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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(36)『寂聴あおぞら説法:愛をあなたに』瀬戸内寂聴(光文社文庫)

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今年の読書(36)『寂聴あおぞ...
時寂聴さんが、岩手県二戸市にある天台寺の住職になられたのが、1982(昭和62)年です。
東北最古の名刹も、当時は雨漏りがする状況でしたが、本堂や参道の整備よりも、一人でも多くの参拝者が詣でてくれることが大切だと考え、境内にゴザを敷いての<あおぞら説法>が始まりました。

軽快な口調で、参拝者からの悩みを聴きながら明快に答えてくれるということで、毎月全国から五千人前後の人が参加するというのには驚かされました。

寂聴さん自信子供と別れ、不倫問題も経験された経歴の持ち主だからこそ、凡人の我々も共感できる問答が成り立つのだと思います。

煩悩の世界からなかなか離脱して悟りを開くことはない凡夫ですが、あらためてこれからの生き方を考える一冊になりました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(35)『雪のひとひら』ポール・ギャリコ(新潮文庫)

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今年の読書(35)『雪のひとひ...
読む本を選ぶ基準は、好きな作家だというのが大きな要素だと思いますが、<本>自体の装丁などに引かれる場合が多々あります。

この『雪のひとひら』も、きれいな青い表紙が目にとまり手にしてみました。
著者の名は、1972(昭和45)年に封切られた映画『ポセイドンアドベンチャー』の原作者として印象が強く残っていましたので、読んでみることにしました。

ある寒い朝、空から<雪のひとひら>は生まれ、地上に舞い降ります。
地面に落ち、小川に流され、大きな川を下る長い旅が始まります。
旅の途中で人生の伴侶となる<雨のしずく>と出会い、4人の子供を授かります。
火事場の消化水として働き、苦難を超え大海に流れて行きますが、旅の途中で伴侶である<雨のしずく>を亡くし、子供たちもそれぞれの水の分岐に沿って旅だって行きます。

雪の発生から、太陽の熱で気化消滅するまでの過程を、女性の一生に擬人化し比ゆ的に表した、大人の童話でした。

水の属性になぞらえ、人生の流転を流れるままに受け止める<雪のひとひら>の姿勢は、生きてゆく限りとどまることなく活動を続けることが大切であり、人間として自然な姿なのだと感じさせてくれた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(34)『遮断』堂場瞬一(中公文庫)

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今年の読書(34)『遮断』堂場...
2009年2月に発行された 『蝕罪』 を一作目とし、前作の 『波紋』 に次いで、本書の『遮断』で<警視庁失踪課・高城賢吾>シリーズも七作目となりました。

主人公の<高城賢吾>は、失踪課第三方面分室の刑事で45歳、室長として<阿比留真弓>がいますが、実質のトップとして采配を振るっています。
かっては捜査第一課に所属していましたが、7年前に一人娘の<綾奈>が学校から帰宅中に失踪してしまいます。この事件で弁護士との妻とも別居の上、離婚に至ります。
それ以来仕事に身が入らず、酒びたりの生活が続き、捜査第一課から所轄の転属を繰り返していたところ、<阿比留>室長に引き抜かれ失踪課に籍を置いています。

今回の『遮断』は、同じ失踪課の刑事<六条舞>の父親(厚生省高級官僚)が突然いなくなり、誘拐かと思わせる事件が起こります。

癖のある新メンバーの<田口>刑事もいいボケ役で登場してきますが、反面、父親の事件の責任を感じて<六条舞>が刑事を辞職、シリーズの登場人物から消えてしまいました。

個性ある失踪課のメンバーたちの活躍、まだまだ続きそうで目が離せません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(33)『白い鴉』新堂冬樹(朝日新聞出版)

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今年の読書(33)『白い鴉』新...
『白い鴉』は、新堂冬樹の一番新しい著作です。
自ら高校を中退した十代の頃より、闇金融の世界で働いていたことを公言されておられますが、その経歴を生かした「カネ」や「女」などの欲望渦巻く裏社会を描いてきています。

今回の作品も孤児院で育てられた「白い鴉」と呼ばせる主人公が、夜の六本木を舞台に、詐欺を働く様子が連綿と続きます。

冒頭に詐欺罪の被告人としての描写がありますので、読者は主人公が逮捕されるていることを知り得ながら、その手口のうまさに感心させながら、「白い鴉」の背景を読み進むことになります。

最後には、悪徳大物政治家が騙されるのですが、ノンフイクション的で、笑えました。

育った孤児院の地上げに絡む悪徳大物政治家を詐欺に遭わせ、恨みを晴らして物語は終わります。
巻き上げたお金は心の母と慕い続けている孤児院の園長に届けられますが、銀行の貸しはがしに遭遇している園長がそのお金で孤児院を守るのかどうかは、読者が想像しなければいけません。 これまたうまい結末の付け方だと、感心しました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(32)『仮想儀礼』篠田節子(新潮文庫)

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今年の読書(32)『仮想儀礼』...
文庫本(上・下)で、1200ページを超す大作です。
著者の作品は今回が初めてでしたが、緻密な構成と人物設定の見事さに、圧倒されました。
2009年に「柴田錬三郎賞」をこの作品で受賞していますが、十分に納得できる作品でした。

ゲーム作家に憧れて職を失くした元東京都職員の鈴木正彦は、ゲーム本出版社が倒産した矢口誠と、金儲け目的のために宗教教団「聖泉真法会」を立ち上げます。

最盛期には7000名を超える信者がいた教団も、他の悪徳教団や仏具店の脱税のとばっちりを受けて、衰退の一途をたどります。
人間の心に巣くう孤独感、閉塞感、虚無感、罪悪感が相互に絡んで、一大抒情詩の体を表した物語りとなっています。

