<警視庁捜査一課・貴島柊志>シリーズとして、『「死霊」殺人事件』 に次ぐ第4作目が本書です。
元中学教諭<日比野功一>の妹<ゆかり>が20歳が、家庭教師のアルバイトの帰宅時に、何者かに誘拐されたところから物語は始まります。
同時期に、鍵とチェーンの掛かった密室状態の7階のマンションから大学生の<前島>の転落死亡事件が起こり、中野署の<倉田>刑事が現場に急行、本庁から<貴島>が出向いてきますが、二人は第一作目の 『i(アイ)鏡に消えた殺人者』 で女流作家の殺人事件を担当しています。
捜査にあたった<貴島>は、<前島>の仲間として中学時代の同級生<坂田>・<江藤>を調べ出しますが、6年前に<日比野功一>が受け持ったクラス仲間であり、当時彼ら3人のイジメにより自殺した<吉本>という生徒の父親を疑い始めますが、<坂田>は殺され、<江藤>も襲われ、重体で発見されます。
<ゆかり>が行方不明になって一週間後に、彼女は交番の巡査によって保護されますが、事件の結末は意外な所で解決していきます。
推理小説としての構成には、納得できない部分(ネタバレになりますので書きません)もあり、また最後の「エピローグ」が必要なのかなともおもえましたが、それなりに楽しめました。
明日24日から26日まで、元町商店街の海文堂書店の2階ギャラリーで【女子の古本市】が開催されます。
筑摩書房のPR冊子「ちくま」に、「古本屋は女に向いた職業」というタイトルで連載されていました岡崎武志さんのコラムが、『女子の古本屋』として2008年に刊行されています。
著者のトークイベントも、25日(土)14時~17時に行われますので、ファンが詰めかけることでしょう。
参加店は仙台から沖縄まで、全国各地の女性の古本屋が50店舗ばかり集まり、神戸も「トンカ書店」をはじめ5店舗が参加しています。
どのような店主さんが全国から集まるのか、今から興味津々です。
1995年、44歳の主婦<井口美恵子>にとっては、高校受験に失敗した息子と製薬会社に勤める夫がいる専業主婦の生活をしていました。
ある日高校時代からの友人<かおり>から借金の申し込みを受け、万が一のことを考えて「フォー・リバース」というコンビニに勤め出します。
専業主婦からパートの生活に馴染んだ頃、自由奔放な性格の<かおり>からバンド結成の話しが持ち上がり、万引きで知り合った<雪見>、募集してきた元プロミュージシャンの<新子>が加わり、4人は<ディープ・パープル>の『スモーク・オン・ザ・ウォーター』一曲に絞り練習を開始していきます。
コンビニのアルバイト<石川>から、高校で阪神・淡路大震災のチャリティー・ステージが開催されることを知り、舞台に立ちたい一心でさらに練習は過激さを増していきます。
40歳代のオバチャンパワーがひしひしと伝わってくるエンディングは圧巻で、1995年を中心に現れる歌謡曲などのタイトルも、懐かしく散りべられていました。
主人公は、遠く離れた被害者の恐怖を察知する能力を持つFBI捜査官<ルーカス・ジョーダン>です。
彼は<ノア・ビショップ>をチーフとする「SCU(スペシャル・クライム・ユニット)」のメンバーとして、特殊能力を買われ5年前から捜査に参画していました。
ノースカロライナで起こった誘拐事件が、この一年半捜査している連続誘誘拐事件に関連すると見た<ルーカス>と相棒の<ジェレミー>は現地に赴きますが、そこで今回の誘拐を予知したカーニバルの占い師であり、かっての恋人であった<サマンサ>と再会します。
<サマンサ>は、この誘拐事件の犯人は<ルーカス>に対する挑戦だと告げますが、犯人は<サマンサ>の予測と違う人物を拉致して殺してしまいます。
お互いに暗い過去を背負っていることにより特殊な能力が身に付いた<ルーカス>と<サマンサ>の心の葛藤を通じ、猟奇的連続誘拐犯を追いつめていくラブサスペンス・ミステリーとして、楽しめました。
日本の数学教育がおろそかにされているのを憤慨した天才数学者「ドクターピタゴラス」こと<高木源一郎>は、数学テロ組織「黒い三角定規」を立ち上げ、数学教育の確立という自分の要求が通るまで国民を人質として殺戮を繰り返すと動画サイトで訴えてきます。
彼の作成した教育ソフトで勉強した日本人は予備催眠を埋め込まれており、命令次第で殺人の加害者にも被害者にもなってしまいます。
警視庁の対策本部は、この20年間<高木>の数学教育を受けた人物を動員するわけにいかず、数学の天才中学生<浜村渚>の力を借り、事件解決に乗り出していきます。
