『たましくる』堀川アサコ(新潮文庫)
6月
8日
本書には4編の中短篇が収められており、タイトルは第一話の『魂来る』のひらがな表記になっています。
舞台は昭和6年の青森県弘前市で、27歳の<島田幸代>は情夫を殺して無理心中した双子の姉<雪子>の6歳の姪<安子>を連れて、父親である<大柳新志>の実家に出向きますが、<新志>の妹である19歳の<千歳>が盲目の「巫女(いたこ)」として独立している家に、<安子>と一緒に東京から移り住むことになります。
世間では姉<雪子>が後追い自殺されたとして報道されていましたが、ある出来事をきっかけに<幸代>は姉の無実を晴らすことができます。
副題に<イタコ千歳のあやかし事件帳>とあるように、超怪奇な現象を論理的に推理する<千歳>と、幽霊を霊感的にとらえることのできる<幸代>とのコンビで事件を解決する二人の活躍が、<オカルティック・ミステリー>として楽しめました。