生み出すものが成果に結びつくためには、誰がそれを利用してくれなければならないか」との問いが、命令系統の上でも下でもない人たちの大切さを浮き彫りにする。
(8)知識組織においては、成果を上げる仕事は、多種多様な知識や技能を持つ人たちで構成されるチームによって行われる。
彼らは、フォーマルな組織構造に従ってではなく、状況の論理や仕事の要求に従って、自発的に協力して働く。
(9)第三に、自己啓発と人材育成はその成果の大部分が、貢献に焦点を合わせるかどうかにかかっている。
「組織の業績に対する自らのもっとも重要な貢献は何か」と自問することは、事実上「いかなる自己啓発が必要か」「いかなる強みを仕事に適用すべきか」を考えることである。
(10)貢献に焦点を合わせるならば、部下、同僚、上司を問わず、他の人の自己啓発を触発することにもなる。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
30日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day16)「組織がなすべき三つの『成果』とは?」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第3章「貢献を重視する」
【三つの領域における貢献】
(1)なすべき貢献には、いくつか種類がある。あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成の三つである。
(2)これら三つの領域すべてにおいて成果を上げなければ、組織は腐り、やがて死ぬ。(中略)もちろん、この三つの領域の重要度は組織によって、さらには、一人一人の人間によって大きく異なる。
(3)第一の「直接の成果」については、はっきり誰にでも分かる。企業においては売上や利益などの経営上の業績である。病院においては患者の治癒率である。
(4)直接的な成果と言っても、誰にも明白なものばかりとは限らない。だが、直接的な成果が何であるべきかが混乱している状態では、成果は期待しえない。
(5)組織には人体におけるビタミンやミネラルと同じように、第二の領域として「価値への取り組み」が必要である。組織は常に明確な目的を持たなければならない。
価値への取り組みは技術面でのリーダーシップを獲得することである場合もあるし(中略)、もっと安く、もっと品質の良い財やサービスを見つけ出すことである場合もある。
(6)第三に、組織は死という生身の人間の限界を乗り越える手段である。従って自らを存続させえない組織は失敗である。明日のマネジメントに当たるべき人間を今日用意しなければならない。
(7)人間社内において、唯一確実なものは変化である。自らを変革できない組織は、明日の変化に生き残ることは出来ない。
(8)貢献に焦点を合わせるということは、人材を育成するということである。人は、課された要求水準に適応する。貢献に照準を当てる人は、ともに働くすべての人間の視点と水準を高める。
(9)貢献に焦点を合わせるということは、責任をもって成果をあげるということである。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
24日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day12)「成果を上げるためには『外の世界』を知覚すべし」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第2章「なぜ成果があがらないのか」
【組織の存在理由】
(1)外の世界への奉仕という組織にとっての唯一の存在理由からして、人が少ないほど、組織が小さいほど、組織の中の活動が少ないほど、組織はより完全に近づく。
(2)組織は存在することが目的ではない。(中略)組織は社会の機関である。外の環境に対する貢献が目的である。
(3)しかるに、組織は成長するほど、特に成功するほど、組織に働く者の関心、努力、能力は、組織の中のことで占領され、外の世界における本来の任務と成果が忘れられていく。
(4)この危険は、コンピュータと情報技術の発達によってさらに増大する。(中略)外の重要なことは、もはや手遅れという時期にならないと、定量的な形では入手できない。
(5)根本的な問題は、組織にとってもっとも重要な意味をもつ外の出来事が、多くの場合、定性的であり、定量化できないところにある。
(6)外の世界における真に重要なことは、趨勢ではない。変化である。
(7)組織に働く者は、必然的に組織の中に生き、仕事をする。従って、意識的に外の世界を知覚すべく努力しなければ、やがて内部の世界の圧力によって、外の世界が見えなくなる。
(8)ものごとをなすべき者は、成果をあげることを学ぶべく、特別の努力を払わないかぎり、成果を上げられないことを知らなければならない。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
20日,
2022年
中小企業にこそ導入して欲しい「パーパス経営」
今日は、新聞やビジネス雑誌で最近、頻繁に目にするようになった
「パーパス経営」
と、中小企業について少し触れたいと思います。
なお、飽くまで私の個人的な見解なので、ご承知おきをお願い致します。
今日の章立て
1.「パーパス経営」とは
2.昨今の企業に足りていないこと
3.中小企業こそ、パーパス、「存在意義」の再確認を!
1.「パーパス経営」とは
(1)パーパス(purpose)とは、ロングマン現代英英辞典によると「what it is intended to achieve」、達成しようと意図していること、
つまり「目的」ということだと理解できます。もう少し経営学的に表現すれば「存在意義」でしょうか?
(2)それでは「パーパス経営」とは何か?一橋ビジネススクール客員教授 名和高司氏は「志本経営」とおっしゃっています。
志(こころざし)に根差した経営という定義です。経営者の「内発的動機」に基づく経営と言い換えても良いかと思います。
(3)個人的に私は「存在意義」に近いニュアンスで捉えています。つまり「我が社が、何を以って社会や市場に存在することが認められているか?」です。
提供する価値があるから、お客様から受け入れられ、その対価が頂戴できる。このように体感しています。
2.今の企業に足りていないこと
(1)パーパス経営を上記のように理解したとき、我々の身の回りの企業・会社・組織を見た時、皆さんはどう感じますか?
