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- 今年の読書(155)『小倫敦の幽霊』平谷美樹(講談社文庫)
乱読の読み方を自負していますが、それでも何がしかの繋がりを感じることがあり、前回取り上げた <伊集院静> は妻<篠ひろ子>の出身地宮城県仙台市に住んでいますが、今回の<平谷美樹(よしき)>は岩手県金ヶ崎町在住で、東北地方在住の作家が続きました。
慶応3(1867)年の横浜外国人居留地を舞台として、その一角に「小倫敦(リトル・ロンドン)」と呼ばれ、英国人たちが多く住んでいる地域がありました。
事故(?)でメイドが亡くなった建物の空き家から、女の悲鳴が聞こえるという幽霊談の噂が広まり、横浜外国奉行所の同心<草間凌之介>はそのからくりを解き明かします。
攘夷派の跋扈が噂されるなか、一人の元薩摩藩士が殺され、その現場に落ちていた正体がわからない物体を<草間>は「英吉利(いぎりす)羊羹」と名付け調べ出しますが、皆目見当がつきません。
まだ科学捜査の手順もない時代ですが、温厚な<草間>には幅広い知識を持った仲間たちがおり、なぞの「英吉利羊羹」の実態が解明されていくミステリーとして楽しめた一冊でした。
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