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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#エッセイ」の検索結果997件

今年の読書(67)『孫の力』島泰三(中公新書)

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今年の読書(67)『孫の力』島...
一冊の書物を手にするには、偶然という場合も多々あります。
著者には悪いのですが、この一冊もそうでした。

わたしの早とちりで、ソフトバンクの<孫正義>氏の分析本かと思い手にしたのですが、なんと「孫(まご)」に関する内容でした。
これも何かの縁かなと、読んでみました。

著者は、ニホンザルやアイアをはじめ野生動物の研究者ですので、自分の孫の成長を、同じ手法で観察した貴重な記録が綴られています。
動物学者らしく、孫と祖父母の関係は、単なる生物学的な関係を超えた。社会的・文化的な意味合いを分析されています。

少しばかりお孫さんの自慢的な記述も感じますが、目に入れても痛くないという孫の存在、単なる「子ども」として一段下に見るのが間違っているという考え方には、共感を持ちます。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(66)『ながい眠り』ヒラリー・ウォー(創元推理文庫)

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今年の読書(66)『ながい眠り...
作品自体は1959年に発行された警察(推理)小説ですが、<幻の傑作、新訳決定版>ということで読んでみました。

ストックフォード警察署長の<フェローズ>を主人公に、3人ほどの部下を引き連れて難事件を解決する、シリーズの第一作目です。

不動産会社が、金庫の現金は盗まれずに、賃貸契約書のファイルだけが盗難に遭い、やがて同社の管理する貸家から胴体だけの女性の柄死体が発見されます。

殺された女性の身元の確定もできず、これこそはと思われたわずかな手がかりも実ることなく、捜査は難航を極めます。
理論派の部下と対照的に、<フェローズ>はわずかな証拠に基づき、推理を重ねてゆくタイプとして、最後まで捜査を諦めません。

著者自らが述べているように、<謎とフェアープレイの精神>で書かれていますので、読み終わりますと「なるほど」と納得します。
小説の第1ページに出てくる挿絵としての「カレンダー」の意味が、ラスト3行のどんでん返しに絡んでくるのは、さすがとしか言いようがありません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(65)『グラデーション』永井するみ(光文社文庫)

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14歳の少女<桂真紀>を主人公に、23歳になるまでの10年間を、丁寧に描いた8章からなる小説です。

少女から大人の入り口に差しかかるまでの出来事が、友達関係、親子関係、思いを寄せる男性関係の中で、これといった結末もなくなだらかに語られてゆきます。

「グラデーション」は、色彩の濃淡の変化、物事の段階的な変化に対応した言葉ですが、女の子としてどこにでもありそうな出来事の積み重ねを、心の成長とともに書き込まれています。

主人公の<真紀>は、美術大学に進み、美術の教職を目指しますが、残念ながら教師の道は狭き門で浪人となり、友人の絵画教室の手伝いをする現状で終わりますが、この先どのような人生の「グラデーション」を積み重ねて着くのかは、読書の想像の世界です。

多感な少女の心の動きを、それとなく感じさせてくれた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(64)『孤舟(こしゅう)』渡辺淳一(集英社)

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今年の読書(64)『孤舟(こし...
大手広告会社を60歳で定年退職した大谷威一郎の家庭を中心に、その家庭内の夫婦関係、長男と長女二人の子供たちとの親子関係を、淡々と積み重ねていく表現で構成されています。

威一郎の妻は、専業主婦であるが故、毎日会社の仕事や接待で遅くなる主人とは裏腹に、昼間は自由な生活を満喫していました。
家庭内のことは何もしない(出来ない)威一郎と、衝突するのは時間の問題でした。

サラリーマン時代が充実していた(と感じていた)人ほど、年賀状も来なくなり、部下からの連絡もなくなりますと、孤独感を味わうことになります。

第二の人生だと期待していたものの、いざ時間的に余裕が出来ても、金銭的には年金生活にならざるを得ない現状、身につまされる人も多いのではないでしょうか。

仕事一筋、趣味もなく時間をつぶせない人ほど退職後病気になりやすいようで、さしずめ「ブログル」で知的発散を楽しまれているみなさんには、縁遠い話しのようです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(63)『電車屋赤城』山田深夜(角川文庫)

