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神戸:ファルコンの散歩メモ

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  • ハッシュタグ「#エッセイ」の検索結果997件

今年の読書(33)『ふり返るなドクター』川渕圭一(幻冬舎文庫)

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今年の読書(33)『ふり返るな...
前作の 『研修医純情物語』 に続く、著者2冊目の研修医の苦闘の物語です。
おそらくは著者自身の実体験の基づかれているとおもいますが、大学病院の裏事情を垣間見てしまうと、こんな病院には入院したくない気持ちがわいてきてしまいます。

相も変わらぬ教授を先頭とした担当医を引き連れての無駄な回診や、パソコン画面のみに頼り聴診器も当てない医師、患者とのコミュニケーションよりも自分の権力を誇示するのに必死な世間知らずの医師等、37歳にして研修医として大学病院に勤める主人公<佑太>の現状に、共感を覚えざるを得ません。

著者自身が一般社会で働いてきた経験がある脱サラ組だけに、医局といういびつな閉鎖社会がおかしいことに気づく目線が常に保たれ、研修医の葛藤がよく出ている一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(32)『絶壁の死角』クリントン・マッキンジー(新潮文庫)

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今年の読書(32)『絶壁の死角...
ワイオミング州ララミーで、中国系アメリカ人の女子大生が強姦されて殺害されますが、すぐに犯罪歴のある兄弟が逮捕されます。
現場には兄弟の犯行を裏付ける証拠が十分にあり、マスコミをはじめ誰もが兄弟の死刑判決は確実だろうと予測していました。

おりしも州特別捜査官の<バーンズ>は、転落死した女性クライマーの事件の調査でララミーに訪れます。
以前はこの地で過ごし、麻薬取締のおとり捜査中に三人の密売人を射殺したことにより、自らも裁判を受ける身であり、地元保安官や密売人の家族からも嫌がらせを受ける中、転落事故の真相に迫ってゆきます。

捜査とともに兄弟の強姦殺害事件を取り仕切る検事の息子が容疑者と浮かび上がり、次期ワイオミング州知事候補者の父親の根回しなどで、捜査に支障をきたしながらも、真相解決に突き進んでゆきます。

著者自身もロッククライミングが趣味とあるだけに、クライミング時の描写は迫力があり、サスペンス十分の一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(31)『日本農業への正しい絶望法』神門善久(新潮新書)

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今年の読書(31)『日本農業へ...
昨年、<真山仁>の 『プライド』 を読み、なんとなく今の日本の農業政策に疑問を感じていましたので、興味を持って読み始めました。

農作物を作らなくても、補助金が貰えるシステム自体に疑問を持ち、本当にいい農作物を作ろうとする農業家が育つのかと訝っておりましたが、まさにその疑問に答えてくれる一冊でした。

「エコ」や「有機栽培」、「製造者の顔写真」等の安易な宣伝を信用する消費者の行動を、かなり手厳しい口調で戒める内容です。
経済優先が横行し、安易な農地転用で利益を上げるシステムを作り上げる補助金行政の現状分析など、よく調べられています。

本来の野菜等の味が分からなくなった消費者に対する警告書として、意義ある一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(30)『あるキング』伊坂幸太郎(徳間文庫)

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今年の読書(30)『あるキング...
仙醍(せんだい)市を本拠地とする、万年最下位のプロ野球チーム<仙醍キングス>の熱狂的なファンの父と母のもとに、男児<王求(おうく)>が産まれますが、その日は<仙醍キングス>の監督がなくなった日でもあります。

0歳児から野球の英才教育を受けてきた<王求>は、高校時代までホームランバッターとして名を馳せますが、自分が暴行を受けた相手を<父>が殺してしまい、「人殺しの子」と噂される中、高校を中退せざるを得ません。

紆余曲折の生活の中、偽名を使い<仙醍キングス>にプロテストで入団、数々のホームラン記録を塗り替えてゆきますが、「人殺しの子」が活躍する姿に嫉妬を覚える監督がとった行動で、<王求>は・・・。

キーワードとしてシェークスピアの『マクベス』の言葉が散りめられ、同作品に出てくる魔女三人がいい味を添えています。

なんとも荒唐無稽な場面もあるのですが、ひとつのエンターティナメントとして楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(29)『何もかも憂鬱な夜に』中村文則(集英社文庫)

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今年の読書(29)『何もかも憂...
文庫本にして190ページ程の小説ですが、非常に重たい内容の一冊でした。

施設で育った<僕>は施設長の教えを心に刻みながら、高校を卒業後刑務官として働いています。
施設で一緒だった<恵子>と関係を持ち、同級生が高校卒まじかに自殺してしまう心の傷を背負い、また実在するか分からない「弟」のことに関して心を痛めています。
そんな<僕>は、夫婦二人を殺害し死刑判決を受けた18歳の<山井>を担当していますが、控訴期限が迫る中、どこか過去の自分と似ていることが気がかりになり、<山井>に対して自ら接していきます。

人間の本質とは何か、生きていくということはどういうことか、犯罪者の気質とは等、人間の存在そのものに問いかけながら、読者に迫ってきます。

生きてゆく上では必ず苦しくて「憂鬱な夜」はありますが、必ず明日が訪れるのも自明なことで、どんな時にでも希望は捨てるなという応援歌として読み切りました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(28)『恋する空港 あぽやん2』新野剛志(文春文庫)

