まもなく閉館する京都商工会議所(1964(昭和39)年竣工)のビル1階に、モザイクで彩られた大理石の床があります。黒の石で十二支を描いたシンプルさが特徴で、全国の公共施設やホテルでモザイクを手掛けた洋画家の故<矢橋六郎>さん(1905~88)の作品として知られていますが、ビルの閉館後は建物と一緒に取り壊される予定で、愛好家から「モザイクは何百年も生き続ける石の芸術。あっさりと壊してしまうのはあまりにもったいない」との声が上がっています。
モザイクは、壁面や天井に石やタイルなどの小片を埋め込んで図柄を表す芸術で、古代ローマ帝国の時代から教会などの装飾技法として伝えられてきました。日本では第2次世界大戦後の高度成長期の頃に作られたものが多く、<矢橋>さんが手掛けた建築物としては、1964年に完成した「京商ビル」のほか、天井に巨大なモザイク画がある 「中日ビル」(1966年、名古屋市)、東京の「三島由紀夫邸」(1959年)、「岐阜県庁舎」(1965年)などがあります。
「京商ビル」のモザイクは、直径5メートルほどの円形で、普段は喫茶スペースのテーブルやいすに遮られて分かりづらいものの、十二支の動物がバランス良く配されています。
全国的には、「中日ビル」の天井画が全面的に保存される予定のほか、東京の国立競技場にあったモザイク壁画も保存される方向で進んでいるといいますが、「京商ビル」ではモザイクを残す予定はありません。
「京都で古い建物などがどんどん壊されている昨今、京都商工会議所として3月5日の移転が迫っているだけに、歴史あるモザイクの行方が気になる「京商ビル」の解体です。
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