今年の読書(57)『ふるさと銀河線』高田郁(双葉文庫)
9月
17日
本書には、両親を喪って兄とふたり、道東の小さな町で暮らす少女。演劇の才能を認められ、周囲の期待を集めますが、彼女の心はふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動いていた、表題作の『ふるさと銀河線』を始め9篇の短編が収められています。
苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながらやさしい目線で人生のさりげない場面を舞台に愛情ある目線で描いています。
大阪~神戸の私鉄沿線から見えるつつましやかな部屋を舞台とする『車窓家族』、内容から下町側の「阪神電車」沿線かな?。また、大阪環状線の私鉄と接続するT駅(てんま・玉造・鶴橋・寺田町とT名は多いのですが、私鉄と接続ということで天王寺駅かな?)を舞台とする『ムシヤシナイ』など、「大阪ほんま本大賞」受賞という作品にふさわしい内容でした。