いろんな突然変異などを使って品種改良を加えた変わりだねの朝顔を<変化朝顔>と呼んでいます。【桔梗咲き朝顔】も<変化朝顔>のひとつです。
前回紹介した<変化朝顔>の 【雪美人】 ほど花姿に驚きはありませんが、通常の花びらの内側にもう一回り花びらがある形状を持ち、「桔梗」のような花径6~7センチ程度の小さな花を沢山つけますが、品種的には生命力が弱く、育てにくい品種です。
古く中国から伝来したアサガオは、江戸時代に庶民に栽培が広がるとともに、急速に品種改良が進み、<変化朝顔>と呼ばれる品種群が完成しました。
大名屋敷や寺院で門外不出だった「菊」や「椿」、「撫子」 などと違い、「朝顔」は、江戸の庶民の娯楽として長年発展してきました。
失われた品種も多いのですが、現在でも趣味家や研究会を中心に江戸時代からの品種が、連綿と受け継がれています。
江戸時代を舞台にした小説 『花合せ 濱次お役者双六』<田牧大和> や 『ぬけまいる』<浅井まかて>などには、<変化朝顔>の当時の様子がうまく描かれています。
この白色の【雪美人】、これがヒルガオ科サツマイモ属に属する「アサガオ」なのかと訝る花姿をしています。一見、「カワラナデシコ」 の変種か 「サギソウ」 の変種かと思わせる花弁の形に驚かされますが、これぞ<変化朝顔>という風格を漂わせています。
「サワアジサイ」というのは、「ヤマアジサイ」のことで、本種はその変種になります。
【キヨスミサワアジサイ(清澄沢紫陽花】の名称は、千葉県の清澄山が原産地ということに由来しています。
良く枝が伸び、直上する性質があり、ガク咲きで、装飾花の白いガク片の縁に紅色の斑が入るのが特徴で、美しい色合いを見せてくれます。
性質が丈夫なため、多くの園芸品種の母種として利用される品種です。
【タマアジサイ(玉紫陽花】は、蕾が球形をしていることから名付けられています。
樹高は約1.5メートル程度。
葉は長さ10ー21センチの楕円形で先がとがる。葉や幹など全体に短毛が生えており、ざらついています。葉に葉柄があり、枝に対生し、葉の形は楕円形から倒卵形で、大きいもので長さ25センチ、幅14センチほどになる。縁は細かい鋸歯状になり、葉の表面、裏面ともざらついています。
装飾花は大きさ20ー32ミリで白色、両性花は大きさ2ー5ミリで紫色であり、花序は直径10ー15センチほどである。つぼみの大きさは径1.5センチ、長さ1.2センチ程度で、開花に従い包んでいた苞(ほう)は落ちます。山地で自生する場合、花は8-9月にさきますが、平地で栽培しているものは6-7月ごろに咲き始めます。
花期は一般の紫陽花が咲き終わる頃からが開花時期で7月から9月にかけて咲き、苞に包まれ玉状になった蕾が裂けるように開花し、淡紫色の小さな両性花の周りに花弁4枚の白色の装飾花が縁どります。
アメリカ原産の食虫植物【サラセニア・フラバ・マキシム】はツツジ目サラセニア科サラセニア属で、葉の形が筒状 になっています。名称の由来は、この植物の標本をヨーロッパに送ったカナダ人の医師<ミシェル・サラザン>に因んでいます。
和名は「ヘイシソウ(瓶子草)」といい、葉の筒状の形が、酒器の瓶子に似ているところから名付けられています。
春から初夏に画像のような花をつけます。茎の先端から伸びる花茎は、先端に丸い蕾をつけて立ち上がり、次第に伸び上がりながら、やがて茎の先端は曲がって蕾は下を向く。花は葉よりも高く伸びた花茎の先端に一つだけつく。花は非常に独特のもので、萼は五枚、花びらも五枚。雄しべは多数、雌しべは先端が五つに分かれる。こう書くとごく普通の花の形状ですが、雌しべの形状が変わっています。雌しべの先端は大きく五つに分かれ、先端は大きく反りかえり、実際にはその間に水掻きのように組織がつながっているので、その形は五本の骨を持った雨傘のような形です。しかもそれぞれの先端に小さく突出する柱頭は内側に向かっている。花びらはこの雌しべの柱頭の間に位置し、下向きに長くたれる。したがって、花びらの間から柱頭の部分が少し突き出ている。萼は花びらよりはるかに短く、花の基部で平らに広がる。雄しべはすべて花びらの内側に収まっています。
