29日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3営業日ぶりに反発し、前日比70銭円高・ドル安の「1ドル=144円10〜20銭」で取引を終えています。円の高値は「1ドル=143円97銭、安値は「1ドル=145円07銭でした。
米裁判所が、<トランプ米政権>の関税を一部差し止めるよう命じたことで、関税政策を巡る不透明感が意識され、ドルを売って円を買う動きが優勢となりました。同日朝発表の経済指標が米景気の減速を示す内容だったことも、円買いを支えています。
トランプ関税は違憲だとして米国内の中小企業などが起こした訴訟で、
米国際貿易裁判所は、28日にトランプ政権に関税差し止めを命じました。4月2日に発表した「相互関税」や、カナダ・メキシコ・中国に課した追加関税が対象となります。政権側は即日控訴しています。29日には控訴審が判決の一時停止を命じています。
ただ、市場では「裁判所が差し止めを命じたとしても、<トランプ政権>が別の方法で高関税政策を正当化しようとするだろうとみています。貿易摩擦に対する不透明感がくぶする中、相対的に安全通貨とされる円への買いが入りました。
軟調な米経済指標の発表を背景に、米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げ観測が高まり、米長期金利の指標である10年債利回りは低下(債券価格は上昇)しました。日米金利差の縮小が円買い・ドル売りを促した面もあります。