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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(36)『リンクス』矢月秀作(中公文庫)

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示談屋・処理屋の異名をとる「影野竜司」を主人公とした <もぐら>シリーズ で人気のある<矢月秀作>の新シリーズの登場です。

東京臨海中央署の地域課に勤める「日向太一」は、驚異的な運動能力を持つ30歳の巡査部長ですが、「若林署長」の特命を受けて、「レインボーテレビ」に勤務する警備員「石田貫太」が行方不明になり、単独の特命捜査を命じられます。

警備状況を写していたDVDの記録が改ざんされていたことを突き止めた「日向」は、同時勤務していた警備会社の<黒木>の自宅に出向き、すでに「石田」が殺害されていることを知り、警備システムの事後処理から、「レインボーテレビ」の美術製作部長「仲根」に目を付けます。

「仲根」は『クリムゾン』と名乗る革命集団の一員で、大量のプラスチック爆弾を「レインボーテレビ」に運び込み、それを見つけた「日向」は「仲根」の自爆的行為により、爆死した場面で終わります。

文庫本(書き下ろし)の帯には、三部作と書かれていますので、<日向>はしぶとく生き残っていると考えられるのですが、連作の序章としてその後の展開が気になるシリーズです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(35)『無花果の森』小池真理子(新潮文庫)

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今年の読書(35)『無花果の森...
特異な感覚の映画監督として人気のある<新谷吉彦>48歳ですが、家庭では妻<泉>38歳に対する暴力が絶えず、彼女は夫の出張中に家を飛び出します。

落ち着き先の当てもないなか、とある地方都市で降りた彼女は、昼飯に寄った喫茶店で高齢な80歳の画家<天坊八重子>の住み込み家政婦募集の張り紙を見て、<高田洋子>の偽名で働き出します。

ある日<天坊>は<洋子(泉)>を連れて、還暦のオカマ<サクラ>が経営するバーに連れて行かれますが、そこにはかって夫<新谷>のドメスティック・バイオレンスを取材しに来ていた週刊記者の<塚本鉄治>42歳が<ヒロシ>という名で働いていました。
自分の立場が<天坊>にばれないかと気をもむのですが、<塚本>もまた大手芸能プロダクションの覚醒剤の取材に絡み、容疑者としてはめられてしまい逃亡している立場でした。

共に身を隠すように生活する二人でしたが、お互いに惹かれあい逢瀬を重ねていきます。
やがて<サクラ>や<天坊>たちに二人の関係が知られることになり、<塚本>は愛する<泉>との将来に夢を託し、みすから警察に出頭していきます。

登場人物が少ない小説で、主人公は<泉>に間違いがありませんが、オカマの<サクラ>の脇役のキャラクター、そして画家の<天坊>の存在が大きく、自らの裸婦絵を描きながら亡くなった<天坊>の通夜の場面では思わず「ウッ」となり、<泉>と<塚本>の未来が垣間見れるエンディングは秀逸でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(34)『彼女の倖せを祈れない』浦賀和宏(幻冬舎文庫)

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『彼女の血が溶けてゆく』 ・ 『彼女のため生まれた』 に次ぐ第3巻目として、ルポライター<桑原銀次郎>を主人公とするシリーズです。

『週刊標榜』の取材記者<銀次郎>は、ルポライター仲間の<青葉>が日比谷公園で刺殺死体で発見されたのを知り、彼の住居に来てみますと「東都新聞」の政治記者が取材に来ているのに驚き、どうやら<青葉>は政治がらみの特ダネを追っていたことをつかみます。

<青葉>の残されたデジカメの最後の写真が、アメリカコミックの女スパイのコスプレ写真であることを手掛かりに、<銀次郎>は写っている”女”を探すべく秋葉原やコスプレに詳しい高校の同級生<阿部>の協力を得て、ようやくアダルトショップで購入者の目星を付けるのですが、<阿部>のマンションの部屋で突然<銀次郎>は彼に腹を刺されてしまいます。

