1日の東京外国為替市場で、円相場は続落でした。17時時点では前日の同時点に比べ1円16銭の円安・ドル高の「1ドル=150円54〜56銭」で推移しています。前日に日銀の<植田和男総裁>が利上げを急がない姿勢を示したと受け止められ、日米の金利差拡大を見込んだ円売り・ドル買いが膨らんでいます。円相場は一時「1ドル=150円91銭」近辺と3月下旬以来およそ4カ月ぶりの安値をつける場面がありました。
日銀は7月31日に公表しました「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しを上方修正しましたが、<植田和男総裁>は記者会見で「金融政策が左右されるものではない」と説明。さらに足元の為替相場については「物価見通しに直ちに大きな影響があるとはみていない」とも語りました。円安進行に歯止めをかけるため日銀が利上げに動くとの観測が後退し、円売り・ドル買いを促しています。
前日に発表されました週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を下回るなど米景気には底堅さがみられています。米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退し、米金利の先高観が強まっているのも円やユーロなど主要通貨に対するドル買いを誘いました。
もっとも、売りが一巡すると円相場の下値を探る動きは鈍く、<加藤勝信財務相>1日日、円安を巡り「政府として投機的な動きも含め、為替市場の動向を憂慮しているというのが今の認識だ」と語っています。一段と円安が進めば日本政府による為替介入の可能性が高まると意識されたほか、1日発表されます7月の米雇用統計を見極めたいとして円売り・ドル買いの持ち高を積極的に積み増す動きは限られました。