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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(156)『書店員の恋』梅田みか(日経文芸文庫)

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今年の読書(156)『書店員の...
本好きとしては、古書店や書店に関するタイトルは気になるところで、恋愛物はあまり読みませんが気になり手にしてみました。

主人公は群馬県から上京、「シティライフブックス渋谷店」に勤める26歳の<今井翔子>、彼女は3年前から、将来は自分のレストランを持ちたいという夢を追いながらファミレスで働いている<水田大輔>と付き合っていますが、休日がなかなか重ならず、すれ違いが続いています。

渋谷店の店長が替わり、2階のチーフに抜擢された<翔子>は、自ら企画した<ケータイ小説>コーナーの売り上げが上がり、ベストセラー作家の一人<青木譲治>と知り合うことになります。本職が歯科医でもある<青木>は、<翔子>に対して積極的にアプローチを仕掛けてきます。

<翔子>の周辺の年頃の女性の恋愛観を散りばめ、書店という舞台をうまく使いながら、夢を追う<大輔>と、セレブな<青木>との間で揺れ動く<翔子>の心の成長を描いた一冊でした。
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今年の読書(155)『小倫敦の幽霊』平谷美樹(講談社文庫)

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今年の読書(155)『小倫敦の...
乱読の読み方を自負していますが、それでも何がしかの繋がりを感じることがあり、前回取り上げた <伊集院静> は妻<篠ひろ子>の出身地宮城県仙台市に住んでいますが、今回の<平谷美樹(よしき)>は岩手県金ヶ崎町在住で、東北地方在住の作家が続きました。

慶応3(1867)年の横浜外国人居留地を舞台として、その一角に「小倫敦(リトル・ロンドン)」と呼ばれ、英国人たちが多く住んでいる地域がありました。
事故(?)でメイドが亡くなった建物の空き家から、女の悲鳴が聞こえるという幽霊談の噂が広まり、横浜外国奉行所の同心<草間凌之介>はそのからくりを解き明かします。

攘夷派の跋扈が噂されるなか、一人の元薩摩藩士が殺され、その現場に落ちていた正体がわからない物体を<草間>は「英吉利(いぎりす)羊羹」と名付け調べ出しますが、皆目見当がつきません。

まだ科学捜査の手順もない時代ですが、温厚な<草間>には幅広い知識を持った仲間たちがおり、なぞの「英吉利羊羹」の実態が解明されていくミステリーとして楽しめた一冊でした。
#読書 #本 #詩 #エッセイ #コラム

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今年の読書(154)『悩むが花』伊集院静(文春文庫)

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今年の読書(154)『悩むが花...
『週刊文春』に連載れていた人生相談を中心にまとめら、深刻な問題から軽い悩み事を縦横無尽に切り、軽快でときには辛辣なコメントでまとめられています。

酒が強くなりたい22歳の若者に、<最初にまず飲む。次に吐く。そして倒れる・目を覚ましたら、また飲む。ふらふらしながら起き上り、さらに飲む。吐きながら倒れる。目が開いたら起きれなくても枕元でビールをストローで飲む。頭がクルクル回る。それでも辛抱して飲む。吐く。死にそうになる。死んでなかったらまた飲む。日時も、世紀も、自分の名前がわからなくても飲む。まぁそんな感じやね>と回答されているのには、笑ってしまいました。

今年は奇しくも二人目の妻<夏目雅子>(1985年9月11日没)が、27歳の若さで亡くなって30年目、時のたつ速さに驚かされます。
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今年の読書(153)『ST 化合 エピソード0』今野敏(講談社文庫)

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今年の読書(153)『ST 化...
<警視庁科学特捜斑>シリーズとして第12冊目になる本書ですが、「エピソード0」とあるように、まだ科学捜査班に配属される前の主人公<菊川五郎>は35歳で、警視庁捜査一課一年目の新米刑事として本書は描かれています。

