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- 今年の読書(102)『弟切草』篠綾子(幻冬舎文庫)
文庫本の帯に「一輪の花」と、「本草学者」いう文字があり、植物好きとしては、<朝井まかて>の <シーボルトを主人公にした 『先生のお庭番』 や、<梶よう子>の 『柿のへた』 のような物語を期待して手に取りました。
表題『弟切草』の副題に「小烏神社奇譚」とあるように、植物とは縁のないカラスと白蛇の「付喪神」が登場、かといって<畠中恵>の 『つくも神』 シリーズのような噂話が大好きな付喪神たちが登場するユーモア小説とはまた違いました。
主人公小烏神社の若き宮司「賀茂竜晴」は陰陽師としての血を引いていますが、人づきあいが悪く無愛想で、「つくも神」のカラス(小烏丸)と白蛇(抜丸)と古い寺を守っていますが、唯一の友人である医者であり本草学者の「立花泰山」に境内を貸し薬草を栽培させています。
ある日、薬種問屋「三河屋」の二男「千吉」がトリカブトの毒に倒れ、発見した「立花」により寺に担ぎ込まれます。一命はとりとめたものの、兄の「太一」の首だけが不忍池の近くで、顔がお城に向かってむけられ埋められているのが発見されます。
「三河屋」の親子関係と「太一」と「千吉」の兄弟関係の感情的な確執を軸に描き、兄弟の因縁の秘密が意味を持つ表題『弟切草』につながる8章構成の物語でした。続編が期待できそうな登場人物たちでした。
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