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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(61)『メディチ家の暗号』マイケル・ホワイト(ハヤカワ文庫)

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今年の読書(61)『メディチ家...
メディチ家の地下礼拝堂に眠る54の遺体を調査中に、コジモ・デ・メディチと思われし遺体から、小さな石板状の物体が発見されます。
一人その物体を調べていた古病理学者<イーディー>の叔父が発見当日に何者かに殺されてしまうところから物語は始まります。

遺体の調査のメンバーでもある<イーディー>は、携帯電話に残された最後の叔父の謎の言葉を頼りに、大学時代の先輩<ジェフ>と彼の友人<ロベルト>と共に、メディチ家の隠された謎に突き進んでいきます。

現在のヴェニツィアを舞台に繰り広げられる物語と、コジモの活躍した1410年が中心の物語が交互に語られ、二重三重の謎解きが進みます。

いつもながら史実にある程度基づいた小説は面白く、楽しみながら読みきりました。
『四季』で有名なヴィヴァルディの逸話も登場してきますし、コモジの友人ニッコロ・ニッコリがイタリック体を発明した人物だということなど、雑学面でも意義ある一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(60)『探偵・竹花 再会の街』藤田宣永(角川春樹事務所)

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今年の読書(60)『探偵・竹花...
著者の探偵ものとして、今までに「鈴切信吾」・「的矢健太郎」・「相良治郎」を主人公にした作品がありますが、この「竹花」だけには、下の名前がつていていません。

61歳の探偵・竹花、著者と同じ年齢設定で各所に育った時代背景の言葉が出てきますので、著者の分身として楽しみながら執筆されたのがうかがえます。
登場する竹花は、<酒と煙草と女と孤独を愛する>という、ステレオタイプ化された探偵のイメージですが、61歳という年齢がそれを感じさせません。

元大物総会屋から「別れた愛人とその娘」の居所を探してほしいという依頼で、突き止めたマンションの前で、その娘と子供が拉致される場面に遭遇して物語が始まります。
後半は思わぬどんでん返しもあり、構成的によくまとまり楽しめた一冊でした。

探偵ものとして最高峰であるレイモンド・チャンドラーの『ザ・ロング・グッドバイ(長いお別れ)』が文中に出てきます。チャンドラーといえば清水俊二の訳本ですが、<角川春樹(訳)の文庫本が買ったままになっていたのだ>には、出版社を意識しているのか、思わず笑ってしまいました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(59)『あの頃の誰か』東野圭吾(光文社文庫)

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今年の読書(59)『あの頃の誰...
江戸川乱歩賞、直木三十五賞を受賞している作家ですので、名前ぐらいは知っていました。
人気作家らしく、新作が出ると新聞の広告欄によく名前を眺めておりましたが、読んでみたい作家ではありませんでした。

先月、米ミステリー界の最高峰である「エドガー賞」の最優秀長編部門に、同氏の『容疑者Xの献身』が受賞は逃しましたがノミネートされていると知り、どんなものかと読んでみる気になりました。

ノミネート作品ではなく、『あの頃の誰か』というミステリー短篇集で、8話が収められています。
どの短篇も作品としては古く、1989~1997年に発表されたもので、今まで収録されていない短篇ばかりです。

年代を感じる描写が多く、
・・・・生意気そうな女が、長方形の箱のようなものを持っている。巷で噂の携帯電話だ。
・・・・恋人がいなくても、とりあえずイブの夜にホテルを予約するというのが、最近の男たちのトレンドだ。<1990年>
・・・・カウントがツースリー(今はスリーツー)になった。<1994年>
・・・・DINKSという言葉知っているだろう。<1989年>

また登場する自動車も、ベンツ・BMW・レクサス・ポルシェといった馴染みの車名が出てきます。まさに上記の描写と合わせ、バブル全盛期の<あの頃の誰か>に捧げる短篇集のようです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(58)『謀略法廷』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(58)『謀略法廷』...
自らが弁護士であり、またミシシッピー州の下院議員を務めたことのある著者の法廷小説は、処女作『評決のとき』(1989年)以来、好んで読んでいます。

日本の裁判制度とは違い「陪審員制度」の米国ですが、評決に至るまでの面白さは、著者ならずとも楽しめる作品はたくさんあります。

『謀略法廷』は、化学工場が垂れ流していた廃棄物が原因で、町の人々が癌などを発病させ、その賠償を求めて正義感の強い弁護士夫婦が私財をなげうって弁護にあたり、企業側から懲罰的賠償金を含めて多大な賠償金を勝ち取ります。

