4月
25日,
2022年
雑談の勧め(Day1)「転職先で出くわす『試練』」
「最近、雑談というものをすることがめっきり減りましたね!」
と懇意にして頂いているあるお客さんが、ぼそっとこう呟いた。
「当たり前なのかも知れません、このコロナ下では。社員は殆どがリモートワークなので。」
こういう話は実は、昨今珍しい話ではなくなっている。
「そうですね!一方、雑談というものは一見、無駄にように思えるけど結構重要なものですよね、特に職場においては!」
と返答した私だが、昔の自分を思い出して心の中で苦笑いをしていた。実は私は以前は雑談が重要だとは思っていなかったのだ。
【1.私のエピソード】
「この経理処理だけど、どうしてこういう計算をしているのですか?理由とか根拠を教えてもらえますか?」
転職したての外資系企業で私は、部下の女性に問い掛けた。
「海の向こうの内部監査から質問が来ているのです。」
こう説明を加えると少し身構えた彼女は、
「はい、こういう計算式で算出するように前任者から引継ぎました。なのでそれに従って計算しています。何か問題がありますか?」
「???」
彼女が嘘をついているとは思えないし、ましてや私を担ごうと意図した返答とも思えない。しかし、このままの答えを本社の監査人に送る訳には行かない。
「そうじゃなくって、なぜそういう計算式で算出するのか、その根拠を知りたいんだよ。それじゃ説明になったいないじゃないか!」
入社したての私は、何とか成果を上司に見せるために焦っていたのかも知れない。思わず声を荒げてしまった。これに呼応するように彼女も、
「だから、今言った通り、そういう風に前任者から習ったようにやっているだけです!」
その時私がふと思ったことは、
「あー、自分はまだ彼女たちの『仲間』じゃないな!」
どうしたら彼女たちの仲間になれるのか、それも一刻も早く!
10人の女性部下を抱える経理課長として、自分は何から始めなければならないのか?
この会社の経理システムを理解するより、先にすべきことがあるように感じたが、それが何かは、すぐには分からなかった。
次回【2.私の初コーチング体験】に続く!
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
4月
5日,
2022年
娘と読み解く「就職四季報」(Day2)「大企業 vs. 中小中堅企業」
「ねえ、お父さん、会社ってどんな風に選んだらいいの?」
という問い掛けから始まった娘の就活。
今4月に大学院へ進学した末娘。建築学を大学で専攻して、同じ大学の大学院へ進んでいる。
「え、まだじゃないの?まだ大学院1年なんだから....」
「就活」というもの自体に不安を感じていることに加えて
「会社って何か?」
という疑問を感じているらしい。
ということで、一緒に「会社研究」を始めることになったのだ。
今どきはずいぶん便利になったものだ。
「就職四季報」
なる書籍まで用意されている。
娘はざっと目を通したらしい。しかし、
「この四季報って、どう使ったらいいの?」
と泣きついてきた。それはそうだね!
「大企業が良いのかな?それとも、それに拘る必要は無いのかな?」
素朴でありながら、なかなか深い質問である。私は娘にこう問いかけた。
「大企業って、どんな会社だと想像している?」
「そうだね、とにかく有名、誰でも社名を知っている!それから、広告をバンバンしている。社員が一杯。こんなイメージかな?」
「なるほど!じゃ『有名である』ということと、そこで実際に働く社員たちの気持ちとはどういう関係がある、と思う?」
これは将に「コーチング・セッション」になってきた!
