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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(18)『歌舞伎町セブン』誉田哲也(中央公論社)

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今年の読書(18)『歌舞伎町セ...
<姫川玲子>シリーズ や <ジウ>シリーズ などの警察小説で人気が高い著者ですが、今回は歓楽街歌舞伎町を舞台に繰り広げられるノワール小説です。

歌舞伎町の商店街の会長が死体で発見され、原因は急性心不全。
事件性はないように見えたところから、歌舞伎町の裏社会が絡んで話しは進みます。

表題の「歌舞伎町セブン」とは、歌舞伎町全体を守る闇の自警団的な存在で、必要とあらば殺人をもいとわないという7人の存在を指しています。
<・・・こういう性質の街はいつの時代も、司法や警察では処理できない問題を抱える運命にある・・・>
正当性の是非は問われるところですが、現実的に歌舞伎町は「そうだろうなぁ」と想わせる雰囲気を持つ街だと思います。

一度足を洗った主人公のバー『エポ』のマスター<陣内陽一>を中心に、暴力団組長の(市村>、若手警察官<小川>、ルポライター<上岡>等がそれぞれの境遇・立場を抱えながらひと段落付けていますが、個性ある登場人物たちですので、これまたシリーズ化されそうな一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(17)『カウントダウン』佐々木譲(毎日新聞社)

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今年の読書(17)『カウントダ...
警察関係の犯罪小説が好きで、著者の作品としては、北海道警を舞台にした 『笑う警官』 ・ 『警官の紋章』 ・ 『制服捜査』 等を読んできています。

今回の『カウントダウン』は全く別の分野で、北海道夕張市に隣接する幌岡市を舞台に、財政破錠をきたしてきたワンマン市長の6期目の選挙を阻止すべく、市議1期生の主人公が選挙戦を戦い抜く筋立てです。

著者は、財政破錠で財政再建処理が進んでいる夕張市の出身だけに、思い入れをこめて書かれているのがよくわかる内容です。

選挙戦の誹謗中傷、1万5千人という住民達の思惑、市議会与党のていたらくな様子等、どこの行政体にも当てはまる内容で面白く読みきりました。

スパイスも効いていて、どこの選挙にも出てくる戦国武将の名前の立候補者をおもわせる人物として、「高杉晋作」を登場させるなど、笑わせていただきました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(16)『TOKYO BLACKOUT』福田和代(創元推理文庫)

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今年の読書(16)『TOKYO...
神戸市出身の女性作家としては、<安西篤子>、故<三枝和子>、故<久坂葉子>と思い付きます。
この作品は若い世代として、1967(昭和42)年生まれで神戸大学工学部卒業の<福田和代>さんの第2作目に当たり、10冊ほどの著作がありますが、初の文庫本化です。

6歳のときに、誰も手助けすることもなく、無関心な大都会の東京で母親を殺され、時効で犯人は捕まらず、また婚約者も行きずり殺人犯に殺されるという過去を持つエンジニアが、東京の街の停電を実行させるという荒筋です。

日本においてテロはないとないという安心感、また、電気は使えて当たり前だという意識を物の見事に覆してくれています。
タイトルに使われています「BLACKOUT」は、完全な停電状態を指す、業界用語です。

驚いたのは2008年の刊行(文庫化は2011年8月)ですが、<東都電力は今年、東北地方を襲った震災の影響により、最大の原子力発電所の稼働を停止する状態に陥っている>とあり、「エッ」と驚きました。
しかも、緊急対策として<輪番停電>まで書きこまれています。
工学部出身者らしく、非常に緻密な電力業界の描写、最後まで飽きることなく読めました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(15)『姐御刑事(アネゴデカ) : 大量爆殺』南英男(徳間文庫)

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今年の読書(15)『姐御刑事(...
<誉田哲也>の 『シンメトリー』 等の女性刑事<姫川玲子>シリーズと同様、この小説の主人公も、警視庁捜査一課の女性刑事<三田村利香>です。
32歳で女暴走族の総長でしたが、母親は暴漢に襲われその後に自殺、父親も敵対する暴走族との抗争で亡くなると、生活を改めて警察学校に入った経歴をもちます。