この形は、昆虫による花粉媒介に対応した構造です。花粉をつけた昆虫が内部に入り込むと、花から出る場合、花びらの隙間から出なければならず、その時に必ず柱頭に花粉をつけることになります。
「ササユリ(ササ百合)」は、ユリ科ユリ属の球根植物。8種類ある日本固有種のひとつで、日本を代表するユリです。地域によっては、「ヤマユリ」とも呼ばれています。
本州中部地方以西から四国・九州に分布しています。
成株の茎は立ち上がり、葉は互生する。葉はやや厚く、披針形で長さは8-15cmである。百合の仲間より開花時期は早くて5月-7月頃に淡いピンク色の花を咲かせます。
花被片の長さは10-15cm位で漏斗状に反り返る。雄しべは6本で芳香性があります。花粉の色は赤褐色であり、「オトメユリ」と区別するポイントになる(ただし花粉の色が黄色のササユりも存在する)。
希に花が純白のアルビノ種のものもあります。葉や茎の形状が「笹」に似ていることが名称の由来です。
< 神戸大大学院の末次健司特命講師提供 >
台湾で1917年に発見されたものの記録が不正確で、「サネカズラ」と同種と考えられていた植物が沖縄県で見つかり、実際は「新種」だと確認されました。神戸大大学院の<末次健司>特命講師や岐阜大の<三宅崇>准教授らの研究チームが30日付の国際誌電子版『Phytotaxa(ファイトタクサ)』に発表した。
確認されたのは、ほかの植物に巻き付いて育つ「つる性」植物の一種で、「リュウキュウサネカズラ」と命名されています。
<末次>氏らは台湾の研究者とも協力して分析し、おしべの葯の形状が違うため、サネカズラとは別種と断定した。過去の標本の調査では沖縄県や台湾に分布している植物のようです。
植物好きとしては、新種の発見は興味ある出来事で、これからも新種の発見に期待を寄せています。
<ロバート・ワイズ>監督・<ジュリー・アンドリュース>主演のミュージカル映画『さうんど・ミュージック』(1965年)でお馴染みの花が【エーデルワイス】です。
ヨーロッパ各国に於いて単に【エーデルワイス】といえば、キク科ウスユキソウ属の【セイヨウウスユキソウ(西洋薄雪草】を指します。
20~30センチほどの花茎を伸ばし花は星のように長く白い花弁を伸ばしているように見えますが、花弁のように見えているのは 「ポインセチア」 や 「オレガノ・ケントビューティー」 などと同じ<苞葉>であり、本当の花はその中心部にある。径5~6ミリの黄色い筒状の花序部分です。
高山地帯の自生地では、7月~9月頃が開花時期ですが、栽培下では、5月~8月と早めの開花です。
花の色は淡い青色ですが、落下までの間に薄紅色、濃い紫色、藍色などに変化する性質があります。
山紫陽花との違いは、両性花が退化していて花が咲く前に落ちてしまうことと、装飾花が重弁花していることです。
和名の【シチダンカ(七段花)】は、萼片が7段重なるところから命名されています。
江戸時代に栽培され、ドイツ医師<シーボルト>の『日本植物誌』でも紹介され、130年間幻の花となっていましたが、神戸の六甲山に自生しているのが1959(昭和34)年に発見されました。以後六甲山を中心に分布を広げています。
クリンソウ(九輪草)は、日本原産のサクラソウ科サクラソウ属の多年草で、学名は「Primula japonica」です。
北海道、本州、四国の山間地の、比較的湿潤な場所に生育し、せせらぎや渓谷の湿地などに時に群生しています。兵庫県では40万株と言われている、宍粟市のちくさ高原(ちくさ湿原)が有名です。
高さ30-90cmほどになり、日本に自生するサクラソウ科の植物のなかでは最も大型です。10-20cmほどの鋸歯を持つ葉のロゼットを作り、花期は4~6月にその中心から花茎が伸びる。花は花茎を中心に円状につき、それが数段に重なる姿が仏閣の屋根にある「九輪」に似ていることが名前の由来となっています。
花径は2~3cm、花冠は左記で5つに裂け横に平らに開きます。雄しべは5本、雌しべは1本の構成です。花の色は濃い紅紫色が普通ですが、ときにピンクや白、絞り咲きなどの変種もあるようです。
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