翅を閉じてとまっているときは、全体的に地味な焦げ茶色の【ホシホウジャク】ですが、飛翔中は後翅の黄色の部分がよく目立ち、腹部に白い帯が入ります。
チョウ目スズメガ科ホウジャク属の<蛾>で、「アメジストセージ」 に吸い蜜に訪れたところです。ホバリングして花の蜜を吸う姿は「ハチドリ」に似ており、擬態していると考えられます。
初夏から晩秋にかけて発生を繰り返し、せわしなく花から花へと蜜を求めて飛び回ります。
幼虫の食草は匂いの強いアカネ科の 「ヘクソカズラ」 ですが、これも棲み分けの進歩です。
写真では、壁にへばり付いているように見えますが、大きな網にいるクモ目ジョロウグモ科ジョロウグモ属の【ジョロウグモ】たちです。
春先に孵化し、<オス>は7回、<メス>は8回ほど脱皮して生態となり、10月頃に成熟期を迎えます。
性的二形が顕著な蜘蛛で、成体の体長は<メス>で20~30ミリ、<オス>は6~13ミリ程度と、<メス>の半分以下の大きさです。
交尾時に<メス>が<オス>を捕食してしまう危険性がありますので、交尾は<メス>の脱皮後や食餌虫に行われます。
<オス>二匹が<メス>を取り合いしている状況のようですが、種の保存としては仲良きことにはならないのが、自然界の摂理です。
部屋の明かりに誘われて、羽アリ(有翅虫)の 「ルリアリ」 や 「キイロシリアゲアリ」 が飛び込んできますが、今回の全長7~8ミリばかりの黒い<昆虫>は同定できませんでした。
膨大な数の<昆虫>数ですので、まずはどの「目と科」の<昆虫>かがわからなければ、お手上げです。
明らかにコウチュウ目の特徴である硬い上翅ではない<翅>を持っていますので、形態からしてハエ目(双翅目)か、もしくはカメムシ目(半翅目)の<昆虫>となります。
長い触角をもっていますので、ハエ目のなかでも「ガガンボ下目」・「チョウバエ下目・「アミカ下目」は無条件に削除、残るは「カ下目」(カ・ユルリカ・ブヨ等)か「ケバエ下目」(ケバエ・キノコバエ等)ですが、「カ下目」は脚の長さ、「ケバエ下目」は体長から除外、該当する科が無くなり、あとはカメムシ目が残ります。
確かに大きな頭部の形は、カメムシ目ヨコバイ亜目セミ科の顔つきなのですが体長的に符合せず、また長い触角も該当しません。
「ハゴロモ科」・「アワフキムシ科」・「ツノゼミ科」・「ミミズク科」・「グンバイムシ科」・「アブラムシ科」と調べてみても、手持ちの資料では良く似た絵合わせもできませんでした。
秋の夜長、悩ましい同定作業が続きそうです。
9月から10月にかけての植物や昆虫の撮影の際には、攻撃性が増している「スズメバチ」類との遭遇に気を付けていますが、そんな折、木立の中の枝にぶら下がる、【コガタスズメバチ(小型雀蜂)】の巣を見つけました。
見つけたときには上の写真の状態でしたが、少し近づきますと下の写真のように警戒体制を敷き、巣穴から<働き蜂>が出てきましたので、近づくのを止めにしました。
「キイロスズメバチ」 の巣に似ていますが、本種の方が表面のウロコ模様が太くてはっきりとしています。
営巣場所は樹の枝や家屋の軒下などの開放的な場所を選び、巣は外皮に覆われた球形状で、<女王蜂>が単独で巣作りをしている時期には徳利やフラスコを逆さにしたような形をしています。この形状は、巣内の保温と外敵からの侵入防止のたまだと考えられています。
最盛期には巣の大きさもタテ30センチ、ヨコ25センチほどの大きさになり、巣盤数は2~5層、育房数は1000に達します。
黄色い「ヘレニウム・ダコタゴールド」 の花に、【モンシロチョウ】が吸い蜜に訪れていましたが、その翅の傷み具合がすごくて、驚いてしまいました。
多くの昆虫たちの痛々しい姿は、<旅路の果て>シリーズとして(21)回目の登場になりますが、おそらく今までに一番大きな損傷状態です。
強い風が吹けば、千切れてしまいそうな後翅部分も見受けられ、壮絶な(蝶)生を経験してきたと想像できます。
蜜を吸える力が残っているようで、今後の彼(彼女)に幸多かれと、願うしかありません。
今年は昨年見かける回数が少なかった【ナナホシテントウ(七星天道虫)】を見かける機会が増え、その代わりに 「ナミテントウ」 との出合いがありませんでした。
