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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(42)『夏天の虹』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)

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女料理人<澪>を主人公とする<みをつくし料理帖>シリーズも、前作の 『心星ひとつ』 に次いで7巻目になりました。
前作では、秘かに心を寄せている御膳奉行<小松原(=小野寺数馬)>との縁談の手順がまとまりかけていたのですが、料理の世界を捨てきれない<澪>は、読者の予想通り(小野寺)との縁談を断ってしまいます。

毎年師走に発表される「料理番付」にも、<澪>の「つる家」は名前も載らず、想い人(小野寺)との破局も重なり心労からか、<澪>は味も匂いもわからなくなり、店主の<種市>は、「三方よしの日」に手伝いに来てくれている吉原の「翁屋」の料理人<又次>に2か月だけの手助けを求めます。

約束の2か月が過ぎ役目を終えた<又次>を、<種市>と<澪>は吉原まで見送りますと廓には火事が発生、<又次>は<澪>の幼馴染の<あさひ太夫>を救い出すべく火事場に飛び込み太夫を無事に救い出しますが、<又次>自身は帰らぬ人となってしまいます。

「つる家」に来て心も開き、明るい笑え声も出し始め、客からも慕われ始めた<又次>の死は、<澪>や「つる家」の奉公人達にとって耐えがたい悲しみを与えましたが、<澪>にとっては匂いや味がわかるきっかけにもなりました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(41)『警官魂:激震篇』松浪和夫(講談社文庫)

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講談社より、2011年4月に『刑事魂』として刊行されたものが、『警官魂』として改題され、文庫本化になっています。
従来ですと、分冊の場合は(上・下)等の表現になると思いますが、改題と共に、<激震篇>と<反撃篇>との名称がつけられています。

福島県警の裏金作りの協力を拒否続けていた捜査一課特一係のエース三島は、本部長に楯付いたことで、警察学校の教官という閑職に追いやられていましたが、本部長の娘が誘拐されたということで、理解ある上司の声がけで、特一係に臨時的に戻ります。

本部長は、警察の体面と保身の考えで娘の命より犯人逮捕を優先させる捜査を進める指示を出しますが、身代金を抱えて誘拐犯に引きづり回された揚句、怪我をした母親を助けることにより、三島は犯人を取り逃がすミスを犯してしまいます。

本部長は、約束通り捜査ミスを犯したのだからと再度三島に辞職迫ります。一度は諦めた捜査も、ネゴシエーターとしての役目を果たすために、再度捜査現場に復帰して誘拐犯と立ち向かうところで<激震篇>は終わります。

警察の裏金作りを告発しようとする「警官オンブズマン」の三島との接触もあり、<反撃篇>はどのような結末になるのか、三島の動向と共に楽しみです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(40)『警視庁情報官:トリックスター』濱嘉之(講談社文庫)

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今年の読書(40)『警視庁情報...
著者は2004年、警視庁警視を退官され、2007年にこの『警視庁情報官』で作家デビューされています。
これは同シリーズの三作目にあたりますが、(文庫書き下ろし)作品として発売されました。
前二作のように単行本からの文庫本化ではなく、いきなり文庫本での発売、確実にファンが増えている証のようです。

第一作『シークレット・オフィサー』、第二作『ハニートラップ』と続く連作です。上司の殺害事件や今迄のエピソードが随所に出てきますので、両二作を読んでいないと面白味は半減するかもしれません。

「トリックスター=詐欺師」事件を中心として話しは進みます。
主人公の情報室の黒田純一は、複雑な詐欺事件を追いながら、財閥夫人、新興宗教団体、暴力団、大物政治家等の複雑な関係を読み解き、上司の事件を解決すると共に、一網打尽のエンディングを迎えます。

主人公がノンキャリアの警察官として、たぐいまれな人脈と人間性で事件を処理してゆく姿は、殺人事件を扱う捜査第一課のような派手さはありませんが、情報に対する分析と想像力、部下を育てる思いがよく出ていて共感を呼びます。

今後もシリーズが続くと思いますが、楽しみに待てる作品です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(39)『KAGEROU』齋藤智裕(ポプラ社)

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2010年第5回ポプラ社小説大賞を、受賞した作品です。
著者の齋藤智裕さんは、俳優:水嶋ヒロとして活躍されていました。

