残念なことに、全身を撮ることができませんでしたが、塀の向こう側の葉の上にとまっている【ヒカゲチョウ(日陰蝶)】と目が合いました。
いくどとなく各種の「蝶」の撮影は、アングルなどを考えていますと飛んで逃げられるという失敗を繰り返していますので、とにかく写すことが最優先です。
チョウ目(鱗翅目)タテチョウ科ジャノメチョウ亜科に分類されていますが、日本固有種です。
いくつかの例外はありますが、ジャノメチョウ亜科の多くは、種名の一部に「ジャノメ」もしくは「ヒカゲ」のどちらが付く場合が多く、総称的に「ヒカゲチョウ」と言われる場合があり、区別するために別名「ナミヒカゲ」とも呼ばれています。
花蜜をあまり好まず、薄暗い木陰に生息して樹液や熟した果実などに集まる傾向が強い蝶です。
眼状斑紋のきれいな蝶で、よく似た蝶に「クロヒカゲ」がいますが、後翅の中央部に入る褐色帯の形が違いますし、「クロヒカゲモドキ」は、前翅先端部の眼状斑紋は3個で、【ヒカゲチョウ】は2個ですので同定ができます。
少し止まってはまたヒラヒラと飛び立つのを繰り返していましたので、吸い蜜ではなさそうだと見ておりましたら、やはり【モンシロチョウ(紋白蝶)】の産卵動作でした。
「ナミアゲハ」は<ミカン系> の「葉」に産卵しますが、【モンシロチョウ】は、アブラナ科の植物に産卵します。
本来は、キャベツなどの葉の裏側に産卵場所を求めますが、都会ではキャベツ畑はありません。
その代用として、同じアブラナ科の「ナズナの花」に卵を産み付けます。
卵の大きさは1ミリほどで黄色く、ミニコーンを小さくしたような形状で、表面はブツブツとしています。
約一週間ほどで孵化しますが、一番最初に食べるのは自分が出てきた「殻」で、蛋白質が豊富に含まれています。
腹部を折り曲げるように「花」に産卵するのは、「ツマキチョウ」も行いますが、ハチなどの天敵に見つかりやすい場所ではないかと、心配してしまいます。
体長30ミリばかりの大きさがあり、全身が真っ黒く、迫力ある【キオビツチバチ】です。
「ダールベルグデージー」の、1センチばかりの小さな花の中で動き回っておりました。
ハチ目(膜翅目)細膜亜目ツチバチ科の蜂です。
特徴ある腹部の斑紋だけで雌雄の同定はできますが、触角が短いので「メス」です。
腹部に黄色の斑紋が対で2個あり、その黄色い斑紋の中に黒い点が入っています。
これを真正面から見ると、顔の目のように見えますが、翅を閉じていますと現われない紋様です。
なんとか粘りぬいて、翅の広げた瞬間を写せました。
学名の<Scolla oculata>は「目を持った(oculus)ツチバチ」という意味が含まれています。
「オス」は目玉模様の黒点が白っぽく、対にならずに黄色い帯状につながっていますので、和名として「キオビ(黄帯)」という名称が付けられました。
コガネムシの幼虫に、卵を産み付ける寄生蜂です。
桃色の花を咲かせる 「サクララン」 の花に、チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科マダラチョウ亜科の【アサギマダラ(浅葱斑)】が蜜を吸っていました。
和名の「アサギ(浅葱)」とは、青緑色の日本の伝統色を表す言葉で、白っぽく見える翅の斑紋は、厳密にいえば、半透明の水色をしています。
前翅は黒地に、後翅は茶褐色の地に、半透明の水色模様が鮮やかです。
アゲハチョウ類のように細かく羽ばたかず、ユラリユラリと優雅に飛ぶ姿は、高貴さを感じさせてくれます。
ユラリユラリの飛翔ですが、この【アサギマダラ】は、日本と南西諸島・台湾を往復していることで有名な蝶で、日本で生まれた子孫が、秋には南下して台湾方面に向かいます。
国蝶選定の際には、 「ナミアゲハ」 や 「アオスジアゲハ」 と共に候補に選ばれましたが、最終的には「オオムラサキ」に決定しています。
チョウ目(鱗翅目)としては、127科165、000種が分類されていますが、「蝶」と「蛾」の割合は、圧倒的に「蛾」の方が多く20~30倍にのぼります。
面白い形態や色合いを持つ「蛾」ですが、どうも一般的に好まれていないようです。
きれいなアゲハチョウに似た、「アゲハモドキ」という「蛾」もいますので、一概に茶褐色の翅の色だけをイメージしてはいけません。
今回の【ビロードハマキ(天鵝絨葉巻蛾)】、ハマキガ科ハマキガ亜科の分類で、「蛾」の中でも極彩色の翅を持っています。
体長4センチほどですが、何ともいえぬ複雑な模様で、絵画的な配色の翅模様が特徴です。
翅の白い斑点が大きめですので、写真は「メス」の【ビロードハマキ】です。
また一見、どちらが頭部なのか、触角がないと見分けがつかなく、あえて翅の尾部に黄色や橙色で頭部に見せかけた擬態色が、何ともかわいらしい感じです。
飛び去る時に広げられた後翅、これまた鮮やかな橙色を見せながら、飛び去りました。
訪れてくれる昆虫さん、いつもは部屋の外側の網戸にとまるのですが、どこから紛れ込んだのか、部屋の内側にとまっていました。
チョウ目(鱗翅目)シャクガ科ナミシャク亜科の蛾です。
体長8~9ミリの小さな大きさですが、網戸の目を数えれば、寸法が分かるのは本当に便利です。
この【ソトシロオビナミシャク】は、個体変異差が大きく、紋様に関しては色々とあります。
特徴としては、口先の<バルビ(下唇髭)>が長く、前翅中央部に1対の黒い紋がありますので、同定はしやすい蛾です。
食草としては、ツツジやヒサカキが好きなようで、ツツジの季節の5~6月、ヒサカキの果実が実る11~12月の年2回成虫が出現します。
写真を撮り終えたと、網戸を開けてやりますと、すぐに大空に飛び出していきました。
網戸にとまりかけたのですが、フラフラと消えてしまいました。
念の為にとベランダに出ましたら、運よく窓横の壁にとまっていてくれました【マイマイガ(舞舞蛾)】です。
チョウ目(鱗翅目)ドクガ科マイマイガ属の昆虫で、<世界の侵略的外来種ワースト100>の選定種です。
【マイマイガ】は性的二形が顕著に違い、写真はオスで茶褐色ですが、メスは白色をしています。
櫛型の触角が特徴的で、ドクガ科に分類されていますが、成虫には毒がありません。
オスは活動的で、日中は木々の間を精力的に飛び回りますので、【マイマイガ(舞舞蛾)】という和名が付けられています。
メスは、オスと対照的に樹の幹などにとまってじっとしており、飛び回ることはありません。
幼虫は典型的なケムシで、ほぼすべての針葉樹や広葉樹、草までを食べつくす広食性です。
ケムシのときには背面に目立つ二列の点が並ぶ形状で、糸をはいて木からぶら下がっていますので、「ブランコケムシ」とも呼ばれています。
風に吹かれてかなり広範囲に移動しますので、木々に与える被害が拡大してしまう困りモノです。
「モンシロチョウ(紋白蝶)」 と並んで良く知られた【モンキチョウ(紋黄蝶)】ですが、なかなか飛翔が早く、写真を撮るのが難しい蝶です。
運良くガーベラの花の上で、口吻を伸ばして吸い蜜をしている場面に出会いました。
チョウ目(鱗翅目)シロチョウ科モンキチョウ属の昆虫ですが、同じシロチョウ科の「モンシロチョウ」は、翅の裏側に<黒い斑紋>が目立ちますが、【モンキチョウ】は後翅裏側に丸い<銀色の斑紋>があります。
雄の翅の地色は黄色ですが、雌には黄色と白色があり、写真の【モンキチョウ】は、雌の色合いです。
幼虫の食草としては、「アカツメグサ」や「シロツメグサ」などのマメ科の植物を好み、寒冷地でも年2回、温暖地ではそれ以上に成虫が発生する、元気な蝶さんです。
多くの昆虫は、<卵 → 幼虫 → 蛹 → 成虫>と、完全変態をします。
体長4センチぐらいでしょうか、葉の上で<蛹>を見つけました。
特徴ある形ですので、分かる人にはすぐに判断できるのでしょうが、さすがにこの分野までは分かりません。
昔のファルコン少年なら家に持ち帰り、カゴの中での観察となりましたが、今の時代は個体数が少ないでしょうから、一匹でも自然界には貴重な存在です。
写真に記録できただけでも良しとして、時間が出来たときに、どの<蛹>なのかの同定作業を進めいと考えています。
今年は、痛々しい触覚の折れた昆虫と良く出会うようです。
手にとまった 「ヨコヅナサシガメ」 もかわいそうでしたが、この【クビワウスグロホソバ】も、左側の触角がありません。
自然の世界での生活環境、厳しさを感じてしまいます。
チョウ目(鱗翅目)ヒトリガ科コケガ亜科の昆虫です。
名称通り、頭部と胸部の間に黄橙色の模様があるので、<クビワ>と付けられ、翅の色合いが<ウスグロ>で、また翅が細い葉に似ているので<ホソバ>でしょうか。
熱いアスファルトの上で休憩中のようでしたが、触角が片方だけでは、方向性があやふやなのかもしれません。
- ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
ログイン
- まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
新規ユーザー登録へ