僕こと対策本部の刑事<武藤龍之介>の目線で事件は語られ、「四色問題」・「数字のゼロの意味」・「フィナボッチ数列」・「円周率」等の数学的話題を織り込みながら、数学ミステリーとして楽しめました。
世の中自分の思い通りに生けていけるほど甘くはなく、また一人だけの世界で生きていけるわけにもいかず、かならず人間関係が良くも悪くも付きまといます。
本書は女性を主人公に据えて、嫉妬や欲求不満、不信感、欲望といった感情を通して、殺意という行動が芽生える事件などが6篇納められています。
不妊に翻弄される女、殺人事件の起こったマンションの部屋に引っ越してきた女、結婚願望の女を落としいれる女、母親への愛情を感じられない女などが登場、身勝手な女たちは、誰の身の周りにもどこでもいそうです。
「んん~」と唸らせる各短篇の終わり方に、心理サスペンスとして楽しめた一冊でした。
<仮面警官>シリーズ二作目の 『発覚』 に次いで、三作目が本書『告白』です。
かっての恋人<真理子>が、ひき逃げ事件に遭遇し死亡したのは、神奈川県警の上層部が絡んでいると警察官になった<南條>は、池袋署の刑事研修を終えて王子署生活安全課に配属されました。
薬物使用の中国人留学生の治験医絡み、警察内部の情報を外部に漏らしている現職警察官<師岡>の存在を知ることになり、職務追行と自分が過去に誤って殺人を犯している負い目との板挟みに苦しみます。
警察内部の不祥事に関連して、無実の同僚<井坂>に情報漏えいの容疑がかけられるのに対して目をつぶれなくなった<師岡>は、自首しようとするのですが、<裏の組織>に阻止されてしまいます。
読者に<裏の組織>の存在を匂わせながら、まだ確固たる確証が得られない状況のまま、次作へと物語は続きます。
江戸時代の<葛飾北斎>の手になる『富嶽三十六景』が刊行された1830年代前半頃と現在では、かなり社会環境も変わり、昔の面影はなくなりました。
著者は、日本各地のどこから「富士山」が見ることができるかの研究を続けられ、20都府県のポイントを分析、本書をまとめられています。
ちなみに「富士山」が見える東の端は銚子、南の端は八丈島、西の端は地名通りの和歌山県色川富士見峠、北の端は福島県二本松市です。
日本人の「富士山」に対する信仰ともいえる愛情を、ひしひしと感じる内容の一冊でした。
地元神戸でも「神戸よさこいまつり」が開催され、今年で12回目を迎えますが、本書は<よさこい祭り>の発祥の地である高知を舞台に、祭りを通して繰り広げられる青春小説です。
主人公の<守山篤史>は、東京に住みながら夏休みは祖父母が住む高知に追いやられ、中学3年生のときに『そら組』というチームで<よさこい祭り>に従兄弟の<多郎>と共に参加しますが、そのチームに気になる女性がおり、淡い恋心を持ち続けていました。
そんな影響もあるのか、大学は高知大学を受験、祖父母の家に下宿しながら<多郎>に誘われるままに町内会の『鯨井蝶踊り子隊』に参画、抜群に踊りのうまい<カジ(華地)>の元で、踊りの練習に励んでいきます。
4月の準備から8月の本番に向けての<よさこい祭り>の流れがよくわかり、<篤史>の恋物語を平行に描いて無事に再開できるのかと読者を引き込み、祭りにかける若者たちの意気込みがよく伝わる構成が楽しめる一冊でした。
2006(平成18)年、『闇鏡』で「日本ファンタジーノベル大賞」優勝賞を受賞している著者ですが、今回は怪奇な現象とミステリーを融合させた世界が広がる一冊でした。
本書には4編の中短篇が収められており、タイトルは第一話の『魂来る』のひらがな表記になっています。
舞台は昭和6年の青森県弘前市で、27歳の<島田幸代>は情夫を殺して無理心中した双子の姉<雪子>の6歳の姪<安子>を連れて、父親である<大柳新志>の実家に出向きますが、<新志>の妹である19歳の<千歳>が盲目の「巫女(いたこ)」として独立している家に、<安子>と一緒に東京から移り住むことになります。
世間では姉<雪子>が後追い自殺されたとして報道されていましたが、ある出来事をきっかけに<幸代>は姉の無実を晴らすことができます。
副題に<イタコ千歳のあやかし事件帳>とあるように、超怪奇な現象を論理的に推理する<千歳>と、幽霊を霊感的にとらえることのできる<幸代>とのコンビで事件を解決する二人の活躍が、<オカルティック・ミステリー>として楽しめました。
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