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
4月
4日,
2022年
「上質な会話」が人を動かす(Day2)「何気ないけれど、大切な視点」
職場に限らず、違和感を感じる会話に遭遇することがあります。
仕事に纏わる話題であればある程度、方向性は見えているだろうし、論理的に話が展開すると想像されるので、比較的扱いやすいような気がします。
むしろ難しいと感じるのは
「家族間での、何気ない会話」
思わぬところ地雷が隠されています。
そもそも、お茶の間で交わす会話に「目的」というものが存在していないことが多いように思います。正確に表現すると、会話を始める段階では、です。
「今日は一日、雨なんだって!出かけるのに面倒くさいよね。」
この発話の内容に大きな目的は無いように感じます。単純に発話者の気持ちを吐露しただけのようですね。
従って、これに対する応答は
「そうね、面倒くさいわね!」
と共感するだけでよいはず。もしくはもう少し踏み込んで
「私も今日は出かけなければならないので、本当に面倒くさいね!」
と「I(アイ)メッセージ」で同調すれば何ら違和感はないはずです。
もしくは、こういう返答もあり得ます。
「そうね!でもこういうお湿りの日もあるよね!最近晴れ続きで乾燥していたから。」
相手の気持ちや関心事が何であるかときちんと把握して上で、共感、もしくは共感した上で「異なる視点」を提供する方法です。
もしこの発話に対してこんな返答をしたら、どうなるのでしょうか?
「あなたはいつも文句ばかり言っているよね!それから、色々な用事を入れ過ぎているのよ。少し余裕を持ってスケジュールを入れた方がいいんじゃない?」
ひょっとしたら、この返答は事実に基づいていて、的を得ているのかも知れないです。しかし、この返答から何が生み出されるのでしょうか?
こんな些細な会話から、大切な視点が色々と見えてくるように感じます。
・発話者の「目的」の有無、又は目的を理解しようとする心掛け
・会話が展開する途上で会話の目的が定まってくる可能性への配慮
・「相手の関心事」に関心を持つ
・相手を「応援する」「励ます」マインドセット
・返答の基本は「共感」と「ノージャッジ」
・「事実」と「解釈」の峻別
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
4月
3日,
2022年
「ICF倫理規定」を学ぶ
ICFのコーチ資格を受検しよう!と思い立った今年。
コーチングのセッション実技は大切であるものの、一方プロコーチとしての活動を支える様々な規定が準備されており、さすがICFはグローバルな団体、世界中のプロコーチの指針となるものを提供している。
もちろん、この規定を理解していることがICF資格を取得することの要件である。
今日の講座で学んだことは
1.倫理規定
2.ICFのセッションとは?
1.「倫理規定」で得たポイントやキーワードは以下の通り。
(1)コーチングとは?
ICFが定めるコーチングだけを「コーチング」と見なし、それに該当しないものと峻別するように定めている。例えば、コンサルティングやセラピーやカウンセリングとは異なることを強調している。
(2)利益相反
今後ますますプロコーチが活躍する場面が増えることに伴い、利害関係者が増えることを想定。関わる複数の人たちの利害の関与に配慮するように、とのこと。
(3)合意や契約
コーチングはクライアントが飽くまで主役、従ってクライアントとの「合意」や「契約」という点に力点が置かれているのがいかにも欧米風。しかしこれは当たり前のグローバル・スタンダード。
2.ICFのセッションとは?
ICFで期待されているセッション力を体感するために「デモセッション」を見せてもらった。私の印象・感想は以下の通り。
(1)セッションの進め方は、クライアントが主体、即ちクライアントに決めてもらうように誘う。
(2)コーチ側がリードしたり、質問などで導いたりせず、コーチ側は「沈黙」しクライアントを「傾聴」することに徹するセッション。
(3)クライアントに「成功の定義」をきちんと確認する。
(4)クライアントの感情を訊く。
(5)数少ない質問ではあるが、シンプル。
(6)セッションの最後では、きちんと行動の明確化・言語化を促す。
(7)「GROWモデル」に代表されるストラクチャー型のセッションではなく、「傾聴型セッション」である。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
31日,
2022年
自社の「ビジョン」と「パーパス」を再考する(Day3)「ブレストで想いを言語化する」
昨日に引き続き、
「自社の『ビジョン』と『パーパス』を再考する」
今日は今、私の中にある想いや妄想、などなどを「吐き出す」ことをしてみたいと思います。言うなれば
「セルフ・ブレインストーミング」
従って、一貫性がなかったり、余りに構想が大き過ぎたりするかも知れません。これらも「ブレストの原則」に従って、先ずは何でもありで進めたいと思います。
基本の3項目、即ち
1.ビジョン
2.パーパス
3.バリュー
についてそれぞれ、吐き出して行きます。
1.ビジョン
(1)社会との関わりや、影響力を持つことは意識したい。つまり我々の活動によって社会が良くなる、生きやすくなる、前進する、などの発想は是非持ちたい。
(2)「社会を変える」というコンセプトも魅力的。そう簡単に出来ることではないが、これぐらい大きな方向性を掲げたい。
(3)「個人」と「組織」と「社会」という3者間の関係性が重要か?
