今年の読書(13)『桜人』鈴峯紅也(小学館文庫)
3月
4日
父の警部補「日向英夫」と子の巡査部長「月形涼真」刑事が中学校校長殺人事件に挑みます。
豊洲運河の船着き場付近で、汐浜運河方面から流れくる〈異物〉を見つけた釣り人たちが通報したのは、都立中学の校長「寺本敬紀」でした。
すぐさま捜査本部が設置され、警視庁特別捜査係の「日向英生警部補」と「月形涼真巡査部長」の父子刑事が配置されます。
ふたりは、独自に捜査を進める遊軍班として「寺本」に関係する情報を、警察関係者OBが務める周辺の地域安全センターへ聞き込みに回りますが、予想外の深い闇に突き当たります。
さらに本書で、父「日向英夫」が九州で潜入捜査の〈モグラ〉だった過去も次第に明らかになりますが、これが事件の予測できない伏線でもありました。
卒業式・入学式に景色となる「桜」ですが、本書では読み終えますと、悲しい象徴としての「桜」が登場しての表題となっています。
離婚したエリートキャリアの母「月形明子」と「涼真」の恋人「中嶋美緒」との今後の関係も気になりますが、副題が「警視庁特別捜査係」から「警視庁特別捜査係 サン&ムーン」に変更され、楽しみなシリーズになりそうです。