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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『日暮らし』(上)宮部みゆき(講談社文庫)

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『日暮らし』(上)宮部みゆき(...
一応主人公は、前作 『ぼんくら』 でも登場した怠け者の同心<井筒平四郎>ですが、彼が関わった「鉄瓶長屋」の<お徳>や植木職人の<佐吉>など、懐かしい面々が再登場、江戸の長屋で力強く生きる人々の生活をとして、夫婦の機微や母親としての心の想いが描かれている人情時代小説です。

本書には4話が納められていますが、冒頭の『おまんま』では、扇子に似顔絵を描く人気絵師<秀明>が殺され、<平四郎>は米寿になる「回向院の親分」こと<茂七>から、関わった昔の事件を教えられ、すべて記憶している13歳の<三太郎>こと<おでこ>の昔の話から、事件を解決していきます。

<平四郎>が養子縁組を考えている藍玉問屋の13歳の美形の甥っ子<弓太郎>は利発で、彼と共に市井に生きる人々の事件にかかわっていきます。
母親の愛情の深さがよく出ていた『子盗り鬼』、<お徳>が「鉄瓶長屋」から「幸兵衛長屋」に転居したことで起こる、女の弱さがよく出ていた『なけなし三昧』、どれも秀逸な作品で面白く読み終えれました。
#本 #読書

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『雨にもまけず粗茶一服』(下)松村栄子(ピュアフル文庫)

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『雨にもまけず粗茶一服』(下)...
一般的に(上・下)本の場合は同時発売されるのが多いと思いますが、本書は2か月おいて(下)が出版され、待ち遠しい一冊でした。

(上) の後半は、「武家茶道坂東巴流」の<友衛家>から<宮本武蔵>作の茶杓がなくなっていたところで終わりましたが、(下)で主人公<友衛遊馬>の祖父の老いらくの恋が原因であることが判明します。

(下)では、京都の宗家巴流の長女<奈彌子>の恋、内弟子<カンナ>と<今出川幸麿>の結婚話し、そして<遊梅>の恋物語が語られ、家元を継ぐべく心機一転嫌、比叡山の修業にと足を向けて物語は終わります。

<遊馬>の茶道家元に目覚める成長物語を骨格として、茶道の所作に留まらず、書画・骨董・茶器・和歌・花・お菓子・茶室といったモノが絡み合う総合芸術としての知識が身に付きました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『悪刑事(わるでこ)』森巣博(徳間文庫)

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『悪刑事(わるでこ)』森巣博(...
刑事を主人公に据えた小説は、地道な捜査と推理で犯人を追いつめていくタイプと、悪徳刑事とに分かれますが、本書は完璧なまでに後者です。

主人公は赤坂署捜査課強行班に所属する<名和平太>44歳、三流大学出ながら28歳で警部補試験に通りノン・キャリアの道を快進していましたが、いまはさぼりまくる中年刑事に落ちぶれています。

迷宮入りになりそうな「違法カジノ連続強盗事件」の捜査を与えられ捜査中、17歳の女子高生の殺人事件の担当も任せられます。
赤坂署きってのギャンブル好きの<速水遊>と組み捜査に乗り出しますが、援助交際が絡んでいるのを掴み、自分が関係を持っている15歳の<麗>を囮捜査に使い、久々に捜査に燃える<名和>でした。

刑事でありながら、タカリ・強請なんでもアリの悪刑事が、「へいか~っ、申し訳ございません」の台詞が随時に飛び出す愛国心もある二面性が面白く、著者自らがギャンブラーだった知識も豊富に散りばめられ、下品な下半身の話題も多く、笑える一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『北京炎上』水木楊(文春文庫)

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『北京炎上』水木楊(文春文庫)
民主化運動の大きな変節として、1989年6月4日に起こった「第二次天安門事件」は記憶に新しいところです。
本書は2008年8月8日に開催された「北京オリンンピック」以降、役人の腐敗、農村の貧困等の人民の不満が噴き出す2014年から2015年を舞台にした近未来小説です。

東西新聞社の<田波慶介>は北京支局に詰める特派員ですが、妻<荘鳴風>は北京大学時代に「天安門事件」に参加した人物であり、25年後の現在でも反政府運動を陰で支え、学生時代の許婚<劉>と行動を共にしています。

中国民主化の夢に走る活動家や、愛国心に燃える軍将校や老獪な中国首脳部の政治的な思惑を縦糸に、刻々と状況が変わる中国の様子を横糸に、<田波>や<鳴風>にかかわる人物たちの人間ドラマが展開されていきます。

著者は日本経済新聞社のロンドン特派員、ワシントン支局長を経てきただけに、経験を生かした構成は、フィクションとは思えぬ説得力のある内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『神戸立ち呑み八十八ヵ所巡礼』出版

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『神戸立ち呑み八十八ヵ所巡礼』...
このブログルの仲間「立ち呑み日々雑感」のMSHIBATA(芝田真督)さんが、タイトルの本を出版されました。神戸のお店を中心に明石までマメに巡礼されておられます。

帯には、「おしゃれ、スマートだけが神戸じゃない。
神戸は、灘の酒に育まれてきた”立ち呑みの街”。
そこには酒を愛する人が集まる、味わい深い店の数々がある」と書かれています。

