今年の読書(24)『おから猫』西山ガラシャ(集英社文庫)
5月
10日
著者<西山ガラシャ>は、2015年『公方様のお通り抜け』で第7回日経小説大賞を受賞し作家デビューしています。本書『おから猫』は、『小説日本博物館事始め』(日本経済新聞出版社)に次ぐ、3冊目として,2024年3月25日に『小説すばる』に掲載されました6篇の文庫本オリジナルとして発売されています。
タイトルにもなっています名古屋城の南にある「おから猫神社」には、猫神様に願いを叶えてもらおうと、今日もさまざまな事情を抱えた人が祈願にやって来ます。
遊郭の芸妓に惚れた、畳職人の「喜八」。
からくり人形の完成を願う「志乃」。
<葛飾北斎>が名古屋入りすると聞き、ひと儲けしようと考える書林「永楽屋」の主「東四郎」。
名古屋から東京に出向き一旗揚げたい若い「柳河辰助」と「伊藤圭介」。
「いとうさん」と呼ばれる呉服店で働くことになった、元武士の妻「椿紫苑」。
納屋橋を西洋風に架け替える仕事を任された青年「小山清孝」。などが、それぞれの希望と夢を持ち「おから猫神社」に出向きます。
納屋橋を西洋風に架け替える仕事を任された青年「小山清孝」。などが、それぞれの希望と夢を持ち「おから猫神社」に出向きます。
第1話の1733年(享保18年)から、第6話の1909年(明治42年)までの長きにわたる時代背景を元に、史実に忠実に話が組み立てられており、名古屋愛と人々の想いと歴史が織りなす、傑作ユーモア時代小説集でした。