(4)社会をどういう方向へ変えて行くのか?何が社会の究極の「ありたい姿」なのか?自分の子供たち、子供の子供たちが享受して欲しい社会とはどういうものか?
2.パーパス
(1)自分たちはどういう存在なのか?どういう役割を担うのか?これに答えるのがこの「パーパス」。他人と関わる時、お客様と関わる時に感じるのは相手の方の「自主性」。
(2)自主性はこちらから強くプッシュしてもダメ。「ティーチング」が必要な場面はあるが、基本はその方の中にあるものを引出すアプローチ、即ち「コーチング」である。
(3)企業のお客様であれば「ファシリテーター」の役割を担いたい。考え方やフレームワークを見直して頂く「引き金」や行動の一歩を出しやすくする環境創り、お膳立てを支援したい。
(4)こう考えると対象と我々の対象者は「働く人」。社長・経営者・起業家など組織・事業を前に進めようとする方々。管理職なども含めると「ビジネスリーダー」。
(5)働く個人個人は対象なのか、対象としないのか?ここは検討の余地ありだが、掲げた「ビジョン」を達成するという視点では、よりリーダーに焦点を当てたい。
(6)ということは、人を動かす・社会を動かす「影響力」を持った人たちへ我々が関わっていく・働きかけることによって、ビジョンを実現していきたいと思っている。
(7)社会に影響力を持つ人たちって、どういう人たちか?こんな人たち?
①企業・組織を引っ張っていく人たち(ビジネスリーダー)
②教師・学校の先生
③親たち
④政治家
⑤医師
(8)「コーチング・マインド」を伝える、という表現で言い表すということもできるが、コーチングという言葉に拘るのか?
3.バリュー
(1)先ずは「学び」。失敗からの学びも含む。
(2)卓越・最上志向
(3)変化や違いに対しての「オープンさ」「自己変容力」
(4)対話・協業・コラボレーション
(5)前向き・ポジティブ・未来志向・可能性を見出す
(6)何事も楽しむ!
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
30日,
2022年
自社の「ビジョン」と「パーパス」を再考する(Day2)「私なりの言葉の『定義付け』」
今日は先日からの続き
「自社の『ビジョン』と『パーパス』を再考する」
の二回目。
経営理念や社是など、日本で伝統的に使っていた表現に加えて、ビジョンやパーパスなど英語表記のものが増えてきました。これも経済・社会のグローバル化の影響でしょうか?
日本は外国、特に米国に倣うことが多いような気がして、これもその一つかも知れません。
しかし色々な表現やボキャブラリー(失礼、これも外来語!)が乱立していて、
「一体、それはどういう意味・定義???」
と感じることも多いです。
私もこれらの表現の定義を自分なりに、色々調査しましたが、実は明確で統一的な定義はきちんとは存在しないようです。つまり企業・会社ごとにそれぞれ使い方が異なることに気付きました。
そこで今日は先ず、私が使用するそれらの言葉の「定義付け」をしておきたいと思います。実際採り上げる言葉は以下の通りです。
1.ビジョン(Vision)
2.パーパス(Purose)
3.バリュー(Value)
4.ミッション(Mission)
1.ビジョン(Vision)
(1)ビジョンとは、事業展開を通じて私が「実現したい世界・社会観」。弊社が事業活動を展開することによって、「こんな世界を創りたい」「こんな社会になって欲しい」という願望・野望を言語化したもの。
(2)願望・野望なので、そんなに簡単に実現できなさそうなもので良い。上記の「山のイラスト」にあるように、登山で目指す「頂上」に到達することで見える景色のようなものである。
2.パーパス(Purose)
(1)パーパスとは、私・自分たち・弊社の「存在意義」。ビジョンを達成するために存在する、我々の「あり様」や「果たす役割」を言語化したもの。
(2)可能であれば、「誰に」「何を」「どのように」、そして「提供価値」も含めたい。