大企業のオーナーは賠償金を支払う意志もなく、上告する州の最高裁判所の判事選挙に巨額の裏金を投資して、自分の意のままになる候補者を当選させるべく画策に走ります。

法廷内での原告・被告のやり取りの応酬が小説の中心ではありません。法廷外での弁護士や大企業の経営者のエゴ、裁判官の選挙自体の問題定義といった内容が濃い作品でした。

下巻のページ数が残り少なくなるにつれ、夫と子供を亡くした未亡人は賠償金を取れるのか、大企業のオーナーは生き残れるのか、破産した弁護士夫婦の今後はどうなるのか等、色々と結末を考えながら一気に読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(57)『二つの「金印」の謎』西村京太郎(祥伝社文庫)

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今年の読書(57)『二つの「金...
列車や観光地を舞台とするトラベルミステリーが多く、<十津川警部>シリーズも人気があり、テレビドラマなどにたびたび登場しています。
肩を張るような小説ではなく、気楽に電車の中で読むのに適しているのか、「キオスク」の売店では必ず著者の文庫本が何冊か置かれています。
発行される形態も、新書版か文庫本がほとんどというのも、著者ならではの特徴ではないでしょうか。

非常に多作な作家で、いつ見ても新刊本を目にしているようにおもえます。
調べますと2012年3月で、すでに書かれた作品は500冊を超えているようです。

著者が同じ推理作家である故山村美紗との関係をモデルにした私小説『女流作家』(朝日新聞社:2000年5月刊行)を読んで以来、久しぶりに手にしてみました。

列車や観光地での事件では気を引かれなかったと思いますが、「卑弥呼の金印」という日本史にからんだ事件のようで、興味を持ちました。
日本史の歴史として、1784年に志賀島で発見された「漢委奴国王」の金印は有名ですが、卑弥呼に贈られたという「親魏倭王」と彫られた金印をめぐり、連続殺人事件が発生します。
この金印を発見したという「アドベンチャー・ジャパン」という怪しげな団体が現われ、世間的に注目されるなか、最後は<十津川警部>の推理で事件は解決に至ります。

いまだに夢とロマンを与えてくれる「邪馬台国」の卑弥呼ですが、古代史の謎として、まだまだ論争が続くようです。
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今年の読書(56)『オール ミッション2』山田悠介(角川文庫)

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今年の読書(56)『オール ミ...
どんな依頼も引き受ける「何でも屋」を舞台に、それぞれの注文(ミッション)をこなしてゆく物語が、5話ばかり収められています。

著者には失礼な話なのですが、読みながら第135回(2006年)直木三十五賞を受賞された、<三浦しをん>さんの『まほろ駅前多田便利軒』を思い出してしまいました。
こちらも、駅前で「便利屋」を営む二人の男の顛末記です。

元警官の社長である<花田>を中心に、憎めないキャラクターの男3人に、事務担当の女性社員が、それぞれの依頼主の注文に合わせて活躍する姿が描かれています。
喜ばれる仕事もあれば、依頼通りの注文をこなせずに落ちこんだりと、波乱万丈の依頼話しが展開してゆきます。

<ミッション2>ということで、2冊目のようですが、面白い依頼仕事には事欠かないでしょうから、シリーズ化が続きそうです。
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今年の読書(55)『逝年』石田衣良(集英社文庫)

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今年の読書(55)『逝年』石田...
前作 『娼年(しょうねん)』 の続編としての作品ですが、本書だけ読みましても前回からの流れは理解できます。

二十歳の夏に「クラブ・パッション」のオーナー<御堂静香>に声をかけられ、「娼夫」の道に足を踏み入れた<リュウ>ですが、警察の手入れを受けオーナーは逮捕されてクラブは解散となります。

警察の手入れから落ち着いた一年後、<リュウ>は仲間と共にクラブを再開させます。
ほどなくオーナーも出所してきますが、エイズが発病、心の支えであるオーナーとの永遠の別れを目の前にして、<リュウ>は自分に何ができるのかと悩みます。

裏社会の性ビジネスを縦軸に、男と女の生理的な感性の違いを横軸に、そして<しょうねん>から<せいねん>に成長する男としての<リュウ>の感性が織り込まれた一冊でした。
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今年の読書(54)『れんげ荘』群ようこ(ハルキ文庫)