自殺しようと廃屋の百貨店の屋上から飛び降りようとした大東は、臓器移植を扱う京谷という男に助けられます。
どうせ死ぬならきれいに死んで、なおかつ臓器提供の見返りとしてお金も入るという説明に、大東は自分の体を提供する契約をしてしまいます。

途中、心臓移植をしなければ助からない茜という少女に出会い、自分の心臓が彼女の体の中で生かされているのを知り仲良くなるのですが、もはや自分は生きながらえての人生はありません・・・。

メルヘンチックな物語ですが、自分に与えられた命とはなにかということ,臓器移植の問題に対して、前向きに考えさせられる一冊だと感じました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(38)『共喰い』田中慎弥(集英社)

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今年の読書(38)『共喰い』田...
今年度の第146回下半期の芥川龍之介賞を、受賞した『共喰い』です。
受賞インタビューで話題を提供した著者のようですが、特段作品を読みたいとは思いませんでした。
「どこがいいのか、よくわからん」という知人の声に押されて、本を拝借しました。

家々の汚水が流れ込むドロドロとした川辺を中心に、主人公が父と愛人の琴子と住む家があり、別れた母の仁子の魚屋があり、売春婦が住むアパートがあります。
17歳の主人公遠馬は、女とあれば見境なく性欲の対象とみなし、性交時には相手に暴力を振るう父を毛嫌いながら、自分も父と同じサディスティクな性欲があるのではと感じつつ、一つ年上の千種と関係を持ち続けます。
この千種を、父は祭りの日に犯してしまい、それをきっかけに別れた母の仁子が、父親を殺してしまうという荒筋です。

読み終えて、わたしも「どこがいいのか、わからん」と感じました。
権威ある作家さん達の選考ですので、私の読解力が足りないと思いますが、ギリシャ神話の焼き直しを感じさせる筋立てに魅力は感じませんでした。
また、主人公が千種と行う性交描写も意味があるように思えず、父に犯されたあとあっけらかんと主人公と向き合う千種の態度が、これまた納得がいきません。

残念ながら、受賞するほどの力量を感じさせる作品だとは、思えませんでした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(37)『プラチナタウン』楡周平(祥伝社文庫)

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今年の読書(37)『プラチナタ...
米国系企業に勤務中の1996年に発表した『Cの福音』で、華々しく作家デビューしました。
翌年会社を退職して執筆活動に専念し、『猛禽の宴・Cの福音』でゆるぎないファンをつかんだと思います。
ハードボイルとアクション、緻密な行動力の主人公、<朝倉恭介>が主人公のシリーズでした。

今回は、まったく180度違う分野での小説です。
大企業四井商事食料事業本部穀物取引部長の肩書を持つ<山崎鉄郎>が、出世街道を外され、同級生の<熊沢健二>に誘われて故郷である宮城県緑原町の町長になり、町の150億円にも登る累積赤字を解消するために、奮闘する物語です。

起死回生の策として考えたのが、工場誘致に失敗して遊んでいる3万坪の土地を利用して、老人向けの施設(プラチナタウン)を実行することでした。

冒頭に費やされる四井商事での大豆取引の描写は、本筋とはずれているのではと思いまがら読み進みましたが、老人向け施設の企業体として四井商事が登場することで、伏線として総合商社の企業とはどのようなものなのかの意味合いが与えられていたようです。

元気なうちはいいのですが、歳を取ると共に介護が必要となった時に、何処でどのように余生をすごすのか、考えさせられる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(36)『寂聴あおぞら説法:愛をあなたに』瀬戸内寂聴(光文社文庫)

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今年の読書(36)『寂聴あおぞ...
時寂聴さんが、岩手県二戸市にある天台寺の住職になられたのが、1982(昭和62)年です。
東北最古の名刹も、当時は雨漏りがする状況でしたが、本堂や参道の整備よりも、一人でも多くの参拝者が詣でてくれることが大切だと考え、境内にゴザを敷いての<あおぞら説法>が始まりました。