関西地区の始点として神戸に支部が開設されたりと、読んでいて楽しい伏線もありました。

批評家大森望が<読み終えたあとしばしぐったり放心してしまうほどだが、この心地よい疲労感こそ、傑作の証>と述べられていましたが、まさにぴったりの称賛の言葉です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(31)『陽だまりの彼女』越谷オサム(新潮文庫)

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今年の読書(31)『陽だまりの...
2004(平成16)年、『ボーナス・トラック』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞している著者ですが、この一冊を読み終えて「なるほどな」と思いました。

さわやかな大人の恋愛小説でもあり、最終的にはファンタジーの世界で締めくくられます。
詳しく書きますと、今後読まれる方に悪いので、ほのぼのとした気持ちにさせられる一冊だとだけ申しておきます。

読み終えて「なるほど」という伏線が、文章のあちらこちらに散りばめられているのに気が付きました。
タイトルも読まれた方は、「なるほど」とうなづかれたはずです。

解説を書かれている<瀧井朝世>さんが、<恋愛小説はあまり読まない、という人こそ、自信をもってお勧めしたくなる>と書かれていますが、その気持ちがよくわかる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(30)『サクリファイス』近藤史恵(新潮文庫)

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今年の読書(30)『サクリファ...
『サクリファイス』というタイトルだけでは、どのような小説なのか理解しにくいのですが、表紙の写真の通りプロのロードレースを舞台とした、青春小説でもあり、ミステリーでもある小説です。

主人公の白石誓は、陸上選手でしたが自転車競技にあこがれ、ロードレースの世界に飛び込みます。
所属したチームでは、プロ選手としての嫉妬やプライドが交差するなか、3年前に起きた自転車事故がクローズアップされ、思わぬ結末に引きずり込まれてしまいます。

ロドーレースは団体競技で、「エース」と呼ばれるトップスターを勝たせるために、チームメンバーは「アシスト」ととして全力を尽くします。

タイトルの<サクリファイス=犠牲>という意味が、読み終えたあと特殊な自転車競技の世界を通して、ゆっくりと心に沁み込んでくる一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(29)『悪道 西国謀反』森村誠一(講談社)

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今年の読書(29)『悪道 西国...
講談社100周年記念の一環として『悪道』が出版され、2011(平成23)年に第45回吉川英治文学賞を受賞しています。
五代将軍・綱吉の急死をうけて、権臣・柳沢吉保は秘密裏に影武者を立てて徳川家存続を図りますが、陰謀に気づいた伊賀忍者の末裔・流英次郎に刺客を向けるという荒筋でした。

『悪道 西国謀反』では、西国の要、中国地方の大藩・42万5千石の浅尾家に渦巻く世継ぎ騒動を中心に、英次郎一統と浅尾藩家老・外村監物引きいる戦国忍者の生き残り・風炎衆との戦いが待ち受けています。

綱吉(影武者)や柳沢吉保・紀伊国屋文左衛門など歴史上の人物と、伊賀忍者の末裔や残忍な暗殺集団・風炎衆とのフィクションが織りなす時代小説で、史実に基づきませんが、楽しく読めました。

『悪道』では、主人公の英次郎の敵であった<主膳>も味方になり、今回も果心居士伝来の妖しの術や忍びの術を使う<貴和>が、英次郎一統側につきそうな終わり方で、これはシリーズ化されそうな予感がしています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(28)『復活から常勝へ』渡辺康幸(新潮文庫)

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今年の読書(28)『復活から常...
早稲田大学競走部駅伝監督である渡辺康幸さんの著書です。
『自ら育つ力』(日本能率マネージメントセンター)を、2008年に出版されていますが、昨年の第87回箱根駅伝において18年振りに総合優勝をを果たし、新たに1章を追加されての文庫本化です。

度重なるアキレス腱のトラブルで29歳で現役を引退、以後母校早稲田大学の駅伝監督として後輩の指導を通して伝えるべきもの、考えてきたことが、書かれた一冊です。

<ゴールというのは、そこへ到達するまでの道筋がしっかりかくにんできなくては本気で狙えるものでない。到達するために、具体的にどんな施策をどういう手順ですすめていくのか。それがはっきり目に見えているからこそ目標なのだ>
現実的でない「夢」は「夢」でしかありえないと言いれきるのは、実践をこなしてきた経験者ならではの言葉だと思います。

残念ながら今年の第88回箱根駅伝では、東洋大学が総合1位、早稲田大学は総合4位に終わりましたが、来年度の「復活」を期待したいところです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(27)『契約』明野照葉(光文社文庫)

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今年の読書(27)『契約』明野...
著者の本は、『女神』 (光文社文)・ 『汝の名』 (中公文庫)・ 『澪つくし』 (文春文庫)と読んできて、4冊目になります。

どの作品にも共通して感じることは、「女」の執念・怨念・すさまじさです。
お化けは男も女もおりますが、幽霊は女性だけということを、いつも認識させられます。

今回登場する主人公の<南欧子>は、34歳。学生時代はクラスの人気者でしたが、今は三流会社の出版社に勤め、妻子持ちの男性と付き合うみじめな生活をしています。
そんなとき、破格の好条件でヘッドハンティングされ、雇い主が分からないままに雇用「契約」を結びます。
この雇い主、昔学生だった頃に<南欧子>にいじめられた恨みを、20年後に復讐するという同級生なのです。

いじめられた恨みを20年間持ち続け、<南欧子>をいたぶる姿は、異様に感じますし、結末が肩すかしで終わったように感じました。
<南欧子>にも、雇い主の女の行動にも、共感は持てず、心理サスペンスとして、もうひとひねりほしいところです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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