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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#エッセイ」の検索結果997件

『逸脱』堂場瞬一(角川書店)

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『逸脱』堂場瞬一(角川書店)
10年前の未解決の事件に使われた同じナイフで、殺す手段は絞殺・刺殺・銃殺と違えども、最終的に首に刺す形の3人目の死体が公園で発見されます。

捜査一課の<沢村慶司>は、事件の所轄の中出署の生活安全課の<長沢初美>と組みながら、事件の捜査を進めていきますが、自分の意見を持たない風見鶏的な<西浦>管理官と反りが合わず、一人で事件の捜査を続けていく過程で、元刑事の<鬼塚周平>が犯人ではないかと目星を付けます。
彼は、ずば抜けた能力で刑事の仕事をこなしていましたが、自分の捜査方針と違うことで上司とやり合い、7ヶ月前に警察を首になっていました。

<沢村>は<鬼塚>の思考過程を情報統計官<橋詰真之>の力を借り、最終的に警察の上司を狙うのではと予測、前本部長や署長の狙撃を阻止しますが、反対に<沢村>自身が狙われえる羽目に陥ってしまいます。

自分の判断ミスで過去の事件で少女を死なせてしまった経験を持つ<沢村>ですが、この事件を契機に「最高の刑事になる」ことを目標に猪突猛進に突き進んでゆく姿は、危なくもありまた骨太な警察小説に仕上がっています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『死相鳥とキッチンガーデン』岩井志麻子(光文社文庫)

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『死相鳥とキッチンガーデン』岩...
子供の頃から「始祖鳥」をなぜか嫌っている主人公<ナオミ>は33歳です。
一度結婚していますがすぐに離婚、風俗業やキャバクラの水商売で生計を立て、ここ最近は貯えていた貯金で世捨て人の生活をしています。

<ナオミ>は霊感が強いのか幽霊が付きまとい、「始祖鳥」ならぬ「死相鳥」に恐怖を覚え、「キッチンガーデン」は幸せの家庭の象徴と考えています。

ある日入店したタイ料理のお店に飾られていた半身が人間の形をした「ガルーダ」という鳥に興味を持ち、バンコクに旅立ちます。

<ナオミ>の目線で人生が語られ、「東京・バンコク・タイ・故郷」と壮絶な経験を通しての投げやり的な生き方が、妙に納得できる内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『愛書家の死』ジョン・ダニング(ハヤカワ文庫)

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『愛書家の死』ジョン・ダニング...
元デンヴァー警察署の刑事であり、今はイースト・コールファックス通の古書店経営者である<クリフォード(クリフ)・ジェーンウェイ>を主人公に据え、古書にまつわる事件を解明していくミステリーシリーズです。

シリーズ第一作目の『死の蔵書』は「ネロ・ウルフ賞」を受賞、本書は第5作目に当たります。

今回<クリフ>は、デンバーの資産家の馬主<ガイガー>が亡くなり、遺産相続のために20年前に死んだ妻<キャンディス>が生涯をかけて収集した蔵書の査定に出向きますが、彼女の死後に何者かによって盗まれた蔵書の行方を調べてほしいとの依頼で調査をはじめます。

古書にまつわる話題を主軸に、自ら厩務員の経歴を持つ著者だけに競馬界にも精通していますので、古書の世界と競馬の世界を行きつ戻りつしながら、行き当たりばったりの捜査が続く<クリフ>の調査にハラハラしながら、著者の複雑な伏線の世界に迷い込み、堪能する一冊でした。

恋人の弁護士<エリン・ダンジェロ>との関係もあやふやに終わりましたので、どうなるかは次作まで持ち越しです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『へっつい飯』~料理人季蔵捕物控~和田はつ子(ハルキ文庫)

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『へっつい飯』~料理人季蔵捕物...
<料理人季蔵捕り物帳>シリーズも、前作の 『おとぎ菓子』 に続き、本書で第8巻目になりました。