自宅から遠く離れた公園で、イベント企画会社を運営する<生田忠幸>が刺殺死体で発見される場面から物語は始まります。

新人の<菊川>は所轄のベテラン<滝下>とコンビを組みますが、癖のある人物ながら刑事魂はもぅて折、<菊川>はそれぞれの場面で刑事としての経験を積んでいきます。

捜査状に刺殺された<生田>に金を貸していたサラ金の社員<向井原>を犯人と決めつける検事<烏山>ですが、<菊川>たちは冤罪だと考え独断で捜査を進めていきます。

新米刑事とベテラン刑事が捜査を通じて気心を知り会う過程が小気味で、また強引な捜査方針の検事と刑事たちの対立関係も読み応えがあり、面白く楽しめた警察小説でした。
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今年の読書(152)『アウトサイダー』深町秋生(幻冬舎文庫)

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今年の読書(152)『アウトサ...
<組織犯罪対策課 八神瑛子>シリーズとして、『アウトバーン』『アウトクラッシュ』 に次ぐ第3巻目が本書です。

主人公の<八神瑛子>は上野署に勤務する女刑事ですが、3年前に起こった暴力団高杉会の<芦屋>会長、並びに金庫番であった<島本>の自殺に不信を抱き、それを取材していた夫<雅也>も、奥多摩の山奥で川に飛び込んで自殺と処理された過去を背負っています。

所属の上野署以外にも<八神>は、刑事たち相手に高利貸しを行い、3年前の事件の真相を暴くべく子飼いを増やし警察内部の情報収集、執念で真相に迫っていきます。

本書にて一応のケリを付けた<八神>ですが、最終行は(第三話 了)の言葉で終り(完)でないだけに、これからも<八神>の活躍が楽しめるのか、気になる終わり方でした。
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今年の読書(151)『闇猫・冴子』安達瑤(徳間文庫)

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今年の読書(151)『闇猫・冴...
主人公<結城冴子>は、ストーカーから逃れるために戸籍を買い、高級デート嬢として暮らしていましたが、摂津地検特捜部にからんだ売春容疑で<割家>検察官に痛めつけられ、東京から大阪の友人<舞子>の家でのんびりとしていました。

バカンスで出かけた海水浴での日焼けがひどく、デート嬢のピンチヒッターとしてホテルに出向いた<舞子>は何者かに殺されてしまい、現場を目撃した<冴子>は、多田組のヤクザの警戒網を逃れて四国に逃げ延びます。

逃避先でも仕事は順調にあり、四国を去ろうかという最後の仕事に出向いたホテルにいたのは<割家>であり、検察庁に絡む裏金問題を摘発し、併せて<舞子>殺しの犯人を突き止めようと働きかけられ、しぶしぶ<冴子>は<割家>に協力することになっていきます。

播磨組の組長の跡目を狙う多田組の<多田>やヤメ検弁護士<那珂川>、<多田>愛人<麻由美>などが入り乱れ、破天荒ながら娯楽小説として楽しめた一冊でした。
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今年の読書(150)『生存者ゼロ』安生正(宝島社文庫)

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今年の読書(150)『生存者ゼ...
陸上自衛官<廻田>三等陸佐は、根室沖に浮かぶ石油掘削基地「TR120」がテロ攻撃を受けたかもしれないということで、悪天候のなか現状に出向きますが、職員全員が無残な死体となっていました。

調査の結果、死体の体内から未知なる「絶対嫌気性桿菌」が発見され、政府は細菌学者の<富樫>を国立感染症研究所に呼び研究をさせますが、かってのライバル<鹿瀬>の陰謀で、研究が出来なくなってしまいます。

感染は一時終結したかのようにみえましたが、今度は北海道東部の街が全滅してしまいます。<廻田>は「どうやって海上から陸地に侵入できたのか?」との疑問を持ち、再度「TR120」に出向き、そこで「シロアリ」を発見、生物学者の<弓削亜紀>の協力で、細菌により「シロアリ」が肉食性に変体したことを突き止めていきます。

東宝にて映画化された 『感染列島』 (封切:2009年1月)の原作として、<吉村達也>著の 『感染列島 パンデミックデイズ』 がありますが、この時の新型ウイルスの宿主は「ダニ」でした。

