『角館・辰子伝説殺人事件』本城英明(双葉文庫)
3月
15日
秋田県角館で、日本刀による「辻斬り」的な事件で県議の娘<美奈>が殺され、<梶山>は部下の<叶野>とあわただしく現場に向かいますが、到着しますと<白咲>という整形外科医がすでに自首していました。
<白咲>は被害者との面識もなく、不審に思った<梶山>は妻<香奈>に背後関係を聞き取るのですが、要領をえないまま別れた夜に<美奈>と同様に日本刀で殺されてしまいます。
自首している<白咲>は明らかに誰かをかばっているのですが、捜査を進めてゆくなか、25年前に起きた一家心中事件が浮かび上がってきます。
整形外科医と「美への欲望」の<辰子伝説>を絡めた構成は、女心の本髄を付き、家族の悲劇に端を発する物哀しさ漂う作品でした。