一膳飯屋塩梅屋の二代目主人として、四季折々の素材で料理を作り上げる描写は、江戸時代の世相を反映していて、読み応えがあります。

本書も4編の作品が連作でつながり、第6巻目の 『時そば』 では師走の落語会でしたが、本書では夏場の納涼会を舞台に元落語家の<長崎屋五平>が久しぶりに登場、「へっつい屋」や「三年桃」・「一眼国」などの噺に合う料理が展開されていきます。

いつも通り市井の事件が横軸に組み込まれ、今回は30年前に起こった押し込み強盗の盗品が現れ、当時下手人とされていた浪人は無実ではないかおもいながら死んでいった岡っ引き<善助>の娘<お美代>が、父のおもいを継ぐように娘岡っ引きとして活躍します。

細かい描写の江戸前料理の面白さと、人情味あふれる登場人物たちが生き生きとしている動きに引き込まれながら、最後まで一気に読める内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『η(イータ)なのに夢のよう』森博嗣(講談社文庫)

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『η(イータ)なのに夢のよう』...
<Gシリーズ>として第5作目の 『λ(ラムダ)に歯がない』 に続くのが本書ですが、正直このギリシア文字に始まるシリーズは、順番に読み継がないと全体構成の意味が分かりずらく、突然本書を読んだ読者は、戸惑う一冊だと思います。

冒頭、神社の境内にある高さ12メートルの松の木に首つり死体があるのを数学者の非常勤講師<深川恒之>が朝の散歩中に発見、神社の絵麻には<η(イータ)なのに夢がない>と書かれており、その後公園の池の中の島でも首つり死体が発見され、同様の言葉が残されていました。

平行して<西之園萌絵>の両親が、10年前の飛行機事故の墜落事故で亡くなった真相に辿りつつあるなか、<西之園>の友人<反町愛>の4階のマンションのバルコニーでまたもや首吊り死体が登場、ネット社会の裏社会の現象かと思わせながらも、最後は最初の発見者<深川>が、講師控室で首吊り自殺しているのが発見されます。

登場人物の会話が多く占める文体の中で、登場人物たちの会話でもって「死」に関する考察にページが割かれていますが、結局本書としては事件の原因は未解決のまま終わります。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『音もなく少女は』ボストン・テラン(文春文庫)

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『音もなく少女は』ボストン・テ...
読み手は冒頭から、三つの断片的な挿話を読み、どのような物語が始まるのかわからない状況で読み始めなければいけません。

最初は、物語の主人公は<イヴ>ですが、彼女は生まれたときから耳が不自由です。趣味として始めた写真の世界で才能を発揮、彼女が撮影した一枚の写真を眺めているジャーナリスト<ナタリー>の場面。

二番目は54歳の女性店主<フランコニア(フラン)>が、麻薬の売人である男を射殺した新聞記事の紹介。
三番目は17歳の<イブ>と21歳の<チャーリー>のデートシーンです。

この三つの場面から、<イブ>と<フラン>の壮絶な人生の物語が紡ぎだされていきます。
全編を通して根底に描かれているは女性の絆ともいえる運命共同体としての生き方であり、その強い決意に圧倒される展開が繰り広げられる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『阪急電車』有川浩(幻冬舎文庫)

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『阪急電車』有川浩(幻冬舎文庫...
神戸に住んでいますので、本書の舞台となる阪急今津線もよく知っており、「西宮北口駅」から「宝塚駅」までの8区間(起終点駅含む駅数は10駅:今津・阪神国道・西宮北口・門徒厄神・甲東園・仁川・小林・逆瀬川・宝塚南口・宝塚)は、馴染のある沿線です。

この時間にして片道20分ばかりの距離(9.3キロ)ですが、それぞれの駅名がタイトとなる連作短篇として16話が組まれています。

どの登場人物が主人公とは言えませんが、物語のキーマンは、入社以来5年間付き合っていた彼が、突然同僚の女の子と結婚することになり厭味として結婚式当日に新婦以上にきれいな白いドレスで出席する<翔子>かなと思えます。