軽快な口調で、参拝者からの悩みを聴きながら明快に答えてくれるということで、毎月全国から五千人前後の人が参加するというのには驚かされました。

寂聴さん自信子供と別れ、不倫問題も経験された経歴の持ち主だからこそ、凡人の我々も共感できる問答が成り立つのだと思います。

煩悩の世界からなかなか離脱して悟りを開くことはない凡夫ですが、あらためてこれからの生き方を考える一冊になりました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(35)『雪のひとひら』ポール・ギャリコ(新潮文庫)

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今年の読書(35)『雪のひとひ...
読む本を選ぶ基準は、好きな作家だというのが大きな要素だと思いますが、<本>自体の装丁などに引かれる場合が多々あります。

この『雪のひとひら』も、きれいな青い表紙が目にとまり手にしてみました。
著者の名は、1972(昭和45)年に封切られた映画『ポセイドンアドベンチャー』の原作者として印象が強く残っていましたので、読んでみることにしました。

ある寒い朝、空から<雪のひとひら>は生まれ、地上に舞い降ります。
地面に落ち、小川に流され、大きな川を下る長い旅が始まります。
旅の途中で人生の伴侶となる<雨のしずく>と出会い、4人の子供を授かります。
火事場の消化水として働き、苦難を超え大海に流れて行きますが、旅の途中で伴侶である<雨のしずく>を亡くし、子供たちもそれぞれの水の分岐に沿って旅だって行きます。

雪の発生から、太陽の熱で気化消滅するまでの過程を、女性の一生に擬人化し比ゆ的に表した、大人の童話でした。

水の属性になぞらえ、人生の流転を流れるままに受け止める<雪のひとひら>の姿勢は、生きてゆく限りとどまることなく活動を続けることが大切であり、人間として自然な姿なのだと感じさせてくれた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(34)『遮断』堂場瞬一(中公文庫)

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今年の読書(34)『遮断』堂場...
2009年2月に発行された 『蝕罪』 を一作目とし、前作の 『波紋』 に次いで、本書の『遮断』で<警視庁失踪課・高城賢吾>シリーズも七作目となりました。

主人公の<高城賢吾>は、失踪課第三方面分室の刑事で45歳、室長として<阿比留真弓>がいますが、実質のトップとして采配を振るっています。
かっては捜査第一課に所属していましたが、7年前に一人娘の<綾奈>が学校から帰宅中に失踪してしまいます。この事件で弁護士との妻とも別居の上、離婚に至ります。
それ以来仕事に身が入らず、酒びたりの生活が続き、捜査第一課から所轄の転属を繰り返していたところ、<阿比留>室長に引き抜かれ失踪課に籍を置いています。

今回の『遮断』は、同じ失踪課の刑事<六条舞>の父親(厚生省高級官僚)が突然いなくなり、誘拐かと思わせる事件が起こります。

癖のある新メンバーの<田口>刑事もいいボケ役で登場してきますが、反面、父親の事件の責任を感じて<六条舞>が刑事を辞職、シリーズの登場人物から消えてしまいました。

個性ある失踪課のメンバーたちの活躍、まだまだ続きそうで目が離せません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(33)『白い鴉』新堂冬樹(朝日新聞出版)

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今年の読書(33)『白い鴉』新...
『白い鴉』は、新堂冬樹の一番新しい著作です。
自ら高校を中退した十代の頃より、闇金融の世界で働いていたことを公言されておられますが、その経歴を生かした「カネ」や「女」などの欲望渦巻く裏社会を描いてきています。

今回の作品も孤児院で育てられた「白い鴉」と呼ばせる主人公が、夜の六本木を舞台に、詐欺を働く様子が連綿と続きます。

冒頭に詐欺罪の被告人としての描写がありますので、読者は主人公が逮捕されるていることを知り得ながら、その手口のうまさに感心させながら、「白い鴉」の背景を読み進むことになります。

最後には、悪徳大物政治家が騙されるのですが、ノンフイクション的で、笑えました。

育った孤児院の地上げに絡む悪徳大物政治家を詐欺に遭わせ、恨みを晴らして物語は終わります。
巻き上げたお金は心の母と慕い続けている孤児院の園長に届けられますが、銀行の貸しはがしに遭遇している園長がそのお金で孤児院を守るのかどうかは、読者が想像しなければいけません。 これまたうまい結末の付け方だと、感心しました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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