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今年の読書(28)『恋する空港...
2013年1月17日からTBS『木曜ドラマ9』で放送されている、ドラマ化原作の2冊目です。
著者は立教大学社会部卒業後、旅行会社に6年勤務したあと、突然周囲に無断で失踪し、3年間ほどホームレス生活を経験しています。

<あぽやん>というのは、あぽ(APO)=「空港(Airport)」の略語から派生した旅行業界用語で、旅行代理店に籍はありながら、空港の案内係に移動した人々を指しています。
<あぽやん>について文中著者は、<ツアーの国内最後の砦となる空港所で、あらゆるトラブルを解決してゆくスーパーバイザーを、賞賛をこめてそう読んでいたが、いまでは空港でしか使えない社員、とでもいうような、見下した意味合いで使うことが多い>と、書かれています。

大航ツーリストに勤めるスーパーバイアーの<遠藤慶太>は、グァム支社から移動してきた新人<枝元久雄>の上司として受付業務を訓練させていますが、空港ならではのトラブルに巻き込まれながら業務をこなしてゆく姿が、連作の物語として6話収められています。

主人公の「僕」という表現と、<遠藤>という名前の使い分けが分かりづらい所もありましたが、著者の経験を生かした業界モノとして楽しく読めました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(27)『野蛮なやつら』ドン・ウインズロウ(角川文庫)

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今年の読書(27)『野蛮なやつ...
来月3月8日(金)から日本で公開されます映画『野蛮なやつら/SAVAGES』の原作本で、監督は<オリバー・ストーン>です。

親友同士の<ベン>と<チョン>は、カリフォルニアのラグナ・ビーチを拠点に大麻栽培で大成功を収め、幼馴染の<オフィーリア>となかのいい三角関係で結ばれています。

そんな折、主人の跡目を継いだメキシコの密売組織「バハカルテ」の女首領<エレナ>から、事業提携の話が舞い込みますが<ベン>と<チョン>は拒みます。
<エレナ>は部下の<ラド>を使い<オフィーリア>を拉致して、脅しをかけますが、<ベン>と<チョン>は策を練り<オフィーリア>を取り戻すために動き出します。

筋立てとしては、よくあるクライムノベルズですが、書かれている文体が「ラップ」ミュージックのごとく躍動感ある文章で引き込まれてしまいました。
原語で読めばおそらくスラングと略字のオンパレードで、これを訳された東江一紀氏の力量に敬意を表します。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(26)『ボーダー』大門剛明(中公文庫)

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今年の読書(26)『ボーダー』...
副題に<負け弁・深町代言>とありますように、弁護士を主人公に据えた法廷ミステリーです。

テレビでも人権派として有名な弁護士<深町代言>(38歳)は、自分の担当したある刑事事件をきっかけに東京を去り、司法修習生時代にお世話になった三重県伊勢市の弁護士事務所に腰を落ち着けます。

志は高いが裁判ではなかなか勝てない<松月>を所長とする外宮法律事務所ですが、新人の弁護士である姪の<中里実花>が、派遣会社の事務員を殺害した事件を担当することになります。

<深町>は、刑事事件から遠ざかるように民事事件で事務所の売り上げを伸ばしてゆきますが、新人の<実花>の一途な頑張りに、やがて手助けを行いながら事件の真相に迫ってゆきます。

伊勢市という弁護士の過疎化地域を設定しているのは、著者の出身地であるのが大きいようですが、伊勢神宮がらみの話題も入り、肩を張らずに読み終えれました。
<負け弁・深町代言>はシリーズ化され4冊出ているようですが、これはその第一作目に当たる文庫本書き下ろし作品です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(25)『プラ・バロック』結城充孝(光文社文庫)

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今年の読書(25)『プラ・バロ...
第12回(2009年)日本ミステリー文学大賞新人賞を、受賞した作品です。
神奈川県警機動捜査隊の女性刑事<クロハユウ>を主人公とする、警察小説ですが、また新しいヒロインの登場を予感させる作品でした。

港湾地区の埋め立て地に置かれた冷凍コンテナの中から、14人の男女の凍死体が発見され、睡眠薬を飲んだうえでの集団自殺と判明しますが、また別の冷凍コンテナから同様の凍死体が発見されます。
合同の捜査本部内の同僚の嫌がらせやを受けながらも、独自の発想と協力者のもと、事件の真相に迫って行きます。

物語の要となるのは、ネット上の自殺サイトの掲示板であり、また主人公<クロハ>自身が参加しているヴァーチャルな空間との絡みがリンクしており、ナイフでの連続殺人事件と並行しながら、悲しい結末を迎えます。

同じ<クロエ>を主人公の続編も出ているようで、<誉田哲也>の<姫川玲子>シリ-ズに続く女刑事として、目が離せません。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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今年の読書(24)『不連続の世界』恩田陸(幻冬舎文庫)

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今年の読書(24)『不連続の世...
主人公の<塚崎多聞>は 『月の裏側』 (200年3月刊行)以来の再登場で、5話の短篇からなる構成が組まれています。
小説をあまり分類するのは好みませんが、「ミステリー」の範疇なのですが、なんとも不思議な世界が広がる物語が展開しています。

<トラベル・ミステリー>との言葉が出てきますが、特定された地名や建物名称は出てきませんが、「ああ~、あれだな」と分かります。物語の重要な位置を占めるものでもないだけに、あえて伏せる必要性が感じられませんでした。

タイトル名の作品はなく、5話の共通性として著者の「不連続」に込められた意識が感じ取れます。

「不連続」という言葉に含まれている、当たり前に見ている視点や目線の断点や裏側を、意識させてくれる一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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