網戸に留まっていました「カワゲラ(川螻蛄)」は、襀翅目(カワゲラ目)の【オナシカワゲラ】です。
体は上下に少し扁平になっており、頭から尾の先まであまり幅の変わらない棒状です。やわらかくて弱い。ほとんどの種で前翅より後翅の方が広く、不飛翔時は体の幅と同じくらいに扁平に重ねて翅をたたみます。
幼虫は水生で、その形は成虫とほぼ同じですが、翅を持たず、体表(胸部、腹部)に鰓を持っています。成虫はすべての種で陸生です。成虫は咀嚼口式ですが、摂食活動は行わず、交尾産卵すると死んでしまいます。また、幼虫期の長さには種によってばらつきがあります。
ガラス窓に留まっていました、チョウ目(鱗翅目)シャクガ科ヒメシャク亜科の【ウスキクロテンヒメシャク】です。
開張20ミリほどの小さな「蛾」で、灰白色地に、淡褐色の筋模様があります。4枚の翅にひとつずつ小さな黒点があります。
活動時期は6月~10月で、都市近郊でも普通に見られるシャクガです。エサは花の蜜を求め、幼虫はベンケイソウ科(コモチマンネングサ)、カタバミ科(カタバミ)、ケシ科(ムラサキケマン)、スミレ科(マルバスミレ)、ニシキギ科(ツルウメモドキ)、イヌサフラン科(ホウチャクソウ)などの葉や花弁を食べています。
プランターで栽培されていますイチゴの茎に、白い泡状の塊を見つけました。
カメムシ目(半翅目)アワフキムシ上科アワフキムシ科の昆虫の総称としての「アワフキムシ(泡吹虫)」ですが、幼虫が排泄物をあわ立てた泡状の巣を保護のため用いているのでこの名がついています。
「アワフキムシ」の幼虫は多年生の植物にしがみついて口針を維管束に刺し、そこの道管を流れる液にわずかに溶け込んだアミノ酸やミネラル分を栄養としてほとんど移動せずに暮らします。その際、道管には大量の水分にわずかにしか栄養分が溶け込んでいないため、消化管の一部が変化した濾過室で栄養分を濃縮しつつ吸収し、大量の水分を排泄します。
界面活性剤の水溶液でできた「泡巣」は気門と気管で呼吸する昆虫にとっては通常致死的であるため捕食性の昆虫に対して高い防御性を発揮し、アリなどが巣の中の幼虫を捕食するのは溺死してしまうため不可能に近い状態を作り出しています。
つまようじ等でつつけば幼虫が出てくると思いますが、自然での撮影を基本としていますので、どのような種類の「アワフキムシ」なのかはわかりません。
黄金虫(コガネムシ)の名称通り光線の関係でしょうか金色に輝いているように見えています、甲虫目(鞘翅目)コガネムシ科の【セマダラコガネ(背斑黄金虫)】です。
体長10ミリほどの全体に卵形をした小型のコガネムシです。背面は茶褐色に黒褐色の斑紋がありますが、色彩に関しては「個体変異」が著しいようで、色は普通は茶褐色で黒緑色の大きな斑紋が左右にありますが、全面が茶黄色になるものから黒緑になるものまで変異があります。
本種は、琉球列島以外の日本全土に分布し、日本固有種であるとされていますが、フィリピン諸島が元々の生息地であり、そこから日本に持ち込まれ、日本全土に広まったとの説があります。
1908年ハワイに侵入した【セマダラコガネ】はサトウキビ畑に被害をもたらし、1920年にアメリカに侵入しイネ科の植物の根に被害を与えて〈オリエンタル・ビートル〉呼ばれています。1916年、先にアメリカに侵入したのが〈ジャパニーズ・ビートル〉と呼ばれている日本在来種の【マメコガネ】です。後から侵入した〈アジアテイック・ガーデン・ビートル〉と呼ばれている【アカビロウドコガネ】もともに害虫として恐れられています。
〈画像:撮影は頭部が上の状態ですが、貼り付けの都合上横向きにしています〉
以外と見かけますナナフシ目ナナフシ科ナナフシ亜科に属する「ナナフシ」ですが、「褐色」ではなく「緑色」の体長70ミリほどの【ナナフシモドキ】をみつけました。 【エダナナフシ】と見分けづらく、よく間違えられますが、一番わかりやすい違いは、頭についている触角の長さです。触覚が前脚より短いのが【ナナフシモドキ】で、前脚と同じくらいの長さなのが【エダナナフシ】です。
【ナナフシモドキ】はメスだけで卵を産む「単為生殖」をするため、オスがいなくても繁殖します。ナナフシのオスは珍しく、全国で十数例しか確認されていません。オスが見つかれば大発見です。これからもオスの特徴〈メスより細くて一回り小さく、触角が長くからだ全体が褐色で胸から腹にかけて白い筋があること〉を念頭に観察、オスを探していきたいと思います。
エサとして「ダンゴムシ」の死骸を必死で運んでいます、ハチ目アリ上科アリ科の【クロヤマアリ】の体長6ミリほどの〈働きアリ〉と遭遇しました。
