『愛書家の死』ジョン・ダニング(ハヤカワ文庫)
8月
19日
シリーズ第一作目の『死の蔵書』は「ネロ・ウルフ賞」を受賞、本書は第5作目に当たります。
今回<クリフ>は、デンバーの資産家の馬主<ガイガー>が亡くなり、遺産相続のために20年前に死んだ妻<キャンディス>が生涯をかけて収集した蔵書の査定に出向きますが、彼女の死後に何者かによって盗まれた蔵書の行方を調べてほしいとの依頼で調査をはじめます。
古書にまつわる話題を主軸に、自ら厩務員の経歴を持つ著者だけに競馬界にも精通していますので、古書の世界と競馬の世界を行きつ戻りつしながら、行き当たりばったりの捜査が続く<クリフ>の調査にハラハラしながら、著者の複雑な伏線の世界に迷い込み、堪能する一冊でした。
恋人の弁護士<エリン・ダンジェロ>との関係もあやふやに終わりましたので、どうなるかは次作まで持ち越しです。