空き地を加工フェンスの足元に、草丈60センチばかりの【ノゲシ(野芥子)】が咲いていました。
キク科ノゲシ属で、名称に「ケシ」と付いていますが、ケシ科の「ケシ」とは葉が似ているだけで別系統、ヨーロッパ原産の史前帰化植物として、空き地や道端に自生しています。
花期は春先から秋までと長く、春先に咲き出しますので別名として「ハルノノゲシ(春の野芥子)」、また「ケシアザミ(芥子薊)」とも呼ばれています。
同じ属の仲間に 「オニノゲシ(鬼野芥子)」 があり、こちらの葉の棘は痛いですが、本種の棘は柔らかくて触っても痛くありません。
道路と歩道の間にある植え込みに、きれいな【千重大紫(センエオオムラサキ)】が咲いていました。
葉がなければ「バラ」と間違えそうな花姿で、「ヒラドツツジ」の「オオムラサキ(大紫)」の八重咲き品種です。
江戸時代に貿易船と共に長崎県平戸市に沖縄の「ケラマツツジ」や中国の「タイワンヤマツツジ」などが導入され、日本産の「モチツツジ」や「キシツツジ」との間で自然交雑が起こり、多くの品種が生まれました。
その中から1951(昭和26)年以降に選抜された約300種ほどの品種を、「ヒラドツツジ(平戸躑躅)」と命名されています。
「オオムラサキ」は、「リュウキュウツツジ」と「ケラマツツジ」の交雑種と推測され、<ヒラドツツジ系>に分類されていますが、この【千重大紫】は<オオキリシマツツジ系>に分類されています。
植え込み柵を、越えるように咲いていました<フリージア>です。
アヤメ科フリージア属の多年草で、属の花の総称として<フリージア>と呼ばれています。
別名「アサギスイセン(浅黄水仙)」と呼ばれるように、一般的には 「黄色」 の花色を思い浮かべますが、白色 ・ 紫色 等多彩です。
先が尖った剣状の長い葉を数枚伸ばし、葉の間から花茎が伸び、先端では水平になり、十数輪の蕾を並ばせた穂状の先から順次花を咲かせていきます。
<フリージア>の新品種も多く出回りますが、ウイルスに弱く長続きしません。
桃色や紫色、赤色の<フリージア>を花屋さんであまり見かけないのは、この色合いの品種が特に病気に弱いため切り花生産に向かず、<生け花> 等でも「黄色」が主体となる要因になっています。
「えっ、なんでこんな場所に咲いているの?」と驚きました<イチゴ>の花です。
神戸ハーバーランドの植え込みの中にあり、葉の形態は3出複葉、白い5弁科の形状は、間違いなく<イチゴ>で、黄色い花弁の 「ヘビイチゴ」 ではないとわかるだけで、どのような品種名なのかはとても同定できません。
バラ科イチゴ属の多年草、日本では約250種の<イチゴ>の品種があり、そのうち190種が「一季成り性品種」で、60種が「四季成り性品種」です。
この250種ある<イチゴ>の元は、1899(明治32)年、<福羽逸人>が「ジェネラル・シャンジー種」の種子から実生させ、「福羽」という新品種を育成、日本の<イチゴ>の母体となりました。
人気がある<イチゴ>として、「女峰」 ・ 「あきひめ」 ・ 「あまおう」 ・ 「とよのか」 などの品種名が浮かびますが、さてこの<イチゴ>の品種名はと、気になるところです。
以前に【モミジバゼラニウム】の 「花」 を アップしていますが、今回はきれいな色合いの「葉」です。
<ゼラニウム>はフウロウソウ科テンジクアオイ属の常緑多年草で、原産地は南アフリカ、開花時期は4月~11月ですが、まだ花茎は伸びていませんでした。
この【モミジバゼラニウム】は、カナダの<イアン・ギラム>氏が、1986(昭和61)年に作出した園芸品種です。
草丈30~45センチ、<モミジ>のような暗赤色に黄緑色の覆輪が入ります。
別名「バンクーバー」という名が付けられていますが、作出されたカナダを表す地名なのか、「葉」がカナダの有名なモミジ(メイプル)に似ているからかは、知り得ていません。
湊川公園の植え込みに【ベニバナトキワマンサク(紅花常盤満作)】の「銅葉」タイプが、きれいに咲いていました。
美しい花色をしていますので、庭木としてもよく利用されています。たまに訪れる公園なのですが、本種を見かけた記憶が無く、植え込まれて新しいのかも知れません。
