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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(28)『復活から常勝へ』渡辺康幸(新潮文庫)

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今年の読書(28)『復活から常...
早稲田大学競走部駅伝監督である渡辺康幸さんの著書です。
『自ら育つ力』(日本能率マネージメントセンター)を、2008年に出版されていますが、昨年の第87回箱根駅伝において18年振りに総合優勝をを果たし、新たに1章を追加されての文庫本化です。

度重なるアキレス腱のトラブルで29歳で現役を引退、以後母校早稲田大学の駅伝監督として後輩の指導を通して伝えるべきもの、考えてきたことが、書かれた一冊です。

<ゴールというのは、そこへ到達するまでの道筋がしっかりかくにんできなくては本気で狙えるものでない。到達するために、具体的にどんな施策をどういう手順ですすめていくのか。それがはっきり目に見えているからこそ目標なのだ>
現実的でない「夢」は「夢」でしかありえないと言いれきるのは、実践をこなしてきた経験者ならではの言葉だと思います。

残念ながら今年の第88回箱根駅伝では、東洋大学が総合1位、早稲田大学は総合4位に終わりましたが、来年度の「復活」を期待したいところです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(27)『契約』明野照葉(光文社文庫)

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今年の読書(27)『契約』明野...
著者の本は、『女神』 (光文社文)・ 『汝の名』 (中公文庫)・ 『澪つくし』 (文春文庫)と読んできて、4冊目になります。

どの作品にも共通して感じることは、「女」の執念・怨念・すさまじさです。
お化けは男も女もおりますが、幽霊は女性だけということを、いつも認識させられます。

今回登場する主人公の<南欧子>は、34歳。学生時代はクラスの人気者でしたが、今は三流会社の出版社に勤め、妻子持ちの男性と付き合うみじめな生活をしています。
そんなとき、破格の好条件でヘッドハンティングされ、雇い主が分からないままに雇用「契約」を結びます。
この雇い主、昔学生だった頃に<南欧子>にいじめられた恨みを、20年後に復讐するという同級生なのです。

いじめられた恨みを20年間持ち続け、<南欧子>をいたぶる姿は、異様に感じますし、結末が肩すかしで終わったように感じました。
<南欧子>にも、雇い主の女の行動にも、共感は持てず、心理サスペンスとして、もうひとひねりほしいところです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(26)『潜伏』仙川環(小学館文庫)

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今年の読書(26)『潜伏』仙川...
著者は、2002年に<第1回小学館文庫小説賞>を 『感染』にて受賞し、その後2005年に文庫本化されています。
2作目からの『転生』、『繁殖』、『再発』、そしてこの5作目の『潜伏』とも、すべて小学館文庫のための書き下ろし作品です。

大阪大学大学院医学系研究科を卒業、日本経済新聞社に就職し、医療技術・介護・科学技術等の取材をしながら、『感染』受賞を契機に作家に転身の経歴です。

小学館文庫の5冊以外にも著作はありますが、どれも医学ベースの作品で、経歴に裏打ちされた記述は、面白く読める作品ばかりです。

この『潜伏』は、アルツハイマー病の患者が連続して殺される事件を発端に、叔母の死に疑問を抱いた35歳の独身女性が真相を突き詰めてゆきます。
自分の暗い過去の経験から正義感に燃える女性と、叔母の担当医だった医師との関連を含めて、質の高い医療ミステリーに仕上がっています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(25)『カエルの子は』峰月皓(メディアワークス文庫)

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今年の読書(25)『カエルの子...
主人公の芹沢晃は、若い頃はバックパッカーで世界中を旅していましたが、今は遊園地でカエルの着ぐるみを着てバイト5年目の30歳です。
日々、小さな子供相手に明け暮れているなか、突然彼を父親だという少年が飛び込んできます。
芹沢がアメリカ滞在中に、関係を持った女性が母親として話しは進んでいきます。少年は母から聞かされた「かっこいいお父さん」を求めてやって来た、と言います。

子供好きなのに、笑顔の出来ない女性の上司を通して、遊園地を舞台に繰り広げられる、人と人、兄妹、親子のぎこちない愛情物語です。

無鉄砲ながら真っすぐに取り組む子供たちの姿を通して、夢を持ちながら現実に情熱を失くした大人への忠告でもあり、応援歌かもしれません。

最後まで母親が誰だとは分かりませんが、深刻に読むのではなく、息抜きに適した大人のメルヘンです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(24)『大いなる看取り』中村智志(新潮文庫)

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今年の読書(24)『大いなる看...
在宅医療を推し進めている 平野国美さんの『看取りの医者』 を紹介しましたが、今回は東京・山谷のドヤ街の一角で行き場のない人々が寄り添う「きぼうのいえ」が舞台の、ノンフィクションです。

元蒸気機関車の運転手、元731部隊員、元板前、元ヤクザ等、それぞれの人生を歩んできた人たちの人生の聞き取りを通して、最後を「看取る」スタッフ達との心温まる交流が描き出されています。

以前に中村智志さんの『段ボールハウスで見る夢』という新宿のホームレスを取材した本を読み、緻密なな取材と暖かい目線に感動しましたので、躊躇なくこの文庫本を手に取りました。

「きぼうのいえ」は民間人が経営している<ホスピス>ですが、病院などに併設された<ホスピス>は、緩和ケアーを中心とした終末期患者の施設です。現在、大臣認定もしくは都道府県知事から許可を受けた施設では、ガン患者とエイズ患者しか入院できません。

人生の終末期を迎えた人々は、多種多彩に渡り、心のケアーを含めてこのような「きぼうのいえ」的な<ホスピス>が数多くできればいいのですが、現状では遠い道のりのようです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(23)『看取りの医者』平野国美(小学館文庫)