『姐御刑事』に続くシリーズ2冊目ですが、元暴走族ということもあり、男勝りの言葉と空手二段の特技で、軟弱な男には見向きもしない性格設定がされていて、小気味良いテンポで読み進めます。

人気ニュースキャスターがクレーン事故に見せかけて殺されるところから物語は始まりますが、過去の爆破事件との関連で、捜査は思わぬ方向に進んでゆきます。

警察社会の内部実態はわかりませんが、どうも警察関連の小説は、「キャリアとノンキャリアの区別」「警視庁と所轄の警察の上下関係」「捜査〇課と捜査〇課の対抗意識」「主人公の男刑事は離婚している、もしくは離婚協議中」といったステレオタイプ化された内容が多いのが、気になるところです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(14)『心に龍をちりばめて』白石一文(新潮文庫)

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今年の読書(14)『心に龍をち...
読みたい本を選ぶ基準は、もちろん面白さが重要ですが、何かの縁や偶然の作用が働くときがあります。

著者の<白石一文>は、2000(平成11)年に『一瞬の光』で作家デビューをしています。
父の故<白石一郎>が1987(昭和62)年『海狼伝』で直木賞を取ったのに続き、著者も2010(平成22)年『ほかならなぬ人』で直木賞を取り、初めての親子二代の直木賞作家です。
この故<白石一郎>がわたしの亡父と同じ昭和6年生まれですので、何か縁を感じながら、息子の<白石一文>も読むようになりました。

今回も、ふと「龍」の文字が目に止まり、辰年ということも何かの縁かなと感じ読んでみました。

親子・兄妹・男女等の人間関係や愛情問題の主題が多いのですが、今回も恵まれた容姿とキャリアを持った<小柳美穂>を主人公に、一度別れた男のエリート記者<黒川丈二>、幼馴染の元ヤクザの仲間優司との男女関係を絡めながら、主人公の生い立ちや家庭環境を横線に、愛情と生きてゆくことの宿命を織り込んでいます。

時間や理屈を超え、それぞれの場面で人生の運命的な出会いがあることを、考えさせられる一冊で、とくに最後の2行の終わり方は秀逸です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(13)『暗闇で踊れ』馳星周(双葉社)

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今年の読書(13)『暗闇で踊れ...
1996年『不夜城』で衝撃的な作家デビューをした、馳星周の最新作です。
『不夜城』をはじめとして、『夜光虫』・『M』・『生誕祭』・『約束の地』 と軒並みに直木賞候補に挙がりながら受賞はしていませんが、ノワール小説家としての地位は、十分に確保されていると思います。

今回の『暗闇に踊れ』は、警視庁三課の刑事神埼が美術品窃盗事件を捜査してゆく過程で、暗い過去を持つ詐欺師の妹弟と係わりあうことから物語は始まります。

読み進むにつれて、姉弟の関係が解き明かされてゆきますが、姉弟の思わぬ関係に物語の構成の巧みさが出ています。

著者独特の世界である、人間の持つコンプレックスや性衝動の暴力性、いびつな社会に対する歪の描写が、いかんなく発揮されている小説です。
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今年の読書(12)『財務省の階段』幸田真音(角川書店)

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今年の読書(12)『財務省の階...
米国系銀行や証券会社でのディラーや外国債券セールスを経て、『小説ヘッジファンド』で作家デビューされた著者の小説は好きで、『Hello,CED.』『あなたの余命を教えます』 や 『バイアウト』 を紹介しています。

一番最新作(?)として、『財務省の階段』を読んでみました。
<本格経済小説にして、ホラー経済小説>と帯にありますが、今までの小説群とは違って、短篇の連作になっています。

著者自身があとがきに書いていますが、<作家になって16年。毎回違ったテーマを選び、書き方もそのつど変えて、さまざまな作品を書くことを自分に課してきました>

確かに経済小説だけでなく、せつない大人の恋物語である『コイン・トス』や、出身県である滋賀県の磁器の製造販売を始めた近江商人の一生を描いた『あきんど 絹屋半兵衛』など、幅広い分野での著作が目立ちます。