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今年の読書(54)『れんげ荘』...
有名広告店代理店に勤め、バブルで使い放題の接待費で毎日宴会、有名ブランドの服やバッグで身を飾っていた<ササカワキョウコ>(45歳)は、世間体を気にする価値観の母親と二人で、息詰まる生活を送っていました。
母親が70歳を超え、兄夫婦が母親と同居するのを機会に、会社も辞め仕事もせずに、月10万円だけで生活をしようと決心して、実家を飛び出します。

探しだしたのは、共同トイレと共同のシャワー室がある、月3万円の木造アパート「れんげ荘」です。
古いということで2階は空き家のまま、1階には60歳を超えた<クマガイ>さん、自称旅人と称する20歳過ぎの女性、割烹店にて板前修業中の<サトウ>くんが住んでいます。

引っ越した季節の良い春先から、梅雨時には押し入れにカビが生え、夏には蚊に悩まされ、冬には寒さに震え上がる不便な一年の生活を通して、お金では買えない心の贅沢さを感じてゆきます。

著者には『贅沢貧乏のマリア』という、『贅沢貧乏』を書かれた森茉莉さんの評伝がありますので、精神貴族としての森茉莉に触発された作品だと思います。

解説の中で岸葉子さんが、<生活のリズム化とは、削ぎ落としてゆくことだけではないのだ。だいじなの価値観の軸をシンプルにすること>と述べられていますが、まったく同感です。
自分自信の軸がぶれることなく、物質的な満足感など求めず、心の贅沢を感じる生き方で過ごしたいものです。
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今年の読書(53)『研修医純情物語』川渕圭一(幻冬舎文庫)

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今年の読書(53)『研修医純情...
以前に、元NHK社会部記者でありながら、29歳で山口大学の医学部に入学して医者になった野田一成さんの 『医者の言い分』 を紹介したことがあります。

今回の本も、パチプロ、数社の会社勤務を経て、父親を「ホテルニュージャパン」の火災で亡くし、一年間の引きこもりの末に30歳で医学部を目指し、37歳で京都大学医学部を卒業された著者の研修医時代の体験談が軸です。

一般的な社会人として当たり前のことが、なぜ大学病院では通じないのか、著者の実体験を通して医療現場と研修医の実態を余すところなく書かれています。

カンファレンスや教授回診の準備に関してはやたらうるさい指導医たちの口から、「患者さんと多くの時間を過ごそう」といった指示もなくなく、多くの医師が患者の立場に立って考え、患者の身になって行動しようと心がけていないといぶかります。

大学病院としては、「診療」「教育」「研究」といった三つの使命がありますが、重きを置かれるのは「研究」で「診療」はどこの病院でもできるという考え方がある故、患者に対して人間的な触れ合いは重要視されていないのが現状でしょうか。

著者自ら不器用と言わしめていますが、医者と患者という対比での関係ではなく、医者として患者に対する暖かみのある目線を感じながら読み終えました。
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今年の読書(52)『絶望中学』山本俊輔(リンダブックス)

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今年の読書(52)『絶望中学』...
文庫本にして、284ページですが、読みきるのに時間がかかりました。
おもに就寝前が読書時間ですが、もう少し読もうという意欲がわく内容の小説ではありませんでした。非常に重たい教育の問題として書かれています。

ニュータウンに新設された「房総学院大学付属城北中学校」の教諭・矢部が何者かに襲われ、車道に転がされるという殺人未遂事件が起こります。
厳しい校則で有名なこの中学校で、矢部は体罰を平然と行い生徒たちを制圧してきていました。
警察の捜査が進む中、体面を重んじる学校側の応対で捜査は進まず、矢部がいなくなることで安心する生徒たち、逆にいじめのリーダーたちは自分が疑われないかと、追いつめられてゆきます。

ショッキングな事件を背景として、現在の中学校という教育の現場に踏み込んだ内容ですが、教師の無力化や親としての無責任さも描き出しています。

読みながら、アメリカ映画の「暴力教室」を思い出しました。1955年の作品で、不良少年たちが集まるニューヨークの高校が舞台でした。
教師側の体罰を通しての今の教育現場の問題定義のこの作品とは、主旨がが違いますが、クラス担任となったリチャード・ダディエ(グレン・フォード)の苦悩した顔を思い出します。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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