日々刻々と変化している自然環境ですが、小さな昆虫にとっての影響が心配です。
朝一番の散歩で【ナナホシテントウ】と遭遇、ふと「朝いちに 天道虫に 出会ひけり」<加藤ゆかり:清月>の俳句を思い出しました。
季語としての「天道虫」は晩夏(主に7月で、「セミ」や「カブトムシ」と同じです。
女性の目から見た「天道虫」の俳句を調べてみました。(氏名の後述は掲載誌名です)
飛ぶ翅を をさめてよりの 天道虫 <稲畑汀子:ホトトギス>
大安日 てんとう虫に 星七つ <藏前幸子:船団>
死んだふりに 飽きて飛び立つ てんと虫 <近藤紀子:槐>
草叢に 紅一点や てんと虫 <国野里子:末黒野>
太陽に もらひし星や 天道虫 <竹下陶子:ホトトギス>
どの俳句も、小さな「テントウムシ」に対する鋭い観察眼に驚かされます。
路上にいた【オオカマキリ(大蟷螂)】を撮影しようと近づきましたら、なんと右足に飛びついてきました。
今年は昆虫フェロモンが私の体から出ているのか、スニーカーに 「ウシカメムシ」 、Gパンには 「ホシヒロハラビロカメムシ」 や 「アオバハゴロモ」 などが寄ってきてくれます。
カマキリ目カマキリ科の大型種で、体長10センチ前後、体色は緑色型と茶色型があり、近畿地方では大体4月頃に<卵鞘>から孵化した200匹ほどの前幼虫が活動を始めますが、自然環境の中で無事に成虫となる個体はそのうちの2,3匹です。
数回の脱皮を経た成虫の活動時期は8月から10月前後ですが、まれに12月頃に見かける個体もあります。
写真では 「チュセンカマキリ」 と良く似た体形ですが、なんといっても体が大きくて太く、後翅が紫褐色をしていますので区別できます。
本種は<オス>で、足に飛びつくときに広げた後翅の色を確認していますが、<メス>は体重が重いためにうまく飛べなく、また飛ぶ機会は少ないです。
灯火親しむ秋の季節ですが、【キイロシリアゲアリ】の<女王蟻>が、蛍光スタンドの下に飛びこんできました。
名称通り飴色の黄色い体色をしており、透き通るような色合いがとてもきれいです。
本種の<働きアリ>は体長2~3ミリほどですが、さすが<女王蟻>ともなると貫禄があり、体長8ミリほどの大きさでした。
ハチ目アリ科フタフシアリ亜科シリアゲアリ属に分類され、後腹柄部が腹部背面に接続しているのが、本属の特徴とされ、ハチ目らしく尾端に針を持っており、よく見ますと先端から「毒」を出しているのが確認できます。
夕方から夜にかけて地中の営巣から<結婚飛行>で飛び出し、空中での交尾が終ると地上に降り、すぐに翅を落とします。
日本の「国蝶」は、日本昆虫学会が1957(昭和32)年にタテハチョウ科の「オオムラサキ(大紫)」と決めていますが、【ナミアゲハ】は次点の獲得数でした。
1933(昭和8)年、「国蝶」を決めようという話が持ち上がり、選択の基準としては、
* 日本全体的に分布していて、簡単に見られる種類であること。
* 誰でも知っている種類であること。
* 大型で模様が鮮明、飛び方など日本的な種類であること、でした。
選定当時の環境では「オオムラサキ」は身近な<蝶>だったのかもしれませんが、残念ながら経年的に貴重な種となり、いまだ遭遇する機会はありません。
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名称通り曇り空のときや夕方、薄暗い林内や林の周辺でよく見かけ、花にはほとんど寄りつくことなく、樹液や果実などによく集まる【ヒカゲチョウ(日陰蝶)】です。
日本固有種だけに、元気な姿を見かけますと、それだけでなんだか安心してしまいます。
「ヤマトシジミ」と「シルビアシジミ」 は裏翅の黒点の違いで種が分かれますが、裏翅の蛇の目紋の違いで、本種も姿が良く似た「クロヒカゲ」と区別でき、期待しながら撮影していますが、いまだ「クロヒカゲ」とは遭遇できていません。
「ナミアゲハ」 や 「アオスジアゲハ」 のように目立つ翅模様ではありませんが、優しい茶褐色の翅の色合い、優しそうな眼が印象的な【ヒカゲチョウ】です。
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