『η(イータ)なのに夢のよう』森博嗣(講談社文庫)
8月
13日
冒頭、神社の境内にある高さ12メートルの松の木に首つり死体があるのを数学者の非常勤講師<深川恒之>が朝の散歩中に発見、神社の絵麻には<η(イータ)なのに夢がない>と書かれており、その後公園の池の中の島でも首つり死体が発見され、同様の言葉が残されていました。
平行して<西之園萌絵>の両親が、10年前の飛行機事故の墜落事故で亡くなった真相に辿りつつあるなか、<西之園>の友人<反町愛>の4階のマンションのバルコニーでまたもや首吊り死体が登場、ネット社会の裏社会の現象かと思わせながらも、最後は最初の発見者<深川>が、講師控室で首吊り自殺しているのが発見されます。
登場人物の会話が多く占める文体の中で、登場人物たちの会話でもって「死」に関する考察にページが割かれていますが、結局本書としては事件の原因は未解決のまま終わります。