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今年の読書(63)『電車屋赤城...
久々に「エンターティメント」な小説を読んだという、感動の一冊でした。
鉄道オタクまではいきませんが、鉄道好き、機械好きな方には、たまらない小説だと思います。

私鉄「神奈川電鉄」(通商「神電」)の車両検査部門を舞台に、下請け業者の「エース工業」の社長たちを通して、車両整備に誇りと夢をかける男たちの人間ドラマが展開されていきます。

<赤城>は、自分の過去を語ることもなく、それぞれに登場する人物たちに対して、人間として職人としての矜持を示しながら、難問解決に立ち向かう姿勢を崩しません。

高速化と電子制御化が進むなか、職人技として腕を振るえる時代は終焉を迎えつつありますが、「プロ」としての仕事へのこだわりを改めて感じさせてくれました。

7章からなる構成ですが、一遍一遍どれも感動モノのお話ばかりで、お勧めです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(62)『季節風 秋』重松清(文春文庫)

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今年の読書(62)『季節風 秋...
『季節風』というタイトルで、<冬・春・夏・秋>と四部作が出ていました。
どれも12の短篇が収められています。一番新しい『季節風 秋』を読んでみました。

以前に著者の自叙伝的な 『鉄のライオン』 を読みましたが、いい味わいの短篇集だったので、今回も期待しながら読んでみました。

親子関係、夫婦関係、幼馴染等、人間生活のどこにでも起こりえるえる物語ですが、実に味わい深く読めました。
「あとがき」に著者自らが書かれています、<「おまえはどんなものを書いているんだ?」と問われたなら、きっと「これを読んでくれればわかります」と、この四冊を差し出すだろう>との言葉通り、まさに著者の人間を観る視点が浮き彫りになる内容でした。

・・・肩を抱き寄せて。「長生きしてや、お父ちゃん」-ふるさとの言葉で言った。
・・・子どもたちは、これから長い人生を、勝ったり負けたりを繰り返して生きていく。運動会のようなさっぱりした勝負は、そう多くはないだろう。
・・・おとなには、わかっても言わないことがあるんだよ、うん。言ってもつらくなるだけだったら、言わないほうがいい。

さりげなく各短篇に出てくる文章に、著者の思い入れがにじみ出ています。
ほのぼのとしながらも胸が熱くなる人間ドラマ、ぜひ手にしていただきたい一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(61)『メディチ家の暗号』マイケル・ホワイト(ハヤカワ文庫)

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今年の読書(61)『メディチ家...
メディチ家の地下礼拝堂に眠る54の遺体を調査中に、コジモ・デ・メディチと思われし遺体から、小さな石板状の物体が発見されます。
一人その物体を調べていた古病理学者<イーディー>の叔父が発見当日に何者かに殺されてしまうところから物語は始まります。

遺体の調査のメンバーでもある<イーディー>は、携帯電話に残された最後の叔父の謎の言葉を頼りに、大学時代の先輩<ジェフ>と彼の友人<ロベルト>と共に、メディチ家の隠された謎に突き進んでいきます。

現在のヴェニツィアを舞台に繰り広げられる物語と、コジモの活躍した1410年が中心の物語が交互に語られ、二重三重の謎解きが進みます。

いつもながら史実にある程度基づいた小説は面白く、楽しみながら読みきりました。
『四季』で有名なヴィヴァルディの逸話も登場してきますし、コモジの友人ニッコロ・ニッコリがイタリック体を発明した人物だということなど、雑学面でも意義ある一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(60)『探偵・竹花 再会の街』藤田宣永(角川春樹事務所)