マンサク科トキワマンサク属の常緑樹ですが、淡白黄色の花弁の「トキワマンサク」は落葉樹です。
リボン状の花弁は4枚、雄しべも4本ですが、枝先に6~8個密集させて花をつけますので、ひとつひとつの花形状はわかりづらいです。
「マンサク(満作)」の名の由来は、花が枝一杯に咲きますので「豊年満作」に通じる説と、早春に他の花に先駆けて咲きますので、「先ず咲く花」が転訛したという説があります。
夕方に開花、朝方にはしぼんで花弁を赤くして枯れてゆく<一日花>の【コマツヨイグサ】ですが、お昼前のこの時間に咲いているのに驚き、また開花時期も初夏の7月頃のイメージがあるのですが、少しばかり早い開花に、これまた驚いています。
アカバナ科マツヨイグサ属の中で一番小さな花を咲かせますので、【コマツヨイグサ(小待宵草)】の名称が付けられ、原産地は北アメリカ、1910年ごろに帰化植物としての確認がされています。
葉は羽根状に裂けたモノから、浅い波状まで多形で、花径は2~3センチ、淡い黄色の4弁花、蕚の下部は2センチほどの筒状をしています。
風邪の強い海岸地に適応しているのか、茎は直立せず地を這うように横に分枝しながら伸び、繁殖力は旺盛です。
我が家の庭(通路)に、今年もきれいに【シャガ(著莪)】が咲き出しています。
肥料等を与えているわけではありませんので、50~60センチあった草丈も今年は20センチばかりと年々草丈も低くなり、花径も小さくなってきているように思えます。
アヤメ科アヤメ属に分類され、アヤメに似た花姿ですが、フリルのある白い花弁に青紫色と黄色の斑紋が入る花姿は、わたしの好きな花のひとつです。
学名は「 Iris japonica 」ですが、原産地は日本ではなく中国、帰化植物として野生化しています。
【シャガ】の名称は「ヒオウギ」の漢名「射干」を日本語読みしたといわれ、扁平な葉の形が「ヒオウギ」に似ているところから、間違って名付けられたとされています。
昨日アップしました 「タチイヌノフグリ」 が咲いていました同じ空き地に、【オランダミミナグサ(阿蘭陀耳菜草)】を見つけました。
本種も、明治時代末期に帰化していることが確認された欧州原産の外来種で、ナデシコ科ミミナグサ属の一年草です。
<金田一春彦>の『ことばの歳時記』の「ミミナグサ」の項には、平安の才女<清少納言>の『枕草子』の逸話が紹介されています。
正月七日の若菜の準備中に子供が取ってきた見も知らぬ草を、<清少納言>が「何と言う草か?」と尋ねますが、子供たちはすぐには答えられない。そこへ誰かが「それはみみなぐさと言います」と言ったので、<清少納言>は「耳無草では道理で話が聞こえないような顔をしていること」と、大笑いされたのです。
実際にはミミナグサは「耳無草」ではなく「耳菜草」ですが、これは<清少納言>が面白おかしく書いたものであろうと言われています。
この話には落ちがあり、しばらくして別の子供が可愛らしい「菊」を持ってきたので、<清少納言>が『摘めどなほ 耳無草こそ つれなけれ あまたしあれば 菊(聞く)も混じれリ』と一句詠んで披露しようとしたのですが、相手が子供なので聞く耳は持つまいとして、やめたとあります。
空き地の隅に咲く【タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)】を、ようやく見つけました。
オオバコ科クワガタソウ属の野草で、原産地はヨーロッパ・アフリカですが、世界中に外来種の帰化植物として定着しています。
「オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)」 に似た小さい花を、根元で分枝して10センチ~30センチ程度直立した茎に咲かせるのが、和名の由来です。
花径は3ミリ、雄しべは2本、雌しべは1本です。花柄はほとんどなく苞や蕚に包まれるように咲き、開花は昼間の数時間と短いために、目立つ花ではありません。
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