この<翔子>を中心に、いろんな人が乗り合わせている電車の中で起こる出来事がユーモアを持って語られ、笑いあり感動あり、ちょっぴり涙ありの連作に仕上がっています。
どこの電車の中でも起こり得る日常的な電車の中の会話や行動に目線が向く、著者の観察眼はさすがです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『有頂天家族』森見登美彦(幻冬舎文庫)

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『有頂天家族』森見登美彦(幻冬...
なんとも奇妙な展開で楽しませてくれた、『有頂天家族』です。

登場するのは、今はすっかり神通力が消え去り、空を飛ぶことができない天狗<如意ケ獄薬師坊>こと「赤玉先生」、人間でありながら「赤玉先生」の指導を受け、天狗と同じ能力を持つようになった<鈴木聡美>こと「弁天」、そして本書の語り手である狸の<下鴨矢三郎>を中心とする<下鴨一族>と、対抗する<夷川一族>です。

京都の町を舞台として、狸界をたばねる「偽右衛門」の地位を争い、<矢三郎>の長兄<矢一郎>と<夷川早雲>の跡目争いが賑やかに繰り広げられ、ファンタジーな世界に引きずり込まれます。

「狸柄=人柄」・「狸の情け=人の情け」・「狸格=人格」などの擬人化した言葉も面白く、楽しく読み終えれました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『タイム・ラッシュ』神永学(新潮文庫)

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『タイム・ラッシュ』神永学(新...
主人公は<真田省吾>22歳、過去に刑事であった父<皆川宗一>と母を自宅に忍び込んできた賊に銃殺され、自らも重傷を負いますが、担当刑事であった<山縣>の配慮で死亡されたこととされ、施設で育ち監察医の<真田>と養子縁組を組んだ過去を持っています。

<皆川>の事件を契機として、刑事を辞めた<山縣>は「ファミリー調査サービス」という探偵事務所を開設、18歳になった<真田>と、薬漬け生活を更生させた20歳の<公香>と活動をしていました。

ある日、<中西志乃>という19歳の車椅子の女性から一人の女子中学生<江梨菜>が殺されるので、阻止してほしいという依頼がきます。
彼女は夢の中でみた殺人事件や事故死が100%現実に起こってきており、<真田>の過去事件が最初の夢だと知り、驚きを隠せません。

<江梨菜>は<山縣>の後輩刑事<柴崎>の娘で、調査を進めている北朝鮮の覚醒剤密輸事件が背景にあり、小気味よい展開で楽しめるアクション・クライムミステリーでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『シューマンの指』奥泉光(講談社)

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『シューマンの指』奥泉光(講談...
ピアノの黒鍵と白鍵のシンプルな表紙ですが、内容はなんとも複雑な構成で、驚愕のラストが待ち受けていました。
本書は、ミステリーの範疇だと思いますが、間違いなく音楽家<シューマン>の音楽論もしくはシューマン論かと思わせる展開が続き、読み終った段階で入念な伏線としての構成に驚かされました。

不幸な事故により中指を失った天才ピアニスト<永嶺修人>が、海外でシューマンの協奏曲を弾いていたとの手紙を受け取る主人公<里橋優>の<修人>との思い出が語られていき、読み手はシューマンに傾倒していた<修人>の音楽背景が理解しながら、中指がどうなったかの大きな疑問を持ちながら読み進めていきますが、事件の確執に触れることなくシューマン論が展開されていきます。

7割ほど読み進んだ頃、30年前の高校生時代に起こったプールでの女子高生の殺人事件が語られ、ようやくミステリーらしく展開していくのですが、やはり根底には<修人>との関係が綴られ、二転三転の混沌とした結末を迎えます。

ネタバレになりますので細かいことは書けませんが、「小説らしい小説」を読んだとの印象は残りますが、音楽評論的な細かい描写は少しばかりミステリー作品としてはくどさを感じさせ、好き嫌いが分かれるかもしれません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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