3.バリュー(Value)
(1)バリューとは我々が事業展開をする上で大切にしたい「価値観」。ビジョンを実現するため、事業活動を展開する上で重要視する考え方・指針。日々の活動する上での拠り所であったり、意思決定の軸となる者とも言える。
(2)従って、心掛け(マインドセット)、及び、行動様式などの表現が含まれる。
4.ミッション(Mission)
(1)ミッションとは、我々が現時点からビジョンを実現するための道程において、達成する必要がある途中地点の目標。
(2)従ってミッションは一つに限らず、順繰りに複数存在しうる。(ミッション1が最初に掲げられ、そしてその次にはミッション2が用意される、など。)頂上に繋がる登山道上での通過目標の地点と言える。
(3)目標とするミッションは、頂上であるビジョンに、着実に近づいているかどうかが判断できるように、定性的、及び、定量的な情報を含める。
こんな感じです。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
29日,
2022年
自社の「ビジョン」と「パーパス」を再考する(Day1)
独立・起業して今年は4年目。ゼロから始めたビジネスだが、何となくここまで来た。起業した時にそれなりの目算はありつつも、
「やってみなければ分からない」
という気持ちが強かった。
一方、「事業ビジョン」や大切にする「価値観」などは、それなりに作ってきた。
しかし自分のお客様に
「御社の経営理念やビジョンは、どういうものですか?」
と尋ねるにもかかわらず、自社のそれらがきちんと整理されていないのは恥ずかしい。
そんな思いで「仮置き」していた自社のビジョンだが、そろそろ次のバージョンを作成する必要があるように感じている。
そう感じ始めたきっかけや理由は、以下のような感じ。
1.今年は起業4年目なので、この先3~5年の方向性を検討、見定めたい。
2.昨年までの3年間、出来そうなこと、やって楽しいこと、可能性が広がりそうなこと
を、とにかく手あたり次第試してきた。そろそろ「選択と集中」の時機か?
3.逆に自分の年齢を考えて、人生の最終ゴールから逆算する必要を感じ始めた。
ざっくり言うと、もう少しスケールの大きな「ビジョン」が欲しくなった、というのが正直な気持ち。
そして、自分個人の好き嫌いや好みから、ビジネスをやることの「社会的な意義」や周りの人への「貢献」、という視点が必要に感じ始めたからだとも言える。
こう考えると自社の「ビジョン」や「パーパス」を考えるということは、取りも直さず
「自分の人生の目的を問うこと」
のように感じられて、とっても「ワクワク」、楽しみになって来た!
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
26日,
2022年
「リーダーシップ」というものを思う時(10)「リーダーの果たす役割とは?」
先日、あるプロコーチからコーチング・セッションを受けました。そのコーチの方とはプロコーチではあるものの、定期的にお互いにセッションを提供しあう仲間。
お互いプロ同士で、気心が知れているからこそ、かなり踏み込んだ深いテーマを扱ったり、普通はしないようなきわどい「フィードバック」も必要に応じて出来るお相手。
そんな彼と、「リーダーシップ」をテーマで話をしました。するとそのセッションの中ほどでコーチから、こんな問い掛けがありました。
「それで、よしおさんは『リーダーの果たす役割』って、何だと思いますか?」
来たー!って感じ。
そして私は、頭に直観的に浮かんだ、こんな答えを返しました。
「そうですね、2つあるように思います。
一つは『先見性』。チームや組織を引っ張っていくには、世の中がこれからどんな風になっていくのか、その方向性をいつも注視して、ある程度見通しておくことが必要のような気がします。」
「それからもう一つは『決めること』かな?