首相を筆頭に政府役人の危機感のなさと身の保全振りがさもありなんと描かれ、未曾有の出来事に立ち向かう<廻田>たちとの対比が見事で、最後までパンデミックの危機感を感じながら楽しめたバイオサスペンスでした。
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今年の読書(149)『僕の死に方』金子哲雄(小学館文庫)

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今年の読書(149)『僕の死に...
「終活」という言葉が一般的になってきていますが、『僕に死に方』というタイトルを見ながら、著者<金子哲雄>を全然知らないだけに、逆に興味を持って読んでみました。

著者<金子哲雄>(1971年4月30日~2012年10月2日)は、「流通ジャーナリスト」という肩書で、テレビやラジオ番組などに出演、一般消費者に対して経済を分かりやすく解説していた人物とのこと。

死因となったのは肺に腫瘍ができる「肺カルチノイド」で、日本でも数例しか発病例がなく、ガンと同様の治療方法しか見いだせていません。

医者からはいつ死んでもおかしくないと言われ、存命中から自ら葬儀屋から葬儀場の手配、戒名や仕出し弁当の準備、公正証書による遺言状の作成とまさに「終活」の準備をすべて整え、妻に看取られながら自宅で静かに亡くなっています。
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今年の読書(148)『舟を編む』三浦しをん(光文社文庫)

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今年の読書(148)『舟を編む...
大手総合出版社の辞書部門に37年勤めていた<荒木公平>もいよいよ定年、大学教授の職を捨て新しい国語辞書『大渡海』の編集に心血を注いでいる<松本>先生のサポートとして、大学院で言語学を学んだ27歳の<馬締(まじめ)光也>を自分の後継者にと考えます。

<馬締>は名前通り几帳面で、何事にも真剣にとりくむ真面目さで、辞書部門の仲間とも打ち解けて仕事に励む傍ら、下宿先の大家<タケばあさん>の孫で板前修業中の<林香具矢>と知り合い、不器用ながらも妻として娶ることができます。

時は経ち辞書部門の主任となった<馬締>も40歳、辞書発行も大詰めになりファッション雑誌担当であった若い<岸辺みどり>が配属され、彼女もまた辞書作りに情熱を燃やすことに感動を覚えていきます。

タイトルの『舟を編む』や辞書名『大渡海』の名称は、<辞書は言葉の海を渡る船>に関連付けられており、『星間商事株式会社社史編纂室』 と同様に、一つの仕事に真剣に取り組む人たちを描く著者の姿勢がよく表れた作品でした。
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今年の読書(147)『老猿』藤田宜永(講談社文庫)

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今年の読書(147)『老猿』藤...
語り手は59歳の<中里太郎>、結婚30年にして妻以外の女性と関係を持ち離婚、勤務先のホテルは買収されてリストラに合い、父親が残した軽井沢の別荘に一人移り住みます。

隣家には<高村光雲>の彫刻『老猿』を彷彿させる老人<岩熊>が住み、向かいには不動産会社を経営する男の愛人<孫春恋(スン・チェンリン)>が住んでいましたが、お互い交流もなく、静かな日々を過ごしていた<中里>でした。

ある夜、社長の妻が突然現れ、向かいの家から<春恋>が逃げてきて、一晩泊めるところから物語は大きく展開していきます。

なぜか中国人を嫌う<老猿(岩熊)>、<中里>の家に居候を決め込む<春恋>の不審な行動、やがて男女の関係に陥る<中里>と<春恋>、物語は壮大な叙事詩を醸し出しながら三人の運命を非日常的な世界に引き込んでいきます。

パリにて小説家を目指していた<老猿>が、「建築家が居心地の悪い家を作り、それを施主に売り渡す。施主はこんな家を建てやがって、と建築家に腹を立てる。しかし、居心地が悪いのに、施主はなぜか、その家から離れられない。そんな小説が私の理想なんだ」との言葉が、建築設計を生業とするわたしの心に響き、また老いてゆく人生の機微を考えさせられる一冊でした。
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