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今年の読書(60)『探偵・竹花...
著者の探偵ものとして、今までに「鈴切信吾」・「的矢健太郎」・「相良治郎」を主人公にした作品がありますが、この「竹花」だけには、下の名前がつていていません。

61歳の探偵・竹花、著者と同じ年齢設定で各所に育った時代背景の言葉が出てきますので、著者の分身として楽しみながら執筆されたのがうかがえます。
登場する竹花は、<酒と煙草と女と孤独を愛する>という、ステレオタイプ化された探偵のイメージですが、61歳という年齢がそれを感じさせません。

元大物総会屋から「別れた愛人とその娘」の居所を探してほしいという依頼で、突き止めたマンションの前で、その娘と子供が拉致される場面に遭遇して物語が始まります。
後半は思わぬどんでん返しもあり、構成的によくまとまり楽しめた一冊でした。

探偵ものとして最高峰であるレイモンド・チャンドラーの『ザ・ロング・グッドバイ(長いお別れ)』が文中に出てきます。チャンドラーといえば清水俊二の訳本ですが、<角川春樹(訳)の文庫本が買ったままになっていたのだ>には、出版社を意識しているのか、思わず笑ってしまいました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(59)『あの頃の誰か』東野圭吾(光文社文庫)

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今年の読書(59)『あの頃の誰...
江戸川乱歩賞、直木三十五賞を受賞している作家ですので、名前ぐらいは知っていました。
人気作家らしく、新作が出ると新聞の広告欄によく名前を眺めておりましたが、読んでみたい作家ではありませんでした。

先月、米ミステリー界の最高峰である「エドガー賞」の最優秀長編部門に、同氏の『容疑者Xの献身』が受賞は逃しましたがノミネートされていると知り、どんなものかと読んでみる気になりました。

ノミネート作品ではなく、『あの頃の誰か』というミステリー短篇集で、8話が収められています。
どの短篇も作品としては古く、1989~1997年に発表されたもので、今まで収録されていない短篇ばかりです。

年代を感じる描写が多く、
・・・・生意気そうな女が、長方形の箱のようなものを持っている。巷で噂の携帯電話だ。
・・・・恋人がいなくても、とりあえずイブの夜にホテルを予約するというのが、最近の男たちのトレンドだ。<1990年>
・・・・カウントがツースリー(今はスリーツー)になった。<1994年>
・・・・DINKSという言葉知っているだろう。<1989年>

また登場する自動車も、ベンツ・BMW・レクサス・ポルシェといった馴染みの車名が出てきます。まさに上記の描写と合わせ、バブル全盛期の<あの頃の誰か>に捧げる短篇集のようです。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(58)『謀略法廷』ジョン・グリシャム(新潮文庫)

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今年の読書(58)『謀略法廷』...
自らが弁護士であり、またミシシッピー州の下院議員を務めたことのある著者の法廷小説は、処女作『評決のとき』(1989年)以来、好んで読んでいます。

日本の裁判制度とは違い「陪審員制度」の米国ですが、評決に至るまでの面白さは、著者ならずとも楽しめる作品はたくさんあります。

『謀略法廷』は、化学工場が垂れ流していた廃棄物が原因で、町の人々が癌などを発病させ、その賠償を求めて正義感の強い弁護士夫婦が私財をなげうって弁護にあたり、企業側から懲罰的賠償金を含めて多大な賠償金を勝ち取ります。

大企業のオーナーは賠償金を支払う意志もなく、上告する州の最高裁判所の判事選挙に巨額の裏金を投資して、自分の意のままになる候補者を当選させるべく画策に走ります。

法廷内での原告・被告のやり取りの応酬が小説の中心ではありません。法廷外での弁護士や大企業の経営者のエゴ、裁判官の選挙自体の問題定義といった内容が濃い作品でした。

下巻のページ数が残り少なくなるにつれ、夫と子供を亡くした未亡人は賠償金を取れるのか、大企業のオーナーは生き残れるのか、破産した弁護士夫婦の今後はどうなるのか等、色々と結末を考えながら一気に読み終えました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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