残念ながら今回の短篇集、ストーリーが連鎖して進みますが、著者本来の力量が発揮できている密度とは言えず、満足できませんでした。
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今年の読書(11)『八日目の蝉』角田光代(中公文庫)

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今年の読書(11)『八日目の蝉...
昨年4月29日に松竹映画で配給された同タイトル『八日目の蝉』の原作で、第2回中央公論文芸賞受賞作品ですが、<成島出>監督、<永作博美>・、井上真央>等の出演で、映画化されています。

自らが母親になれない主人公の<希和子>は、不倫相手の乳児を誘拐して、母子家庭を装いながら、我が子として3年半の逃亡生活を送ります。
同級生の家、見知らぬ女性宅と点々としながら、女性だけの集団生活を送る「エンジェルホーム」に居着きます。最後は小豆島で安定したかに見えた生活を送りますが、偶然祭りのときに顔を写された写真が入選してしまい、警察に知られ捕らえられてしまいます。

誘拐された子供は、無事に4歳で実の親元に戻るわけですが、その後育ての親が誘拐犯だったと知り心を閉ざして成長してゆきます。21歳になり、自らもまた妊娠しますが、その相手もまた家庭のある男でした。

最後はどのような結末になるのかと、一気に読ませる力量は、さすがに数々の賞に輝いている実力だと思いました。

何気ない文庫本の表紙ですが、小豆島の防波堤にたたずむ寂しそうな親子の姿、読み終わり納得すると共に、タイトルである『八日目の蝉』の意味も深く、これは読んだ者だけの特権として、あえて触れないでおきます。
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今年の読書(10)『医者の言い分』野田一成(中経出版)

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今年の読書(10)『医者の言い...
元NHK社会部記者であった著者が、「取材では、どう踏み込んでも第三者の立場にしかなれない」と感じ、29歳のときに山口大学医学部に3年時学士入学を経て医師になるまでの過程、並びに現実の研修医としての経験から見た、今の日本医療の問題点を分かりやすく書かれています。

受験一途に医学部に入学してきた若者と、記者として6年半の社会経験を持つ著者との視点のずれを、冷静に書かれているのはさすが記者の経験が生かされていると感じました。

「医師が患者を診療し、患者はただ言いなりになる」という体質から脱却し、医学部や医療関係者が自分たちの保全ばかりを考えることなく、「患者中心の医学教育・現場」に頭を切り替えてもらいたいものだと感じながら、読み終えました。
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今年の読書(9)『警視の覚悟』デボラ・クロンビー(講談社文庫)

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今年の読書(9)『警視の覚悟』...
1994年3月に発売された『警視の休暇』から数えて、第11作目がこの『警視の覚悟』です。
ロンドン警視庁のダンカン・キンケイド警視を主人公にしたクライムノベルですが、私生活では元部下で今は一緒に生活しているジェマ・ジェイムズ警部補との関係も、シリーズと共に変化してゆきますので小説のもう一つの伏線として楽しめます。

著者のD・クロンビーは、アメリカテキサス州ダラス近郊に住んでいますが、イギリス生活の経験があるとはいえ、こまかい風景描写は「イギリス」そのものの風土性を感じさせてくれます。

今回初めて、キンケイドはジェマとそれぞれの連れ子である男の子二人と、キンケイドの実家でクリスマスを過ごすべき出向いたのですが、乳幼児の遺体をキンケイドの妹が発見するところから、物語は始まります。
表紙にもナロウボートのイラストが描かれていますが、今回の舞台は運河で生活する船上生活者の現状が重要な要素を占めていますが、ティーンエイジャーの性と恋を絡み合わせて重厚な世界を作り出しています。

文庫本で700ページ弱、キンケイドファンにはたまらないシリーズです。
どの作品からも楽しめますが、やはり第1作目からお付き合いされるのが、お勧めです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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