MSHIBATAさんは、「神戸立ち呑み文化研究会」の会長でもありますので、多くの情報の中で、お店の選択で苦労されたと思います。
長年の経験を生かされ、どの店も「さすが」という評価が出来るお店ばかりで、これまた「さすが」です。

一度本を片手に、神戸で味わい深い文化を経験してみてください。
そうそう、お客さんとして私の横顔も<ちょこっと>どこかのページに載っています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『社交ダンスが終った夜に』レイ・ブラッドベリ(新潮文庫)

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『社交ダンスが終った夜に』レイ...
本書は2002年に刊行された短篇集で、1980年代を中心に表題作を含めて25篇が収録されています。

短篇集で素ので紹介文も難しく、<SFの抒情詩人>と謳われたブラッドベリーならではの面白みが味わえ、1947年・1948年と2連連続でアメリカの年間短篇集(O・ヘンリー賞)に連続して作品が掲載された実力者ですので、どの作品も安心して楽しめました。

『華氏451°』・『火星年代記』とSF作家としてデビューを果たしていますが、なんといっても『たんぽぽのお酒』が少年ファンタージとして素晴らしい作品でした。

イリノイ州の小さな町を舞台に、12歳の少年<ダグラス>のひと夏の不思議な体験を描いた作品でしたが、87歳になった昨年には続編となる『さよなら僕の夏』を刊行(晶文社)され、年齢を感じさせない筆力に脱帽してしまいます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『姥ざかり花の旅笠』田辺聖子(集英社)

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『姥ざかり花の旅笠』田辺聖子(...
兵庫県伊丹市在住の作家、<田辺聖子>さんこと<お聖さん>の著作です。
あとわずかで読み切るというところで、<お聖さん>の文化勲章受賞のニュースを聞き、なんだかタイミングがいいなぁと感じました。

この本、副題として~小田宅子(いえこ)の「東路日記」~とあり、160年前の女性の旅日記が中心として構成されています。

主人公の<小田宅子>さんは53歳。俳優<高倉健>さんの5代前のご先祖さんに当たられとかで、帯には<健さん>の推薦文があります。

北九州筑前、上底井野村(現福岡県中間市)からお伊勢さん、善光寺、日光、江戸までもの踏破の記録。
江戸時代の女旅の記録として、俳句・短歌を書き綴りながらの記録で、興味が付きませんでした。
日記に出てくる記述と、短歌等からお聖さん独特の解釈と解説が交互に入るという構成で、雑学の知識としては7年ほど前の出版ですが、高得点の内容でした。

当時の江戸文化に興味がある方は、一度手に取られたらと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『レスキューウイングス』小川一水(メディアファクトリー)

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『レスキューウイングス』小川一...
小学5年生のときに、友人たち2人と勝手に乗り出したボートが沖に流され、レスキュー隊に助け出された<高須英治>も25歳、陸上自衛隊小松基地にて救難員(メディック)として頑張っています。

<高須>の右肩には、ボートの遭難事故以来「灯(ともり)」という女の子の幽霊が居座り、遭難救助のときには誰よりも早く遭難者を見つける手助けをしてくれていました。

本書は警察や消防・海上保安庁などが救助不可能と判断した最悪の条件下で出動するレスキュー隊員の日常と行動を描き、年齢・国籍に関係なく、改めて「命」の大切さを知らしめてくれる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『ありふれた魔法』盛田隆二(光文社文庫)

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『ありふれた魔法』盛田隆二(光...
主人公は、城南銀行五反田支店の次長<秋野智之>44歳です。
2歳年上の妻<仁美>とは社内結婚で、長女<鈴花>は中学2年生を筆頭に男の子が二人いますが、二男の<健斗>は耳の持病で病院通いをしています。

ある日<秋野>は、渉外課の26歳の<森村茜>から、取引先の社長ともめているという相談を受け、社長の別荘がある箱根まで同行しますが、帰途の途中にみせた彼女の涙に男心をくすぐられます。

水曜日の「ノー残業デー」には、<秋野>は<茜>とのデートを重ね、やがて男と女の関係に行きつきますが、融資を断られた顧客にホテルでの密会場面を写真に撮られ、融資話をちらつかせて強請られます。

年頃の娘との会話、銀行内の業務や上司と部下との関係、取引先との折衝等も細かく、一人の銀行員の心の機微が、見事に描かれていました。
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『ラビリンス』ケイト・モス:森嶋マリ訳(ソフトバンククリエイティブ)

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『ラビリンス』ケイト・モス:森...
『失われた福音書』 『死海文書のすべて』 『イエスの遺伝子』 『小説「聖書」旧約/新約篇』 『聖書ミステリー』 『イエスのビデオ』 etc.

別段キリスト教徒でもありませんが、イエスに関連する歴史物の小説には興味があり、本箱の段を少しばかり占領しております。

数年前、たまたま相方に『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)を渡したことがあり、読んで面白かったのか、映画まで見に行っておりました。

その後、上記にあげた小説を読んでみたらと言っていたのですが、読み切ったみたいで、「他に何かないの?」との催促。

仕方なしに、書店で探して来たのが『ラビリンス』(ケイト・モス著)です。
現在と800年前の出来事を前後させながら、秘宝の書物を探し求める小説です。
全英で100万部との宣伝文でしたが、私の評価は星ひとつ。
相方はこれは面白いとのことで、黙って読書時間を過ごしてくれていますので、しばらくは静かで助かります。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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