主人公が物語の途中で突然死んでしまうのかという驚きの場面から、本書は保守党の二代目議員の兄<天野兼人>を中心に、親のすねかじりの生活のなか自由奔放に”女”遊びをする<兼人>の行状が展開、思わぬ事件の真相に読者を引きずり込みます。

一応ミステリーの範疇の小説ゆえ、ネタばれになりますので肝心の面白い部分が書けないのが歯がゆいのですが、読み終りますとタイトルの意味合いが納得できる内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(33)『隅の風景』恩田陸(新潮文庫)

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今年の読書(33)『隅の風景』...
数字との縁があるのか、今年の(33)冊目の紹介が3月3日になり、一人で苦笑してしまいました。

<恩田陸>さんの、ロンドン・チェコ・韓国・上海・スペインといった国や、国内の各地を旅された紀行文が集められ、小説を通した「恩田ワールド」とはまた違う世界が楽しめました。

作家デビュー14年間をまとめたエッセー集『小説以外』(2005年4月:新潮社)には、呑めなかった著者が<ビール党>に目覚めた経過が書かれていますが、本書も各地の料理に合わせて<ビール>を楽しむ場面が多く、思わずニンマリとしてしまいます。

紀行文は一種の魔力的な力が働き、読み終えますと「どこかに旅したいな」という感情が湧いてきますので、わたしにとってはやっかいなジャンルです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(32)『タワーリング』福田和代(新潮文庫)

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今年の読書(32)『タワーリン...
タワーリングと聞けば、1974年に公開されたアメリカ映画の『タワーリング・インフェルノ』を思い出してしまいますが、本書も地上50階建ての巨大ビルを舞台に繰り広げられます。

再開発ビルとして建てられた「ウインドシア六本木セントラルタワー」には、ショッピング街・オフイス・住居が混在する複合ビルとして、<川村章吾>を社長とする<マーズコーポレーション>が開発、最上階には<川村>の住居があります。

仕組まれたエレーベーター事故に紛れ込み、セキュリーティー対策が万全と思われた50階の住居に賊が侵入、<川村>を人質に取ると共に警備室を乗っ取り「ビルジャック」を宣言、身代金の要求をしてきます。

全てがハイテク化されたインテリジェントビルの機能を逆手に取る誘拐犯に、マーズの社員<船津康介>は打開策を見つけようと奮闘の行動を取りますが、事件は思わぬどんでん返しで読者を唖然とさせてくれます。

男と男の友情、親と子の関係、地上げの現状等の伏線の積み重ねも素晴らしく、最後まで一気に読ませる構成でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(31)『ちょちょら』畠中恵(新潮文庫)

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今年の読書(31)『ちょちょら...
主人公は<間野新之助>、兄<千太郎>が理由を言わずに自害したことにより、多々良木藩の江戸留守居役を引き継ぐことになりますが、幼馴染で兄の許嫁<千恵>が同じ留守居役の父<入江貞勝>共々親子で藩を脱藩したことを知ります。

留守居役とは、藩と藩との間を取り持ち、幕府の意を藩に伝え、時としてその間で藩のために行動を起こす、世間からは金遣いの荒いことで悪し様に言われる立場です。

<間野>は、留守居役たちに「聞番茶屋」と称する料理屋で留守居役としての手ほどきを受けながら、江戸城西の丸で起こった刃傷沙汰事件を納めるために奔走したことにより、幕府が印旛沼の干拓工事を内密に計画、どこぞの藩に請け負わす情報を知り得ます。

台所事情が悪い多々良木藩は、万が一この工事の指名を受けますと藩がつぶれるということで、新人留守居役として自分の藩だけを助けるのではなく、<間野>は265藩総抜けを計り、実行していきます。

淡い恋心を抱いていた<千恵>は料理屋の仲居として働き、札差の「青戸屋」が妾にと目を付け、仲間と思われた同じ留守居役の<赤崎>などの素行も疑わしい中、実直な<間野>の行動が魅力的に描かれ、その後の続編が読みたくなる内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(30)『精神科医が狂気をつくる』岩波明(新潮文庫)

