『八丁堀同心殺人事件』風野真知雄(文春文庫)
12月
10日
南町奉行<根岸肥前守鎮衛>は、町奉行の威信にかかわる事件だと考え、側近の<坂巻弥三郎>と同心の<栗田次郎左衛門>の二人に命じて調査を始めますが、次々と同心殺しが行われ、<根岸>までもが狙われてしまいます。
本書は5章からなる連作短篇の形式をとり、それぞれの章で江戸市中で起こる事件を解決しながら、並行して同心殺しの真相に迫っていきます。
62歳の<根岸>ですが、5年ほど前に妻<おたか>を亡くし、いまは船宿「ちくりん」にて芸者<力丸>と楽しみながら事件を解いてゆく様は、興味の尽きない主人公として楽しめる一冊でした。