情報はいくらでも手に入る時代。そしてその得た情報自体が正しいのか、最新なのかの判断が難しい現代。でもとにかく決めないと前に進めない。
やってみないと分からないことが多いので、早く決断してチームや組織を動かして行くことが必要。もちろん「実行しないと決める」という決断も重要ですね!」
実はこの答えを私は、前もって考えていた訳ではない。セッション中にコーチからいきなり出された問い掛けで引き出されたのだ。
「リーダーの役割」には、上記2つ以外にも果たすべきものは山ほどある。
しかし私はリーダーの端くれとして、少なくとも
「先見性」
そして
「決めること」
は肝に銘じて、活動して行きたい。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
25日,
2022年
「幸福であること」は目的なのか、それとも手段なのか?
新聞や書籍で最近よく目にする
「ウェル・ビーイング」
という表現。
もちろん「幸せ」とか「幸福」というベタな言葉もあります。
そこで今日は、先日たまたまハーバードビジネスレビュー(HBR)という雑誌で見かけた記事を引き合いに、私の考える「幸福」について綴りたいと思います。
先ず、とっても卑近な過去の体験をお伝えします。
子供たちがまだまだ幼少の頃、幼稚園や小学校時代の思い出をビデオに収めたいと考え、妻と私は家電量販店へビデオカメラを買いに出かけました。
調査・分析好きな私は、量販店にあるメーカー数社のパンフレットをごっそり持ち帰り、早速「機種比較」を始めました。
当時はまだまだ昭和の時代。インターネットなどはまだまだ使われ始まったばかり。私は有名メーカーの機種を様々な観点で自ら比較表を作って、どれが良いのかを検討していました。
「なんだか、随分ご執心ね、ビデオカメラ選びに!」
妻からの、冷やかなコメントに怯むこともなく、
「いやいや、そんなに安いものじゃないし....折角撮るのだったら良いものがいいと思って!」
この後の展開は、今思い出しても恥ずかしい。
時間をしこたま使って比較して購入したビデオカメラを使って、沢山の思い出をビデオに収めた。
しかしあれだけ比較検討して、「この機能は良いね。絶対必要!」の考えて購入したビデオカメラだったが、子供たちの姿を収めていく内に、そんな想いは何処かに吹き飛んでしまっていた!
比較検討しながら感じた、あの時のなんとも言えない「幸福感」は何だったのか?
あれ以来私は、家電製品など物理的な物を購入することを感覚的に避けるようになったような気がする。
ここで思うのは、
何かを「獲得」することが幸せをもたらすのか?
それとも、
「ある状態」であることが幸せをもたらすのか?
そして、上記の「何か」とか「ある状態」とは何を指すのか?
ここで先に挙げた「ハーバードビジネスレビュー(HBR)」で見つけた論考の一節をご紹介します(2022年4月号)。
タイトルは
『「否定的な感情がない」ことが「幸福」ではない』
そこにはこんな記述がある。
・幸福についての誤解の一つは、いつも陽気で、喜び、満足しているのが幸福な人だという考えである。
・幸福ビジネスが犯している最大の考え違いは、幸福を手段ではなく目的にして、望みのものを得たら幸せになれると考えていることだ。
・私たちは「幸福であること」を最終的なゴールと見なしがちですが、本当に重要なのはそこに至るプロセスであることを忘れている。
なるほど!
どのビデオカメラを買おうかとワクワクしながら、様々なメーカーの機種比較や分析をしていた時。それが将に「幸福な」状態だったのだ。
そして一度、ビデオカメラを手に入れてしまうと、装備された多種多様な機能をこれっぽちも使わない。
物が身の回りに溢れる時代。我々は何に「幸福」を求めているのだろうか?
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
24日,
2022年
目標設定の技術(後編「やる気アップ編」)
昨日は
「目標設定」
について、SMARTというフレームワークを使って簡単にお伝えしました。
「SMART」は目標設定の際に明確にする5つのポイントを、英単語の頭文字を取ってまとめたもの。覚えやすく、使いやすいフレームワークです。
しかし私の個人的な感覚ですが、手法的にはシンプルで分かりやすい一方、
「立てた目標を達成しようという『やる気』が、なぜか盛り上がらない」
ような気がします。
そこでSMARTをより強化、実現可能性を上げるための、追加の手法を私なりに考えてみました。
題して
目標設定の技術「やる気アップ編」
このSMARTゴール設定に欠けているのは、目標達成のために活動する我々の
「気持ち」
です。このフレームワークが論理的なので、気持ちを挟む余地が無いように思います。
そこでSMARTに加えて
「SKK」
という要素を加えたらどうでしょうか?
