注目を引かないことも商売の知恵
関西の商売人が交わすといわれる挨拶に、「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな」というものがあります。一見すると軽い世間話のようですが、実はこのやりとりには深い意味が隠れています。
「儲かりまっか?」は「商売うまくいってますか?」という問いかけです。それに対して「ぼちぼちでんな」と返すのが定番。この「ぼちぼちでんな」という返事は、「大きく儲かっているわけではないが、なんとか商売は続いていますよ」という意味合いです。
ではなぜ「儲かってますよ!」と答えないのでしょうか?
実際に儲かっていたとしても、それを表に出すことにはリスクがあります。やっかみを買ったり、税務署の目が気になったり、無用な競争相手を呼び込んだりする可能性もあります。また、「自分は成功している」と強くアピールすると、周囲からの共感よりも反感を招いてしまうこともあるでしょう。
一方で、「損ばっかりですわ」と答えてしまうと、今度は「この人は大丈夫かな」と逆に注目されてしまう。商売にとって、余計な心配や干渉は避けたいものです。
「ぼちぼちでんな」は、余計な注目を避けつつ、共感と安心感を与える絶妙な表現です。「うまくいってない」とも言わず、「うまくいってる」とも言わない。そのあいまいさが、関西商人の処世術なのです。
ビジネスは目立つことが重要な場面もありますが、逆に「注目を引かない」という選択が、長く安定して続けるための知恵であることもあります。関西の商人のやりとりから、そんな商売の奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。
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