身近な昆虫の一つですが、原則として、産卵行動を行う少数の〈女王アリ〉と、育児や食料の調達などを行う多数の〈働きアリ〉、餌を得るための狩りや巣の防衛を担う〈兵隊アリ〉が大きな群れを作る社会性昆虫として、〈働きアリ〉はすべて「メス」であることはよく知られていますが、《働きアリの法則》や《2-6-2の法則》と呼ばれるたとえに用いられています。
●働き蟻のうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
●よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
●よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働く蟻になり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。
●よく働いているアリだけを集めても、一部がサボり始め、やはり2:6:2に分かれる。
●サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
社会性のある昆虫だけに、面白い研究対象になるようで、「アリ」を「ヒト」に置き換え、昆虫の社会を研究することで、生物のシステムにおける共同の起源に迫ることが期待されています。
蟻社会に興味ある方は、 進化生物学者の<長谷川英祐>氏の 『働かないアリに意義がある』などをお勧めします。
極端に脚の長い特徴を持つハエ目(双翅目)カ亜目(長角亜目)ガガンボ科の体長25ミリほどの【キゴシガガンボ】が、網戸に留まっていました。
からだの部分を大きく撮影しようとしますと、長い脚が切れてしまいます。全体と体部分の2枚に分けて撮影すればいいのですが、その合間に飛び去られ逃げられてしまうのが怖いので、昆虫との撮影は、いつも一期一会の気合が必要です。
「ガガンボ」は世界中に生息し、日本でも全国的に生息しており、別名「カトンボ」ともいわれており、蚊と間違えてしまう人もいるようですが、人体に吸血することはなく、花の蜜などを好みます。
よく見かける蚊である「アカイエカ」や「ヒトスジカ」の寿命は約30~40日ですが、「ガガンボ」の寿命は約10日と、とても短く、活動時期は3~11月と冬以外の時期は見ることができます。越冬する場合もありますが、その際は幼虫やサナギの形で冬を越します。
昨日の神戸の最高温度は「24.0度」でした。そろそろ昆虫たちの活動も活発になってきています。ナミアゲハ・モンシロチョウ・ハナアブたちを撮り損ねました。昆虫記の通し番号(1000)番は、ようやく今年に達成できそうですので、何が記録できるのか楽しみです。
今回は、体長10ミリほどですが、翅の上から胴のくびれも確認でき、触覚も長いので、ハエ目ではなくハチ目(膜翅目)だとすぐに分類できました。
【トゲアシオオベッコウ(棘脚大鼈甲蜂)】は、クモバチ(旧ベッコウバチ)科に分類されています。名称通り脚に「トゲ」が多くみられ、この【トゲアシオオベッコウ】は、蜘蛛を狩って捕食するタイプの蜂です。
クモバチ(旧ベッコウバチ)科の蜂は、雌グモを狩り麻酔させてから卵を産み、幼虫はそのクモ一匹だけを食べて成育するという特徴があります。体形は細長く、中胸側板中央部に斜溝があり、触角は長く、日本には100種あまり生息しているようです。
ここ連日、真夏日や猛暑日という気温の高い日が続いていましたので、昆虫の活動に期待していました。見つけましたのは、カメムシ目ヒョウタンナガカメムシ科の昆虫の1つである【オオモンシロナガカメムシ(大紋白長亀虫)】でした。この類で体長12ミリ程は大柄な方で、森林の地上に生息し、黒褐色の細長い体に前翅に大きな白い斑紋が1対ある特徴を持っています。
活動時期は3~11月とほぼ通年にわたってみられます。森林の地表で見られ、行動は活発で、植物の実の落下したものや地下茎などから汁を吸います。腐った果実や落下種子を専門に食べる、との指摘もあるようで、昆虫の死骸や糞なども食べることがあるとか。
もっぱら地表を徘徊するもので、他のナガカメムシ類のように植物の木々上に登ることはほとんどないようです。
早春に多数発生する普通種のカワゲラ目オナシカワゲラ科 フサオナシカワゲラ属の体長9ミリほどの【オナシカワゲラ】を見つけました。
オナシカワゲラ属には、国内では32種類が分類されていますが未記載種も複数存在すると推測されています。
過半数のカワゲラの成虫は摂食行動をとりませんが、オナシカワゲラやクロカワゲラの仲間の成虫は、地衣類や水分を含んで柔らかくなった植物枯死組織をかじることが知られています。
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