今年の読書(76)『秋吉久美子 調書』秋吉久美子・樋口尚文(筑摩書房)
9月
30日
映画斜陽の時代といわれた1970年代、松竹映画『旅の重さ』の主役オーディションで、<高橋洋子>についで次点となり、自殺する文学少女に扮して本名(小野寺 久美子)で映画初出以降、演圧倒的な魅力を放って銀幕に登場した<秋吉久美子>は、『赤ちょうちん』(1974年・監督: 藤田 敏八) ・ 『妹』(1974年・監督: 藤田 敏八) ・ 『さらば夏の光よ』(1976年・監督: 山根成之) ・ 『あにいもうと』「1976年・監督: 今井 正) ・ 『ひとひらの雪』(1985年・監督: 根岸 吉太郎) ・ 『異人たちとの夏』(1988年・監督:大林宣彦) ・ 『深い河』(1995年・監督: 熊井 啓)など、数多くの傑作に出演していますが、意外にもこれまで彼女が辿ってきた軌跡ともいうべき作品歴を、批評とデータまで完備して総覧できる資料はありませんでした。
本書は、<秋吉久美子>と映画評論家・映画監督の<樋口尚文>の共著となっています。<樋口尚文>の初監督作 『インターミッション』 (2013年)に<秋吉久美子>は主演しています。
日本映画史に造詣の深い<樋口尚文>ならではの切り口で分析する「秋吉久美子」論、女優としてのこれまで、そしてこれからを秋吉が語り尽くすロングインタビュー、映画だけでなくドラマ作品も網羅した全作品データベースがまとめられています。