2019年の第72回カンヌ国際映画祭で話題をさらったのは、最高賞パルムドールを制した<ポン・ジュノ>監督作品 『パラサイト 半地下の家族』 でしたが、もう1本、アジア発の衝撃をカンヌにもたらして絶賛を博した映画がありました。それが2014年の 『薄氷の殺人』 でベルリン国際映画祭金熊賞、銀熊賞(男優賞)をダブル受賞した中国の気鋭監督、<ディアオ・イーナン>の5年ぶりとなる待望の新作が 『鵞鳥湖の夜』 ですが、コロナ禍の影響で公開(5月29日)が延期されていましたが、2020年9月25日に全国で公開されます。
『薄氷の殺人』は、生々しいリアリティと不条理な悪夢性がせめぎ合うサスペンス・ミステリーの傑作で、日本でも多くの観客を魅了しました。その<イーナン>監督がフランスとの合作で完成させた今回の新作では、ノワール調のアーティスティックな映像感覚がいっそう研ぎ澄まされ、警官殺しの逃亡者となった男と謎めいた運命的な女が織りなす危ういクライム・ストーリーの世界に、引きずり込まれます。
刑務所を出所して古巣のバイク窃盗団に舞い戻った裏社会の男「チョウ」(フー・ゴー)が、縄張りをめぐる揉め事に巻き込まれ、逃走中に誤って警官を射殺してしまいます。たちまち全国に指名手配され、警察の包囲網に追いつめられた「チョウ」は、自らに懸けられた報奨金30万元を妻の「シュージュン」(レジーナ・ワン)と幼い息子に残そうと画策します。
そんな「チョウ」の前に現れたのは、妻の代理としてやってきた「アイアイ」(グイ・ルンメイ)という見知らぬ女でした。リゾート地の鵞鳥湖で水浴嬢、すなわち水辺の娼婦として生きている「アイアイ」と行動を共にする「チョウ」でしたが、警察の捜索を指揮する「リウ」隊長(リャオ・ファン)、報奨金の強奪を狙う窃盗団に行く手を阻まれ、後戻りのできない袋小路に迷い込んでいきます。
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