利益追求だけを目的にしている、ノルマ主義の企業や、品質問題を社内隠蔽している組織は論外ですが、もう一歩引いて考えて、自社の「パーパス」に立ち返っていない会社が多いような気がします。
(2)「え、パーパス?またカタカナですか?もういいです!うちはそれどころじゃない、目先のことに追われてしまって、それどころでは無いんです!」
私が経営理念やビジョンについて少し水を向けると、こういう返答をする中小企業の社長さんが少なからずいます。
毎日の資金繰りに汲々しているところに、「理念」とか言われても!
お気持ちはよく分かります。
(3)一方、そういう姿勢や志向の経営者を、周りの社員はどう見ているでしょうか?
今どきの社員、特に若手の従業員は、この点に関しては非常にシビア、鑑識眼が高いと感じています。そして、そういう社員は心の中で
「自分は、どうしてこの会社で働いているのだろうか?」
「この職場に居続けることで、自分は何が得られるのだろうか?」
潜在能力が高く、やる気を持つ社員だからこそ、こういう想いに行き着いてしまうように思います。
3.中小企業こそ、パーパス、「存在意義」の再確認を!
(1)もちろん「パーパス経営」は、従業員のためだけにあるものではありません。むしろ経営者自身のために必要な考え方です。
(2)そして、自社の「存在意義」「ありたい姿」を明確にして、社会・市場に伝えることが、顧客を引き付けて行くように感じます。
そして同時に、そういう経営者の下で働く社員も、その自社の「存在意義」に共感し、自らの能力を発揮していく。
(3)「企業」「顧客」「従業員」、この三者に良好な関係性が構築されると、本来とは異なる意味ではありますが、「三方よし」が実現されるのだと思います。
そのためにも経営者、特に中小企業の社長さんには、カタカナ言葉を毛嫌いせず「パーパス経営」をぜひ標ぼうし、実践して欲しいです。
(4)一方私の方も、お客様と対話する際には、ぼんやりと曖昧にしか伝わらない英語表現ではなく、日本語で明確に、内容をきちんと伝えていくことが必要だ、と改めて感じました。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
18日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day11)「知識労働者の貢献と成果を阻むもの」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第2章「なぜ成果があがらないのか」
【働く者をとりまく組織の現実】
1.組織に働く者の置かれている状況は、成果をあげることを要求されながら、成果をあげることが極めて困難になっている。
まさに、自らが成果をあげられるように意識して努力しないかぎり、周りをとりまく現実が彼らを無価値にする。
2.組織に働く者は、自分ではコントロールできない「四つの大きな現実」に取り囲まれている。
3.彼らにとっては、それらのものと共生するしか選択の余地はない。しかし、それら四つの現実のいづれもが、仕事の成果をあげ、業績をあげることを妨げようと圧力を加えてくる。
(1)時間はすべて他人に取られる。
①誰でも彼の時間を奪える。現実に、誰もが奪う。
(2)自ら現実の状況を変えるための行動を取らない限り、日常業務に追われ続ける。
①しかも日常の仕事は、本当の問題点どころか、何も教えてくれない。
②彼らに必要なのは、本当に重要なもの、つまり貢献と成果に向けて働くことを可能にしてくれるものを知るための基準である。
(3)組織で働いているという現実がある。
①他の者が彼の貢献を利用してくれる時にのみ、成果をあげることが出来る、という現実である。
②組織は一人一人の人間の強みを発揮させるための仕組みである。
③通常、成果をあげるうえで最も重要な人間は、直接の部下ではない。他の分野の人、組織図の上では横の関係にある人である。あるいは上司である。
(4)組織の内なる世界にいるという現実がある。
①誰もが自らの属する組織の内部を最も身近で直接的な現実として見る。一方、外の世界で何が起こっているかは、直接には知りえない。
②しかるに、組織の中に成果は存在しない。全ての成果は外の世界にある。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
13日,
2022年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day10)「貢献をなすべき知識労働者はエグゼクティブである」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part2:働くことの意味が変わった
第2章「なぜ成果があがらないのか」
【現代社会の中心的存在】
(1)今日では、知識を基盤とする組織が社会の中心である。その中心的な存在は、筋力や熟練ではなく、頭脳を用いて仕事をする知識労働者である。
(2)知識労働者が成果をあげるためには、適切な仕事に取り組まなければならない。そのような仕事は、肉体労働のために開発した手法では測定できない。
(3)知識労働者を直接あるいは細かく監督することはできない。彼らには助力を与えることが出来るだけである。知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。成果をあげるべく、自らをマネジメントしなければならない。
(4)知識労働者が何を考えているかは確かめようがない。だが考えることこそ、知識労働者に固有の仕事である。考えることがなすべき仕事の始まりである。
【すべての者がエグゼクティブ】
(1)今日の組織では、自らの知識あるいは地位のゆえに、組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである。
(2)組織の活動や業績とは、企業の場合、新製品を出すことであり、市場で大きなシェアを獲得することである。病院の場合は、患者に優れた医療サービスを提供することである。
(3)組織のそのような能力に実質的な影響を及ぼすために、知識労働者は意思決定をしなければならない。そして自らの貢献について責任を負わなければならない。
(4)自らが責任を負うものについては、他の誰よりも適切に意思決定をしなければならない。
(5)ここで折角の意思決定が無視されたり、また左遷されたり、解雇されたりするかも知れない。だがその仕事をしている限り、仕事の目標や基準や貢献は自らの手の中にある。従って、ものごとをなすべき者はみなエグゼクティブである。
(6)知識労働者は、量によって規定されるものではない。成果によって規定される。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお