今年の読書(94)『特急ワイドビューひだ殺人事件』西村京太郎(光文社文庫)
11月
23日
警視庁捜査一課の「十津川警部」は、ある朝、奇妙な新聞の三行広告〈
「1031D」を「特急ひだ11号」の列車番号と推理した「十津川」たちが凶悪犯罪の予感を抱きつつ「ひだ11号」に警乗を続けるうち、列車内で若い乗客が毒死します。かれのボストンバックに時限爆弾を隠し持っていたこの男の名も「中野広志」でした。
一連の事件の背後にJR東日本への脅迫があることを察知した「十津川」は、犯人の割り出しを急ぎ、頭脳犯「母」と「新幹線」の時刻表を絡み合わせた警部のスリリングな対決が描かれていきます。
新聞の三行広告は今読みますと時代遅れの感がありますが、犯人が巨大コンピューターを用い、脅迫事件のシュミレーションを行い「十津川」たちと対峙する姿は、AIの先取り感がある一冊でした。