今年の読書(17)『随筆草木志』牧野富太郎(中公文庫)
3月
18日
お花や植物好きの方が多いと思いますので、ドラマ『らんまん』も興味を持たれる方が多いと思いますが、本書『随筆草木志』はその人気にあやかってか2023年2月25日に発売されていますが、初刊は、明治(日露戦争前後)から昭和初期を背景に書かれ昭和11年(1936)、<牧野>が74歳と時の出版です。
金遣いが荒く、子どもが13人という貧乏な生活だったようですが、出版でお金を稼がなければいけなかったという状況の中での牧野富太郎の最初の随筆集ですが、気楽に読み流せる軽いエッセイ集ではありませんでした。
本書が当時売れたとは、とても思える内容だとは思えませんでした。植物好きだからということだけで本書を読みますと、読み終えるのは大変だと思います。
随筆集というよりは、植物図鑑のていねいな解説文を読んでいる感じになります。また、国語辞典『大言海』の植物に関すり記述の間違いを手厳しく指摘したり、一般的に使用されている「梅」は「プラム」ではない、「プラム」は「李(すもも)」だといった間違った名称の使い方を取り上げているなど、植物学者として植物に関する事柄を縦横無尽に語っています。