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今年の読書(30)『精神科医が...
全8章からなる構成ですが、歯に衣を着せぬ明快な文章で綴られ、最後まで尽きぬ興味で読み終えれました。

特に科学的根拠もなしに一般市民に対して影響を与える著書や著者を、一刀両断に論破する箇所は、自らの考えに自信がないとできないことです。
また医療制度に対する国側の姿勢、製薬会社・マスコミの現状にも切り込んでいます。

精神疾患の治療と称して行われている「うつ病には・・・・が有効である」や一時流行しました「脳トレで認知症は治る」といったまやかしが、取り返しのつかない重篤な患者を生み出している現状等を、患者の症例を用いながら詳しく述べられていました。

また、精神科医の範疇を超える博覧強記な知識や史実が随所に散りばめられ、精神科の歴史の知識も得れる内容でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(29)『廃墟に乞う』佐々木譲(文春文庫)

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今年の読書(29)『廃墟に乞う...
1979年に『鉄騎兵、跳んだ』で「オール讀物新人賞」を受賞して以来、数々の賞を受賞している著者ですが、本書はデビュー30年目にして「第142回直木賞」受賞作品で、作家生活32年目に受賞した <白石一郎> に次いで遅い受賞者になります。

本書の主人公は、誘拐監禁事件で不注意から女性を助けることができず、逃亡した犯人が自殺するという幕引きになり、心身的に衰弱、休職扱いを受けながら自宅療養している北海道警<仙道孝司>警部補です。

休職中ということで警察手帳は持っていませんが、逆に道警の管轄以外に行動ができるという利点を生かし、知人からの依頼に対して探偵役的に調査をすすめ、決してでしゃばることなく事件の手柄は所轄の刑事に譲るという立場を貫き通しています。

著者は夕張市生まれ、現在は中標津在住という立場から北海道の地理に精通しており、納められた6話の短篇はどれもそれぞれの地域特性を生かした登場人物を絡めさせる構成は見事です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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ファルコン植物記(1444)<梅>(6)【西王母】

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ファルコン植物記(1444)<...
品種名の【西王母(セイオウボ)】は、中国で古くから信仰された女神(仙女)の名前で、3000年に一度だけ実を結ぶ不老不死の霊薬とされる桃の木の所有者です。

幕末の頃、金沢で育成された<椿>にも、同名の「西王母」の品種があります。

梅の原種に近い野梅系の紅筆性として淡い桃色をした一重咲き、花径20~25ミリの中輪で、開花時期は2月~3月頃です。

本来の<桃>には「西王母」という品種がないのかなと調べますと、山形県天童市にあります<イシドウ>が、「川中島白桃」と「ゆうぞら」を交配させ選抜育成させた「西王母」を、2004年11月に品種登録をしていました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(28)『光』三浦しをん(集英社文庫)

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今年の読書(28)『光』三浦し...
何とも重たい主題に、読み終えて唸ってしまいました。
ひとつは、来月11日で4年目を迎える東北大震災ですが、本書の初出は遡ること5年前の2006年11月から『小説すばる』に連載(~2007年12月)が始まっていることです。

伊豆大島に近い美浜島に、ある日突然津波が押し寄せ島全体が壊滅、中学生の<信之>と同級生の<美花>、幼馴染の<輔(たすく)>、そして船で釣りに出ていた<輔>の父親と釣り客の<山中>、灯台守の爺さんだけが生き残ります。

自衛隊が救援作業中、<山中>は<美花>を襲い、目撃した<信之>は<山中>を殺してしまい、<輔>はそれを目撃、写真を撮影していました。

時は20年が経ち、<信之>は市役所に勤め5歳の娘を持ち平凡に暮らしていたのですが、20年ぶりに<輔>は<信之>の前に現れ、現金を要求してきます。

それぞれの登場人物が相手のことを想いながら、真実の愛情とはなにかという重い主題を織り込み、人間の弱さと凶暴性は表裏一体だと改めて感じさせてくれる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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