なんとも奇妙な展開で楽しませてくれた、『有頂天家族』です。
登場するのは、今はすっかり神通力が消え去り、空を飛ぶことができない天狗<如意ケ獄薬師坊>こと「赤玉先生」、人間でありながら「赤玉先生」の指導を受け、天狗と同じ能力を持つようになった<鈴木聡美>こと「弁天」、そして本書の語り手である狸の<下鴨矢三郎>を中心とする<下鴨一族>と、対抗する<夷川一族>です。
京都の町を舞台として、狸界をたばねる「偽右衛門」の地位を争い、<矢三郎>の長兄<矢一郎>と<夷川早雲>の跡目争いが賑やかに繰り広げられ、ファンタジーな世界に引きずり込まれます。
「狸柄=人柄」・「狸の情け=人の情け」・「狸格=人格」などの擬人化した言葉も面白く、楽しく読み終えれました。
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