(どこぞの化粧品ブランドみたいですね笑)
SKKとは、3つの要素、即ち
・S:社会・市場(顧客)
・K:価値観
・K:感情
を加えて、SMARTゴール設定を検討する、というご提案です。
それぞれを簡単に説明いたします。
(1)S(社会・市場)
ついSMART手法の従って目標を設定しますが、この目標を達成することで、どういう「社会的」な意義があるのか?
目標を達成することで、市場(顧客)へどのような影響・インパクトがあるのか?
つまり目標達成することの、外側の視点による意味付けです。
(2)K(価値観)
価値観とは目標達成しようとする、あなた自身の「価値観」です。この目標を達成すると言うこと自体にご自身はどういう価値を感じているのか?
また目標を達成する過程において、あなた自身が大切にしたい「価値観」は何なのか?
これを確認しながら、SMARTによるゴール設定を検討すると、設定するSMART自体がどう変わるでしょうか?
(3)K(感情)
これは将に目標達成しようとするあなた自身が持つ「感情」です。その目標を達成したときに「ワクワク」するかどうか?逆に言うとワクワクするような目標設定になっているのか?
SMARTの「A」は達成可能という意味ですが、余りに楽勝では達成してもワクワクはしないでしょう。
あなた自身が持つであろう「ワクワク感」を想像した上で、SMARTゴール設定を検討して欲しいです。
「SMART」と「SKK」を相互に行ったり来たりしながら、目標設定を検討するとさらに達成の可能性が上がるように思います。
ここで私が実際に経験した、エピソードをお伝えします。
サラリーマン時代の私は、外資系企業で財務・経理の仕事をしていました。内勤の仕事で担当する業務は伝票処理から始まって、最終的には事業部の業績管理をしたり中長期経営計画を策定するような、いわゆる「経営企画」として役割も担当しました。
目標設定という観点では、人事部門や経理部門のような管理部門においては、部門として、そして個人としての目標設定が実は簡単ではありません。
営業部門のように顧客との接点が多く、かつ売上・受注など「数値化」できる指標がある部署は、目標設定の切り口は想像が付きやすいのですが、管理部門は正直言って難しく、毎年年度初め四苦八苦していました。
そんな時、ある上司がこんなアイディアを持ち出しました。
「我々『経理部門』の役割は、会社の経理データをタイムリーに正しく把握し、それを社内で活用して、意思決定に使ってもらうことだ。即ちは我々のお客様は『社内のビジネス・マネジャー』である。
「そして、そのビジネスマネジャーを経理的観点でサポートするためには、御用聞きのように、彼らからの要求にタイムリーに、適切に応える必要がある。従って、もっとビジネスの現場に近くなければならない。」
「いつもいつも自分のデスクにかじりついて『情報集計』や『データ分析』ばかりしていては、顧客ニーズに応えているとは言えない。」
そこで我々の目標の一つとして考案された指標は
「アウト%」
つまり自席を離れて、自分がサポートする事業部のビジネス・マネジャーと協業した時間数を集計することになったのだ。そしてそれを総労働時間で除した数字を「アウト%」としてモニターすることになったのです。
私はこの指標がいっぺんに気に入ったのだった。我々のお客様は「社内のビジネスマネジャー」である、というコンセプトも合点が行ったし、「ビジネス・マネジャーの近くで仕事」という発想も、現場の近くに座って仕事をしているからこそ耳に入る会話、臨場感・危機感が体感できる。
私は努めてこの「アウト%」を増やす働き方をしました。すると、
「困った時や、相談したい時、直ぐ近くにいてくれて有難い!」
そんなお客様!の声を聞きながら仕事をすることに、この上なく喜びを感じました。
いかがでしょうか?
「SMART」に「SKK」の観点も加えて目標設定をすることで、ゴール達成の可能性は高くなるように思います。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお