著者<福田和代>は、兵庫県神戸市出身の作家ということで、新刊本はチェックしていますが、本書『暗号通貨クライシス BUG広域警察極秘捜査班』の前に出ている『BUG広域警察極秘捜査班 権力VS天才ハッカー』(2019年5月・新潮文庫刊)は見逃していたようですが、本書単独でも十分理解できる内容でした。
前作でサミット航空機を墜落させたとの冤罪で死刑執行されたはずの天才ハッカー「水城陸」は、その能力を生かし「沖田シュウ」と名を変え、全世界的警察機構・広域警察の極秘警察チーム<BUG>の一員となっています。
世界では、「ブティア」博士が考案した暗号通貨「LeX(レークス)」が米ドルを凌駕して、世界通貨となりつつあり、流通を安定させるプログラムの<鍵>を、「ブティア」博士と懇意であった「水城陸」の父親は、「陸」の体の中にその<鍵>となるべくデーターを託していました。
「LeX」の流通を阻止すべく反対派は、「沖田シュウ」を二度にわたり拉致するのですが、危機一髪のところで助けられますが、拉致された際の「沖田」の行動は、<BUG>でしか把握できず、内部での裏切り者の存在が判明、また、その捜査の過程で、航空機墜落の真実が露見、「沖田」の冤罪は晴れるのでした。
好きな著者の小説は、単行本での新刊が多いのですが、もっぱら2~3年我慢して、文庫本での発行を待っています。
今回、兵庫県神戸市出身の作家<福田和代>さんの『暗号通貨クライシス BUG広域警察極秘捜査班』(2020年4月1日発行)を読み終わりましたが、いつもの「新潮文庫」と仕様が異なるのが気になりました。
まずは、「スピン」(紐のしおり)が無くなっています。1933年から終戦直後の物資不測の時代を除き現在まで付いており、この「スピン」があるだけで、「新潮文庫」だとすぐにわかりました。岩波文庫は、1970年に廃止しています。
そして、「新潮文庫」の天(上部)は「天モンカット」として不揃いが特徴的でしたが、きれいに裁断されています。
どちらも「コスト削減」対策だとおもいますが、長年読みなれた体裁だけに、寂しさを感じるのは、私だけでしょうか。
リハビリに出向いています施設の空いていた棚に、短期入居者の方が読まれた書籍類が整理されて並べられています。
本好きとしては、嬉しい「ミニ図書館」の登場です。
少しばかり発行年代は古い感じでしたが、気になる文庫本や単行本もありますので、<今年の読書>のためにも、ありがたく利用させていただこうと考えています。
医師や看護師が主人公となる小説やドラマ・映画は多いのですが、同じ医療関係として「薬剤師」が主人公として登場する機会が少ないようで、7月16日(木)からフジテレビ系で放送開始されている『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』 は、日本薬剤師協会も応援していると聞いています。
本書『甲の薬は乙の毒』(2020年5月25日刊)も、「やくざいし」を主人公にすえています。タイトルの副題として「薬剤師。毒島花織の名推理」とありましたが、長いのでタイトル表示からは省きました。
著者の<塔山郁>は、2004年『囁く狐』(佐伯塔名義)が第5回ホラーサスペンス大賞で候補作となっています。2008年『毒殺魔の教室』で宝島社主催の第7回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞を受賞し、2009年、同作が刊行、小説家デビューを果たしています。
本書は、調剤薬局「どうめき薬局」勤務の薬剤師<毒島花織>を主人公とし、ホテル「ミネルヴァ」のフロントマン「水尾爽太」が持ち込む「薬」にまつわる事件を「薬」に関する知識を裏付けながら解き明かしてゆく短篇が納められています。
認知症の薬・筋肉増強剤のサプリメント・睡眠薬等みじかな「薬」の知識を絡めてのミステリー、年上の「花織」と「爽太」のロマンスも匂わせながらほのぼのと描かれています。
<塔山郁>は「ホテルマン」という経歴があり、ホテル業界の話題もうまく生かした構成に仕上げられていました。
4月10日に82歳で死去した <大林宣彦> が2008年10月10日に単行本として出版した「ぼくの映画人生」の文庫版が、発行されています。
2008年に発売された単行本の文庫版となる本書は、大林が70歳を機にその半生と映画論を語った自伝のような1冊です。
第一章・・・生い立ち、第二章・・・自主制作時代、第三章 としてぼくの映画づくり・・・≪尾道三部作≫と呼ばれる『転校生』(1982年) ・ 『時をかける少女』(1983年) ・ 『さびしんぼう』(1985年) について語られているほか、全六章からの構成として、これからを生きる人へのメッセージなども収められています。
文庫版の解説として、<大林宣彦>と長年親交のあった<赤川次郎>(72)が惜別の思いを込めた「『ふたり』の思い出」を収録。装丁と絵は、2019年10月7日に亡くなられた <和田誠> が手がけています。
『旅の手帖8月号』で、特集「映画の舞台を旅する」が組まれています。
同誌は「旅の楽しさ、日本の美しさ」を伝える旅行雑誌ですが、8月号では映画のロケ地や舞台となった日本各地の場所にスポットが当てられた特集が組まれています。
トップに登場は『男はつらいよ』シリーズの東京都葛飾柴又のほか、『幸福の黄色いハンカチ』(1977年・監督: 山田洋次)における北海道の網走や夕張、『おくりびと』(2008年・監督: 滝田 洋二郎)の舞台となった山形の庄内地方、 『時をかける少女』 (1983年・監督:大林宣彦)が撮影された広島の尾道と竹原などが紹介されています。
また、映画 『テルマエ・ロマエ』 (2012年・監督: 武内 英樹)に登場した温泉地を紹介するページも。そのほか『ゴールデンスランバー』(2010年・監督: 中村 義洋/宮城県仙台市)、 『海街diary』 (2015年・監督: 是枝裕和/神奈川県鎌倉市)、『いま、会いにゆきます』(2004年・監督: 土井裕泰/山形県北杜市)、『UDON』(2006年・監督: 本広 克行/香川県丸亀市・琴平町) 『この世界の片隅に』 (2016年・監督: 片渕 須直/広島県広島市)といった作品も取り上げられています。
ヤフーが運営するインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」と書店員自身による「面白かった」「お客様に勧めたい」と思った本への投票で決定する「本屋大賞」が連携する『Yahoo!ニュース 本屋大賞 2020年ノンフィクション本大賞』ノミネート6作品が20日、発表されています。 大賞は11月上旬に発表の予定です。副賞として、取材支援費100万円が贈られます。
より多くの読者に良質なノンフィクション作品の魅力を伝え、世界で起きている事象についての思考を深めてもらうために立ち上がった同アワードは、今年で3回目。対象となる作品は、2019年7月1日から2020年6月30日の1年間に日本語で出版されているノンフィクション作品全般となっています(※海外作品の翻訳本は除く)。
今回も、さまざまな分野の作品がラインナップ。終末医療の現場で理想の死の迎え方に向き合った『エンド・オブ・ライフ』(佐々涼子/集英社インターナショナル)、かつて「国境線観光」が行われたという島をめぐる紀行ルポ『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』(梯久美子/KADOKAWA)、先日の東京都知事選で再選を果たした現都知事の半生を描いた『女帝 小池百合子』(石井妙子/文藝春秋)もノミネートされています。
そのほか、犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」に密着し、2019年の第17回開高健ノンフィクション賞を受賞した『聖なるズー』(濱野ちひろ/集英社)、2013年山口連続殺人放火事件の真相解明に挑んだ『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(高橋ユキ/晶文社)や、昨年の大賞を受賞した<ブレイディみかこ>(55)は、自身が拠点とする英国の中高年男性の悲喜こもごもを見つめたエッセー『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』(筑摩書房)で2年連続のノミネートとなっています。
『讀賣新聞』朝刊一面の下段には、普段なら数冊の図書案内があるのですが、今朝は 兵庫県立神戸高等学校 卒業の<村上春樹>(71)氏の本日発売の『一人称単数』(文藝春秋刊)の全面広告でした。14作目の小説『騎士団長殺し』(2017年2月・新潮社刊)以来3年ぶりとなる小説の新刊であり、『女のいない男たち』(2014年4月・文藝春秋刊)より6年ぶりの短編集になります。
「一人称単数」とは世界のひとかけらを切り取る「単眼」のことです。しかしその切り口が増えていけばいくほど、「単眼」はきりなく絡み合った「複眼」となります。そしてそこでは、私はもう私でなくなり、僕はもう僕でなくなっていく。そして、そう、あなたはもうあなたでなくなっていく。そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 村上ワールドの「一人称単数」の世界に浸れるようです。
収録作品としては、「石のまくらに」、「クリーム」、「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」、「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」、プロ野球・ヤクルトファンの著者らしく「『ヤクルト・スワローズ詩集』、「謝肉祭(Carnaval)」、「品川猿の告白」、(以上、「文學界」に随時発表)「一人称単数」(書き下ろし)、の8編が納められています
<薬丸岳>の本書『誓約』は、2015年3月幻冬舎から単行本が刊行されていますが、2016年(平成29年)4月25日に文庫本となっています。
<薬丸岳>は、「罪と償い」を主題にした作品が多いようで、 『虚無』 ・ 『刑事のまなざし』 ・ 『友罪』 ・ 『死命』 など、どれも重いテーマが展開されています。
本書の主人公「向井聡」は、或るレストランバーで経営者兼バーテンダーとして妻と小学三年生の父として、幸せな生活を送っていましたが、或る日、一通の手紙が届いたことにより、平穏な生活が壊されていきます。
悪事の限りを尽くしていた若いころの「向井」は、ヤクザから逃れるために逃走資金や整形手術の費用を工面するためにひとりの婦人と「誓約」をかわします。それは婦人の殺された娘の仇を、犯人が出所後に「向井」が果たすという殺人契約でした。
すっかり改心して約束を忘れていた「向井」の手元に「犯人が出所した旨の手紙が届きます。夫人はすでに亡くなっていますが、差出人は執拗に「向井」に接触をしてきます。
この時代らしくスマホのGPS機能を小道具としたスリリングな追跡物語が展開、最後まで息をつかせません。
朝日新聞は11日、読書推進活動の一環として、「本」に造詣の深い作家・著名人・インフルエンサーら40人と協力した書評広告企画「MEET YOUR BOOK」を掲載しています。作家の<角田光代>(輝ける闇:開高健)、<西加奈子>(青い眼がほしい:トニー・モリスン)、俳優の<谷原章介>(風の谷のナウシカ:宮崎駿)、フリーアナウンサーの<宇賀なつみ>(姥ざくら:田辺聖子)、<三浦崇宏>(読書という高野:見城 徹)といったメンバーが書評を寄稿しています。
同企画は、新型コロナウイルス感染拡大により家で過ごす時間の多い今こそ、読書の価値を再発見し、また書店に足を運ぶ人を増やそうという思いから企画されました。
作家やクリエーター、本好きの著名人、インフルエンサー、出版社から「読書のプロ」が参加し、「私の人生を変えた一冊」をテーマに、推薦図書とひとこと書評を寄稿、11日の朝日新聞朝刊全面広告にて掲載し、朝日新聞の本の情報サイト「好書好日」にも特設ページを設けています。
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