今年の読書(119)『あんちゃん』北原亞以子(文藝春秋)
11月
3日
タイトルの『あんちゃん』は、最終編として組まれていました。
「明治は遠くなりにけり」といわれますが、それ以前の庶民の暮らしぶりは、人情と義理が基本にありますので、読んでいて安心感があります。
機会化された現代生活も文明の面から見ると凄い発展ですが、人間の営みとして幸せなのかと見直すには、江戸時代の市井の生活がいい教科書に思えてなりません。
『楓日記 窪田城異聞』という作品だけは、現代の主人公が古文書をもとに、当時の歴史を紐解く内容で、緻密な時代構成に感心させられました。
サスペンスや裏社会の作品の合間に読むには、心落ち着く時代劇モノがいいようです。