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今年の読書(23)『看取りの医...
終末期医療の訪問医として、2002年につくば市で開業された著者の感動の実話が、9編収められています。

1950(昭和25)年当時は、8割の方が自宅での在宅死でしたが、1976(昭和51)年を境に病院での院内死が逆転、今では家族に看取られての在宅死は1割になっています。

<在宅医療を成功に運ぶためには、医師が患者さんの経過を正確に把握し、病状の回復や悪化の程度を適切に判断し、それに応じた投薬や検査などを行う必要がある>と述べられ、重ねて<看護婦やヘルパーに適切な指示を与え、相互に連絡を密にして、連携プレーで在宅医療の効果を高める必要がある>と、決して医者任せだけでは解決しない問題の難しさを感じました。

医者の立場として、患者に治療を行うのは当然の行為でしょうが、無駄な延命処置で死に際に家族が立ち会えない状況は、死にゆく人への冒涜だと著者は考えられています。

<けれども、延命治療後の患者さんの死に顔には、例外なく苦痛がにじみ出ている。死臭も強い。自宅で自然に息を引き取った患者さんが安らかな死に顔で、ほとんど死臭を感じないのとは対照的である>という記述は、開業9年間で630以上の在宅死を看取られた著者ならではの言葉だと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(22)『絶頂美術館』西岡文彦(新潮文庫)

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今年の読書(22)『絶頂美術館...
古今東西の「ヌード画」を通して、その当時の美術界の流れ、書かれた時代の社会背景等を巧みに書き込みながら、名画と言われる作品の解説書です。

<ヌードは、単なる裸体のデッサンでもなければ、性的なエモーションを呼び起すための手段でもない。自分自身の理想や欲求やあこがれを写し出す鏡なのである>の著者の言葉通り、どのような視点から眺めるのかでとらえ方は違ってきますが、本質的には「性」への賛歌が見て取れます。

カバネルの『ヴィーナスの誕生』、アングルの『泉』や『奴隷のいるオダリスク』、ボッティチェルリの『ヴィーナスの誕生』、マネの『草上の食事』や『オランピア』等、どれも美術の教科書に出てきますのでおなじみですが、トリビアな知識をたくさんいただきました。

表紙の写真はジェロームの『ローマの奴隷市場』ですが、女性の姿は、アングルの『泉』に描かれている、壺を抱えた女性の裏返しのポーズです。
左のウエスト部分を垂直に描くことで、右側のウエストのくびれが強調されるという技法、「なるほど」と納得してしまいす。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(21)『不恰好な朝の馬』井上荒野(講談社文庫)

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今年の読書(21)『不恰好な朝...
とある郊外の団地を舞台に繰り広げられる、7作の連作短篇集です。
ひとつひとつの短篇の登場人物がそれぞれに関連しあい、現代にうごめく市井の生活を、見事に切り開いています。

推理小説を読むように、肩肘張って筋立てを読み解くような姿勢ではなく、「そうなんだ」という軽い気持ちで読み流さないと、作者の意図は分かりにくいかもしれません。

  (1) 夫の浮気癖に、離婚を決心すす妻
  (2) 教え子の中学生女子と関係を持ち続ける絵画教師
  (3) 結婚の約束を反故にされた喫茶店の女店主と、その相手の両親との交友
  (4) (1)の浮気男が、若い女をつれて先妻の娘の結婚式に出向く旅行
  (5) (2)の絵画教師と離婚した妻のその後
  (6) (3)の女店主と関係を持つやくざな男
  (7) (3)の結婚を反故にした男と結婚をした妻が、その後の女店主との関わり

てな具合で、ストーリーが進んでいきます。
軽いタッチで書かれた文章表現の中に、人間の喜怒哀楽・本性を垣間見せてくれる一冊だと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(20)『追悼者』折原一(文芸春秋社)

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今年の読書(20)『追悼者』折...
小説の内容は、読み出せばすぐに分かりますが、1997年3月渋谷区円山町のアパートで起きました、「東電OL殺人事件」をモチーフにした推理小説です。

日本の一流企業に勤めるエリート女性社員が、OLと売春婦との二面性を使い分けていたことに、当時のマスコミは飛びついて面白おかしく取材合戦を繰り広げていました。
ノンフィクションを始め、このテーマの主題での小説も多く書かれています。

この『追悼者』も、昼は大手旅行会社に勤めながら、夜は浅草の街娼として殺害され、ノンフィクション作家が事件を追う筋立てで、犯人までたどり着く過程が、ルポルタージュの手法で表現されています。

終り頃には、「なるほどそうか」と読者を納得させながら、最後にまたどんでん返しで終わらせる手法は、さすがだと言わざるを得ません。
<目には目>を思わせる最後の6行ほどの文章が、読者に心地よい終末感を与えてくれますので、殺人犯への鉄鎚として気分良く読め終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(19)『夜の桃』石田衣良(新潮文庫)

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今年の読書(19)『夜の桃』石...
2003年の直木賞を、『4 TEEN』で受賞されていますので、作家の名前だけは知っておりましたが、作品を読むのは初めてでした。
新潮文庫に入っている<今月の新刊>のお知らせで、イチオシということでしたので、恋愛小説ですが読んでみました。

45歳で広告会社の社長が主人公です。奥さん以外にも、4年続いている愛人がいる中、さらに会社にアルバイトに来ていた25歳の少女のような女とも関係が始まります。
禁断の関係ゆえに深まる性愛を究極までに描き、中年男の心情を実に巧みに表現しています。

どのような結末を迎えるのか、読みながら期待していたのですが、結末の付け方は単純すぎて、わたしには肩すかしでした。

渡辺淳一の『失楽園』や『愛の流刑地』の好きな方には、むいている一冊だと思います。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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