今年の読書(155)『小倫敦の幽霊』平谷美樹(講談社文庫)
11月
22日
慶応3(1867)年の横浜外国人居留地を舞台として、その一角に「小倫敦(リトル・ロンドン)」と呼ばれ、英国人たちが多く住んでいる地域がありました。
事故(?)でメイドが亡くなった建物の空き家から、女の悲鳴が聞こえるという幽霊談の噂が広まり、横浜外国奉行所の同心<草間凌之介>はそのからくりを解き明かします。
攘夷派の跋扈が噂されるなか、一人の元薩摩藩士が殺され、その現場に落ちていた正体がわからない物体を<草間>は「英吉利(いぎりす)羊羹」と名付け調べ出しますが、皆目見当がつきません。
まだ科学捜査の手順もない時代ですが、温厚な<草間>には幅広い知識を持った仲間たちがおり、なぞの「英吉利羊羹」の実態が解明されていくミステリーとして楽しめた一冊でした。