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- 今年の読書(32)『やがて飛び立つその日には』石野晶(双葉文庫)
著者は、『月のさなぎ』で2010年・第22回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞している<石野晶>で、本作『やがて飛び立つその日には』は文庫本書下ろしとして2022年5月15日に発売されています。
岩手県の自然豊かな山里に暮らす「花守ひばり」は、虫をこよなく愛する活発な少女でした。2歳年上の「和志」や同い年の「絵美」と幼馴染として一緒に充実した子供時代を送っていましたが、十五歳の誕生日に、亡き母が生前遺した花守の娘は「子供を産むと死ななければならない」というメッセージを聞き、自らの命にまつわる数奇な運命を知ることになります。
知らされた事実に衝撃を受けつつも自分の目指す道を信じて進む「ひばり」に、やがて大学の農学部に進みこれもまた運命的といえる1人の男性「村田蓮」と出会います。
今を懸命に生きていくこと、そして命を繋いでいくことの尊さを知る感動を、自然界の昆虫( ナミアゲハ・ゲジゲジ・カイコ・ギンヤンマ・ゲンジホタル等)や大きな伏線ともなる(ハクモクレン)の木と(アキアカネ)を中心に、植物(タチアオイ・ツキミソウ・ケシ等)を盛り込みながら、心温まるファンタジーとして描かれています。
昆虫や植物に関心のある人にぜひ読んでいただきたい一冊で、本箱の<有川浩>の『植物図鑑』の横に収めました。
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